戦後レジームとは何か~IMF、自民党、リベラル
この講義シリーズの第1話
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
戦後のリベラルを振り返ると、今リベラルは大変旗色が悪い
戦後レジームとは何か~IMF、自民党、リベラル(3)リベラルの戦後史からの考察
曽根泰教(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
丸山真男、鶴見俊輔、加藤周一。それから、小泉信三、田中美知太郎、猪木正道、河合栄治郎に連なる人たちに、高坂正堯、永井陽之助。さらには、香山健一、佐藤誠三郎、西部邁、中嶋嶺雄まで――現在はリベラルには冬の時代だが、ひとくちに「リベラル」と切って捨てては見失うものは大きい。政治学者で慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科教授・曽根泰教氏が、さまざまな角度から戦後レジームを考察するシリーズ・第3回。(全3話中第3話)
時間:13分18秒
収録日:2015年12月3日
追加日:2016年1月18日
カテゴリー:
≪全文≫

●丸山真男・鶴見俊輔・加藤周一、三つの欠点


 リベラルの戦後史というお話をします。いまリベラルは大変旗色が悪いのですが、ただ、「リベラル」と一緒くたにされては困ります。戦後史の中で、もう少し中身を詳しく見てみましょうという角度からお話をします。

 リベラルで代表的なのは、丸山真男や鶴見俊輔、加藤周一というような、中でも若干左派にあたるリベラル派というグループがあります。私は、彼らの欠点を三つにまとめています。これを言うと、丸山門下の東大の先生連中は大変嫌な顔をするのですが、このように見てもいいのではないかと捉えています。

 その一つ目は、経済成長に関してです。彼らは、闇屋的経済成長に大変な嫌悪感を持っています。これは鶴見俊輔さんとお話をした時に感じたのですが、闇市から発達するような、いわば偽物やバッタ屋から仕入れたものを売るようなものに対して、大変な嫌悪感を持っています。彼らが求める経済成長は、マックス・ウェーバー的な自立した個人によるものです。

 大塚久雄さんを中心とした主体性論争というものがありましたが、プロテスタンティズムの倫理で経済成長や資本主義の精神とつながるという角度から見ると、日本はどうも逸脱例だということになります。しかし、プロテスタンティズムそのものは日本にないとは言え、石門心学や武士のサムライの精神は成長の基礎になり得る。こういう角度から、マックス・ウェーバー的な宗教社会学的な手法を使って、資本主義はなぜ発達したのかを分析する人もいるわけです。いずれにしても、主体性論争の人たちに比べると、ごちゃごちゃな世界で発達していく経済というものは、あまり気持ちのいいものではなかったと思います。


●社会主義への親近感と、左右への目配り


 二つ目が、社会主義との距離です。やはり彼らは社会主義との距離は近かったのではないでしょうか。本人たちはマルクス主義者ではありません。ですが、社会主義を全面的に否定はしません。冷戦後、あるジャーナリストが丸山先生のところに伺って、「やはりもう少し社会主義を研究し直さなければならない」とおっしゃっていたと聞いたことがあります。

 公正や正義といった、社会主義、特にマルクス主義的な社会主義でも良質な人たちが唱えていることは採用しなければいけないと思います。ただ、その社会主義との決別があったのかどうかは一つ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
お金の回し方…日本の死蔵マネー活用法(1)銀行がお金を生む仕組み
信用創造・預金創造とは?社会でお金が流通する仕組み
養田功一郎
緊急提言・社会保障改革(1)国民負担の軽減は実現するか
国民医療費の膨張と現役世代の巨額の「負担」
猪瀬直樹
グローバル環境の変化と日本の課題(1)世界の貿易・投資の構造変化
トランプ大統領を止められるのは?グローバル環境の現在地
石黒憲彦
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎
財政問題の本質を考える(1)「国の借金」の歴史と内訳
いつから日本は慢性的な借金依存の財政体質になったのか
岡本薫明

人気の講義ランキングTOP10
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎
内側から見たアメリカと日本(7)ジャパン・アズ・ナンバーワンの弊害
ジャパン・アズ・ナンバーワンで満足!?学ばない日本の弊害
島田晴雄
歴史の探り方、活かし方(7)史料の真贋を見極めるために
質疑編…司馬遼太郎の「史料読解」をどう評価する?
中村彰彦
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
プロジェクトマネジメントの基本(1)国際標準とプロジェクトの定義
プロジェクトマネジメントとは?国際標準から考える特性
大塚有希子
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
習近平―その政治の「核心」とは何か?(1)習近平政権の特徴
習近平への権力集中…習近平思想と中国の夢と強国強軍
小原雅博
熟睡できる環境・習慣とは(2)酒、コーヒー、ブルーライトは悪者か
ブルーライトは悪者か?近年分かった「第3の眼」との関係
西野精治
経験学習を促すリーダーシップ(3)成功の再現性と教え上手の指導法
教え上手の指導法に学ぶ!成功の再現性を高める4ステップ
松尾睦
グローバル環境の変化と日本の課題(6)組織改革と課題解決のために
働き方改革の鍵はエンゲージメント、経営者の腕の見せ所
石黒憲彦