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公立校と私立校、進学と就職はどう違う?
人生の節目で出会う学校の選択。どんなにいい学校が見つかっても、結局行けるのは一つだけです。今回は大学入試や就職など、「将来」に直結する学校選択の公(国)立と私立の違いを、数字とデータで検証してみました。
2016年度の大学・短期大学への進学率は56.8%で、2009年度以降横ばい状態を続けています。河合塾の調査によると、「18歳人口の減少ほど大学志願者は減っていない」とのこと。1992年から2016年の15年間で、18歳人口は205万人から119万人へほぼ半減していますが、大学志願者数は92万人から67万人と、3割程度の目減りに留まっているのです。
「多様な入試方法の工夫」を促す文科省により、国公立大学でもAO入試などの推薦入試枠が拡大しています。2016年度入試では、東大が「推薦入試」、京大が「特色入試」を行なったことも話題となりました。東大では10学部100人の募集人員に対して出願者は173人、合格者は77人でした。一方、京大の「特色入試」は10学部108人の募集人員に対して出願者は616人、合格者は82人の狭き門となっています。ダイヤモンド社の調査によると、合格者の出身高校で上位に並ぶのは洛星や日比谷、灘など一般入試でも名前を聞く有名校ぞろい。しかし、地方出身者や女子の比率が増えたことから、さらなる多様化への道も感じられます。
・東京大学:
開成高等学校(170・私)、筑波大学附駒場中学校・高等学校(102・国)、灘高等学校(94・私)、麻布中学校・高等学校(94・私)、渋谷教育学園幕張中学校・高等学校(76・私)
・京都大学:
洛南高等学校(68・私)、大阪府立北野高等学校(62・公)、堀川高等学校(60・公)、西大和学園中学校・高等学校(49・私)、灘高等学校(47・私)
・一橋大学:
渋谷教育学園幕張中学校・高等学校(25・私)、浅野中学校・高等学校(23・私)、東京都立国立高等学校(19・公)、聖光学園中学校・高等学校(18・私)、桐朋中学校・高等学校(18・私)、東京都立日比谷高等学校(18・公)
・東京工業大学:
浅野中学校・高等学校(28・私)、早稲田中学校・高等学校(23・私)、渋谷教育学園幕張中学校・高等学校(18・私)、麻布中学校・高等学校(17・私)、東京都立国立高等学校(15・公)、海城高等学校(15・私)、千葉県立千葉高等学校(15・公)
※以上、国は国公立、私は私立の略です
いかがでしょうか。ちなみに都立高校の雄と呼ばれる日比谷高校の場合、在学生310人に対して、早稲田大合格者201名、慶應義塾大合格者169名。もちろん重複はあるでしょうが、ほぼ全員が早慶に進める学力ということになります。
また、よく言われるのは、「女子がリーダーシップをとる」必要があるため、自然に調整力や責任感、プレゼンテーション力などが磨かれていくことです。これらの能力は偏差値には現れませんが、大学のカラーとして企業の就職担当者などは周知の事実。例えば、慶應大ではディベートが訓練されるため、学生の頃からコミュニケーション能力が鍛えられるということです。
2016年の「有名企業400社就職率ランキング」が「サンデー毎日」に掲載されました。有名企業400社は、日経平均株価指数の採用銘柄、会社規模、知名度、大学生の人気企業ランキングなどを参考に選ばれています。トップ5は以下の通り。
1位:一橋大学(国)62.1%(833名就職)
2位:東京工大学(国)54.9%(1466名就職)
3位:慶應義塾大学(私)46.6%(5703名就職)
4位:早稲田大学(私)37.1%(7012名就職)
5位:電気通信大学(国)36.1%(244名就職)
※以上、国は国公立、私は私立の略です
トップは圧倒的に実業界に強い国立の一橋大学ですが、卒業者の規模から見ると慶應大や早稲田大の健闘がわかります。なお、女子大では、11位に東京女子大(私、32.6%)、15位に日本女子大(私、30.5%)がランキングされています。
各大学とも大学院への進学率も高く、ランキングされていない東大や京大では公務員試験を受ける場合も多く、企業からの内定を辞退する率も高くなっています。学者や公務員を目指すなら国公立のトップ校、キャリアを追求するなら有名私大という図式は、昭和以来あまり変化しない姿かもしれません。
少子時代の大学入試で、変わったこと
「大学全入時代」とは、入学希望者の総数が入学定員総数を下回り、誰でも大学に入学できる時代のこと。実質的に日本では、2000年頃からは大学・学部を選ばず、経済問題さえクリアできれば誰でも入学できる状況となっています。2016年度の大学・短期大学への進学率は56.8%で、2009年度以降横ばい状態を続けています。河合塾の調査によると、「18歳人口の減少ほど大学志願者は減っていない」とのこと。1992年から2016年の15年間で、18歳人口は205万人から119万人へほぼ半減していますが、大学志願者数は92万人から67万人と、3割程度の目減りに留まっているのです。
「多様な入試方法の工夫」を促す文科省により、国公立大学でもAO入試などの推薦入試枠が拡大しています。2016年度入試では、東大が「推薦入試」、京大が「特色入試」を行なったことも話題となりました。東大では10学部100人の募集人員に対して出願者は173人、合格者は77人でした。一方、京大の「特色入試」は10学部108人の募集人員に対して出願者は616人、合格者は82人の狭き門となっています。ダイヤモンド社の調査によると、合格者の出身高校で上位に並ぶのは洛星や日比谷、灘など一般入試でも名前を聞く有名校ぞろい。しかし、地方出身者や女子の比率が増えたことから、さらなる多様化への道も感じられます。
変わらない「難関大学」に進めるのは、公立校か私立校か
一般入試で注目されるのは、50年前から変わらない東大・京大・一橋大・東工大など、いわゆる難関大学に合格した高校の顔ぶれです。いずれもトップ5校を公立・私立で見ていきましょう(2016年度入試)。・東京大学:
開成高等学校(170・私)、筑波大学附駒場中学校・高等学校(102・国)、灘高等学校(94・私)、麻布中学校・高等学校(94・私)、渋谷教育学園幕張中学校・高等学校(76・私)
・京都大学:
洛南高等学校(68・私)、大阪府立北野高等学校(62・公)、堀川高等学校(60・公)、西大和学園中学校・高等学校(49・私)、灘高等学校(47・私)
・一橋大学:
渋谷教育学園幕張中学校・高等学校(25・私)、浅野中学校・高等学校(23・私)、東京都立国立高等学校(19・公)、聖光学園中学校・高等学校(18・私)、桐朋中学校・高等学校(18・私)、東京都立日比谷高等学校(18・公)
・東京工業大学:
浅野中学校・高等学校(28・私)、早稲田中学校・高等学校(23・私)、渋谷教育学園幕張中学校・高等学校(18・私)、麻布中学校・高等学校(17・私)、東京都立国立高等学校(15・公)、海城高等学校(15・私)、千葉県立千葉高等学校(15・公)
※以上、国は国公立、私は私立の略です
いかがでしょうか。ちなみに都立高校の雄と呼ばれる日比谷高校の場合、在学生310人に対して、早稲田大合格者201名、慶應義塾大合格者169名。もちろん重複はあるでしょうが、ほぼ全員が早慶に進める学力ということになります。
「女子大」へ進むメリット、偏差値には現れない能力の差
一般に、入試のハードルが低い割に就職率や就職先が充実しているのが女子大の第一の魅力だと言われます。東洋経済の調べによると、有名女子大の2015年入試倍率は、津田塾大と東京女子大で2.1倍、京都女子大や神戸女学院大で2.2倍、日本女子大2.3倍など、共学の人気私大(例えば、青山学院大の5.5倍)に対して入りやすい印象があります。一方、それぞれの2015年就職率は、日本女子大91.5%、東京女子大91.3%、京都女子大88.7%、津田塾大88.1%、神戸女学院大87.1%。全国570大学の平均就職率84.4%を上回るレベルにあります。また、よく言われるのは、「女子がリーダーシップをとる」必要があるため、自然に調整力や責任感、プレゼンテーション力などが磨かれていくことです。これらの能力は偏差値には現れませんが、大学のカラーとして企業の就職担当者などは周知の事実。例えば、慶應大ではディベートが訓練されるため、学生の頃からコミュニケーション能力が鍛えられるということです。
「いい会社」に行けるのは国公立大か私立大か?
では就職にあたり強いのは、公立なのでしょうか、それとも私立なのでしょうか?2016年の「有名企業400社就職率ランキング」が「サンデー毎日」に掲載されました。有名企業400社は、日経平均株価指数の採用銘柄、会社規模、知名度、大学生の人気企業ランキングなどを参考に選ばれています。トップ5は以下の通り。
1位:一橋大学(国)62.1%(833名就職)
2位:東京工大学(国)54.9%(1466名就職)
3位:慶應義塾大学(私)46.6%(5703名就職)
4位:早稲田大学(私)37.1%(7012名就職)
5位:電気通信大学(国)36.1%(244名就職)
※以上、国は国公立、私は私立の略です
トップは圧倒的に実業界に強い国立の一橋大学ですが、卒業者の規模から見ると慶應大や早稲田大の健闘がわかります。なお、女子大では、11位に東京女子大(私、32.6%)、15位に日本女子大(私、30.5%)がランキングされています。
各大学とも大学院への進学率も高く、ランキングされていない東大や京大では公務員試験を受ける場合も多く、企業からの内定を辞退する率も高くなっています。学者や公務員を目指すなら国公立のトップ校、キャリアを追求するなら有名私大という図式は、昭和以来あまり変化しない姿かもしれません。
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