テンミニッツTV|有識者による1話10分のオンライン講義
会員登録 テンミニッツTVとは
社会人向け教養サービス 『テンミニッツTV』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2016.12.07

10年後にあなたの仕事がなくなる!?その理由とは…

2013年、オックスフォード大学の研究者によって衝撃的な論文が発表されました。今後10年から20年の間に、現在ある仕事の47パーセントは消滅していくという研究結果です。

なくなる理由はAI化、自動化

 研究は米国労働省の雇用データに基づき、702の職種に対し行われました。その結果、ロボットによる自動化によっておよそ半分の仕事が、人間の手を離れるという結果が出ました。

 ほとんどの仕事で、もっとも重い経費は人件費だと言われています。そこが無給の上、年中無休で働いてくれる機械に置き換わってしまえば、経営者としてはとびつかないはずがありません。

本当に機械に人間の仕事ができるのか?

 とはいえ機械が、繊細で曖昧な人間の仕事にとって換わることなどできるのでしょうか?

 それを可能にするのが、AIとセンサリング技術です。AIとは人工知能のこと。AIが人間に替わって、いろいろものを考えてくれます。

 たしかにAIには人間のように自由な思考は、今のところできません。また、そのように考えられるAIができる見通しがたったわけでもありません。しかし、ある特定の作業なら、その中で発生する思考と判断のパターンは限られるため、プログラミングができてしまうのです。

 たとえば、バーテンダーの仕事。オーダーを受けたら、お酒を組み合わせ、氷を入れて、シェーカーをふるということは簡単にできてしまうでしょう。また、顧客データと、天候情報、連れが彼女なのか仕事仲間なのかなどの判断に基づき、おすすめのカクテルを提案するというような繊細な作業も可能でしょう。

 また、センサリング技術も発展しています。センサリングとはセンサーすること、つまり、ロボットの知覚。今までは、微妙な触覚や、におい、明るさ、など様々な外界の情報を、人間が機械に入力してあげる必要がありました。しかし、センサリング技術の発展により、リアルタイムで外界の情報を読み取り、判断や作業に反映させていくということが可能になったのです。

機械は特定の範囲内では人間よりも優秀

 AIはつまりコンピュータですから、特定の判断に関しては、電卓が人間の暗算よりも圧倒的に素早く正確に解を出すように、人間を追い越してしまうでしょう。新しい知識の習得もお手のものです。データのコピーと同じ速度で行えるわけです。

 またセンサリングに関しても、例えば味覚などは分子単位で読み取るわけですから、人間の舌などはとても敵わないということも多くなってくるでしょう。人間なら曖昧にとらえる、見逃してしまうようなものも正確に漏れなく読み取ってくれるでしょう。

 ですので、ひとつの機械で、建設の仕事や運転の仕事など多様な仕事はできなくとも、1種類の仕事なら、高度な作業でもできるのです。たしかにどの分野にも、神のごとき職人芸の持ち主はいます。そういう人には負けるか、良い勝負くらいになるかも知れません。しかし、普通の労働者なら、簡単に追い越してしまうでしょう。

 そうすると、我々の仕事は思いのほか容易に機械に置き換わりそうです。危険だと言われる仕事には、上記のバーテンダーや建設作業や運転手の他にも、パラリーガルや企業の融資審査など高度で知的だと思われていた職種も入っています。

 何か、ルールに基づいて最適解を出す仕事なら、プログラミングできてしまうからです。あなたの仕事も、本当に機械に置き換わることはないのか、いま一度、AIとセンサリングという視点で見直してみる必要があるかも知れません。
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
自分を豊かにする“教養の自己投資”始めてみませんか?
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。 『テンミニッツTV』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

陀羅尼品…あらゆるものが暗号であり、メタファーである

陀羅尼品…あらゆるものが暗号であり、メタファーである

おもしろき『法華経』の世界(6)「陀羅尼品」とエニグマ

『法華経』下巻の「陀羅尼品」を読めば、それが真言宗の真言(=マントラ)と同様の構造を持っていることが分かる。天台教学における「諸法実相」や「本覚思想」という形而上学も、華厳経の「重々帝網」という次元世界も、全て...
収録日:2025/01/27
追加日:2025/07/06
鎌田東二
京都大学名誉教授
2

なぜ思春期は大事なのか?コホート研究10年の成果に迫る

なぜ思春期は大事なのか?コホート研究10年の成果に迫る

今どきの若者たちのからだ、心、社会(1)ライフヒストリーからみた思春期

なぜ思春期に注目するのか。この十年来、10歳だった子どもたちのその後を10年追跡する「コホート研究」を行っている長谷川氏。離乳後の子どもが性成熟しておとなになるための準備期間にあたるこの時期が、ヒトという生物のライ...
収録日:2024/11/27
追加日:2025/07/05
長谷川眞理子
日本芸術文化振興会理事長
3

「言論の自由の侵害」と「移民排斥」はあまりに不合理

「言論の自由の侵害」と「移民排斥」はあまりに不合理

第2次トランプ政権の危険性と本質(7)言論の自由の侵害と移民排斥

多様性を尊重するリベラリズムとは逆行するトランプ大統領の動きは、人々の自由や司法の独立性を脅かすような横暴に向かっている。そのトランプが強く押し出す移民排斥の指針にも問題点が多い。経済、治安の観点から移民に関す...
収録日:2025/04/07
追加日:2025/06/21
柿埜真吾
経済学者
4

シフトワークによる脱同調に要注意…時差ボケへの対策は?

シフトワークによる脱同調に要注意…時差ボケへの対策は?

睡眠と健康~その驚きの影響(5)時差ボケと脱同調

シフト勤務者にとって避けて通れない問題がある。それは、時差ボケによる睡眠のリズムである。現在、日本では労働者の何割かがシフトワークに就いているが、この働き方では睡眠のリズムが崩れ、健康を大きく害する危険がある。...
収録日:2025/03/05
追加日:2025/07/03
西野精治
スタンフォード大学医学部精神科教授
5

ヨーロッパとは?地図で読み解く地政学と国際政治の関係

ヨーロッパとは?地図で読み解く地政学と国際政治の関係

地政学入門 ヨーロッパ編(1)地図で読むヨーロッパ

国際政治の戦略を考える上で今やかかせない地政学の視座。今回のシリーズではヨーロッパに焦点を当て、地政学の観点から情勢分析をする。第1話目では、まず地政学の要点をおさらいし、常に揺れ動いてきた「ヨーロッパ」という領...
収録日:2025/02/28
追加日:2025/05/05
小原雅博
東京大学名誉教授