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DATE/ 2025.01.01

お正月と言えば?お餅の驚くべき「力」

お雑煮に焼き餅にと、おもちは日本人には欠かせない食べ物ですよね。ただ、食べすぎて太る、と心配になる方もいるかもしれません。でも、おもちを食べると、たくさんいいことがあるのです。今回はそんなおもちの驚くべき「力」について、調べていきます。

おもちの「力」

 おもちの入ったうどんのことを、「力うどん」といいますね。この「力(ちから)」というのは、諸説ありますが、腹持ちがよく、力がでるから、という意味があってそのようによばれているそうです。おもちには炭水化物がたくさん含まれています。炭水化物の要素の一つ、「糖質」は、体内でブドウ糖に変わります。これが私たちの体を動かすためのエネルギーとなるのです。

 全国餅工業協同組合のサイトによると、おもちはアスリート、スポーツをされる方にとって、重要な食べ物だそうです。昔からよく「餅は持久力がつく」と言われますが、実際にマラソン選手もおもちの力を信じているといいます。持久力がつく、というのは、腹持ちが良いということですね。

 お米(うるち米)が20パーセントのアミロースと80パーセントのアミロペクチンから構成されているのに対し、もち米はそのすべてがアミロペクチンからできていて、これが粘り気を生み、腹持ちを良くしているということです。

 腹持ちが良いのだから、その分消化に悪いのでは、と思うところですが、実はお米よりももち米の方が消化に良いのです。アミロペクチンはデンプン質で、これがとても速く消化するのですね。なので、手軽に多くのエネルギーを摂取することができるということです。

太る? 不健康?

 おもちを食べると太るのでは?と心配になる方もいると思います。たしかに、糖質ですから、たくさん食べれば余分なエネルギーを摂ることになり、その結果、太ることにつながってしまうかもしれません。しかし、実はお米とおもちのエネルギーはだいたい同じです。では、どうしておもちは太るというイメージがあるのでしょうか。

 答えは水分量にあります。お米は、炊くときに水を使いますね。たくさんの水を含むので量が増えたように感じます。一方、おもちは水分がなく、膨らんでおしまいなので、一つだけでは足りないかな、では二つ、三つ…と手軽に食べられてしまいます。

 そこでおすすめの食べ方としては、野菜たっぷりのお雑煮や、おもちに大根おろしなどをからめて食べることなど。こうした一工夫で、「もち米」のみを食べることを防ぎます。野菜も摂れて、栄養のバランスが良くなりますね。

おもちのつまらせ事故を防ぐために

 さて、おいしくて栄養もあるので多くの人に食べられるおもちですが、お正月になると増えるのがおもちを喉につまらせる事故。特に高齢者が多く、死亡者数は消費者庁が2018~2019年までの2年間を分析したところ、65歳以上では2018年で363人、2019年で298人となりました。おもちのねばつき、粘着性が咀嚼力、嚥下(えんげ)力の弱い高齢者の方には危険だそうです。

 窒息事故を予防するために、食べやすい大きさにする、よく噛んで食べる、姿勢を正し集中して食べるといったことがあげられます。自分だけではなく、家族や一緒にお餅を食べる人への注意喚起も意識したいですね。万が一お餅が詰まったときのために、応急手当を覚えておくことも重要です。

おもちで元気に一年を

 みんな大好きおもち。手軽で、栄養もあって、おいしいなんて、言うことなしですね。食べ過ぎには注意ですが、色んな味を楽しみ、よくかんで、一年を過ごす元気をいただきましょう。

<参考サイト>
全国餅工業協同組合 100%おもちミュージアム(お餅の効能 お餅ってスゴイ!)
http://www.omochi100.jp/effect/
・e-ヘルスネット 食品による窒息事故
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/teeth/h-10-001.html
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