AIで社会・ビジネスはどう変わる?
この講義シリーズは第2話まで
登録不要で無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
ディープラーニングは機械に「目」をもたらした
AIで社会・ビジネスはどう変わる?(3)目を持ったAI
松尾豊(東京大学大学院工学系研究科 人工物工学研究センター/技術経営戦略学専攻長 教授)
“ディープラーニングは、「目」の技術である”――東京大学大学院特任准教授・松尾豊氏は、近年のAIの発達をこう表現する。「目」を持った機械は、自ら判断と習熟を行い、目の前の対象物に柔軟に対処可能だ。それは農業や建設、食品加工といった自然物を扱う領域で、強みを発揮するだろうと松尾氏は述べる。では、その先にあるものとは。(2016年11月30日開催三菱総研フォーラム2016講演「AIで社会・ビジネスはどう変わるか?」より、全4話中第3話)
時間:7分08秒
収録日:2016年11月30日
追加日:2017年3月1日
≪全文≫

●ディープラーニングの登場は「カンブリア爆発」に匹敵する


 ここまでお話ししたことを一言で言えば、「目」の誕生だと思っています。ディープラーニングとは、「目」の技術で、画像認識の精度が非常に上がっているということです。

 画面には「カンブリア爆発」と書いています。これは何かというと、現在、地球ができて45億年ほどたちますが、その中で見ると5億4,200万年前から5億3,000万年前という非常に短い期間に、生物の多様性がいきなり上がったことです。現存する、ほぼ全ての生物の「門」が出てきたという時期でした。

 なぜそのような短期間に生物の多様性が上がったのかは長年の謎でした。諸説ある中で、アンドリュー・パーカーという人が10年ほど前に唱えたのが、「光スイッチ説」です。すなわち、多様性が急上昇したのは生物が目を持ったからだということです。それまでの生物は、高度な目を持っていなかったので、「ぶつかると食べる」とか「ぶつかられると逃げる」といった、とてもモソッとした動きしかできなかったのです。しかし、目を持つと、遠くから見えるようになるため、捕食の確率が非常に上がります。

 そうすると、見つかった方も目を持ちます。見つかったから早く逃げよう、隠れよう、擬態しようといった、いろいろな戦略が出てきました。目を持ったために、生物の多様性が大きく広がり、戦略もとても多様になりました。その結果、生物が非常に多種になったのです。

 パーカー氏が出したのはそういう説ですが、私はそれと同じことが、今後、機械・ロボットの世界でも起こると思います。機械・ロボットの世界で、これから「カンブリア爆発」が起こるということです。今までの機械やロボットは、要するに「目」がなかったのです。目が見えていなかったので、目が見えなくても可能な動作しかできませんでした。それが今後「目」を持つことになれば、機械自身が状況を上手に見ながら判断して動作することができるようになります。

 「目」といっても、すでにカメラがついているではないかと思われると思います。しかしカメラ、すなわちイメージセンサーは、人間で言えば網膜です。人間の場合、網膜で受け取ったシーンを、その後ろの視覚野で処理することによって「見える」ことになります。ディープラーニングとは、(網膜ではなく)視覚野の部分です。つまり、イメージセンサーとディープラー...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「科学と技術」でまず見るべき講義シリーズ
本当によくわかる「量子コンピュータ入門」(1)量子コンピュータとは何か
「量子コンピュータ」はどういうもので、何に使えるのか
武田俊太郎
心と感情の進化(1)そもそも「心と感情」とは何なのか
「心と感情」とは何か、行動生態学から考える大事な問題
長谷川眞理子
水から考える「持続可能」な未来(1)気候変動の現在地
最悪10メートル以上海面上昇…将来に禍根残す温暖化の影響
沖大幹
生成AI・大規模言語モデルのしくみ(1)生成AIとは何か
10年で劇的な進歩を遂げた生成AIと日本の開発事情
岡野原大輔
巨大地震予知の現在地と私たちにできること(1)地震予知研究と前兆すべり
地震予知に挑む!確かな前兆現象を捉える画期的手法とは
梅野健
現在の宇宙の姿(1)星はなぜ自ら輝くのか
星はなぜ自ら輝くのか…宇宙と銀河の「現在の姿」を概観する
岡村定矩

人気の講義ランキングTOP10
高齢者のフレイル・認知症とその予防対策(1)老年病科と高齢者の疾患・病態の特徴
頻尿、低栄養、転倒、誤嚥、フレイル…増える老年症候群と高齢者の疾患・病態の特徴
小川純人
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(5)恐るべき台湾への「浸透」
浸透工作…台湾でスパイ裁判が約70件、それも氷山の一角
垂秀夫
「満洲」から考える日本とアジア(6)21カ条の要求と第一次世界大戦
日本が中国に出した「21カ条の要求」の罠と必然…不安定な満洲利権を手にした日本が直面した難題とは?
宮脇淳子
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
「ホメロス叙事詩」を読むために(5)『イリアス』の世界ーその1
叙事詩イリアス…トロイア戦争最後の50日間を描いた傑作
納富信留
キリンでつかんだ「幸せになる」仕事術(1)悩みの99%は他者との関係性
「使命観=パーパス」に立脚できないのは自分のエゴのせい
田村潤
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
日本の財政の真実を検証する(1)膨らむ借金の知られざる実態
日本の財政の「真実」をデータで徹底検証…国際機関の分析は?
宮本弘曉
仏教とキリスト教が照らし出す日本の宗教(1)神とは何か、そして天皇とは?
日本と世界の「神と信仰」の違いは?…そして天皇の大切な役割
橋爪大三郎
中国春秋戦国時代と始皇帝(序)映画『キングダム』の中国史監修
中国古代史の真実と『キングダム』…史実がわかれば物語はもっと面白い
鶴間和幸