AIで社会・ビジネスはどう変わる?
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ディープラーニングは機械に「目」をもたらした
AIで社会・ビジネスはどう変わる?(3)目を持ったAI
松尾豊(東京大学大学院工学系研究科 人工物工学研究センター/技術経営戦略学専攻長 教授)
“ディープラーニングは、「目」の技術である”――東京大学大学院特任准教授・松尾豊氏は、近年のAIの発達をこう表現する。「目」を持った機械は、自ら判断と習熟を行い、目の前の対象物に柔軟に対処可能だ。それは農業や建設、食品加工といった自然物を扱う領域で、強みを発揮するだろうと松尾氏は述べる。では、その先にあるものとは。(2016年11月30日開催三菱総研フォーラム2016講演「AIで社会・ビジネスはどう変わるか?」より、全4話中第3話)
時間:7分08秒
収録日:2016年11月30日
追加日:2017年3月1日
≪全文≫

●ディープラーニングの登場は「カンブリア爆発」に匹敵する


 ここまでお話ししたことを一言で言えば、「目」の誕生だと思っています。ディープラーニングとは、「目」の技術で、画像認識の精度が非常に上がっているということです。

 画面には「カンブリア爆発」と書いています。これは何かというと、現在、地球ができて45億年ほどたちますが、その中で見ると5億4,200万年前から5億3,000万年前という非常に短い期間に、生物の多様性がいきなり上がったことです。現存する、ほぼ全ての生物の「門」が出てきたという時期でした。

 なぜそのような短期間に生物の多様性が上がったのかは長年の謎でした。諸説ある中で、アンドリュー・パーカーという人が10年ほど前に唱えたのが、「光スイッチ説」です。すなわち、多様性が急上昇したのは生物が目を持ったからだということです。それまでの生物は、高度な目を持っていなかったので、「ぶつかると食べる」とか「ぶつかられると逃げる」といった、とてもモソッとした動きしかできなかったのです。しかし、目を持つと、遠くから見えるようになるため、捕食の確率が非常に上がります。

 そうすると、見つかった方も目を持ちます。見つかったから早く逃げよう、隠れよう、擬態しようといった、いろいろな戦略が出てきました。目を持ったために、生物の多様性が大きく広がり、戦略もとても多様になりました。その結果、生物が非常に多種になったのです。

 パーカー氏が出したのはそういう説ですが、私はそれと同じことが、今後、機械・ロボットの世界でも起こると思います。機械・ロボットの世界で、これから「カンブリア爆発」が起こるということです。今までの機械やロボットは、要するに「目」がなかったのです。目が見えていなかったので、目が見えなくても可能な動作しかできませんでした。それが今後「目」を持つことになれば、機械自身が状況を上手に見ながら判断して動作することができるようになります。

 「目」といっても、すでにカメラがついているではないかと思われると思います。しかしカメラ、すなわちイメージセンサーは、人間で言えば網膜です。人間の場合、網膜で受け取ったシーンを、その後ろの視覚野で処理することによって「見える」ことになります。ディープラーニングとは、(網膜ではなく)視覚野の部分です。つまり、イメージセンサーとディープラー...

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