ドローンが拓く「空の産業革命」
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
空撮から放射線量測定まで―ドローンの利用分野とは
ドローンが拓く「空の産業革命」(2)多様な分野での活躍
科学と技術
鈴木真二(東京大学名誉教授/東京大学未来ビジョン研究センター特任教授/福島ロボットテストフィールド所長)
東京大学大学院工学系研究科航空宇宙工学専攻教授の鈴木真二氏が、ドローンの機能と利用法について解説する。ドローンにはフィードバック制御による自動操縦システムが組み込まれている。これによって、空撮や物資輸送、物資投下から、無線の空中中継、空中でのサンプリング調査まで、さまざまな利用法が可能になっている。(全6話中第2話)
時間:9分12秒
収録日:2017年7月10日
追加日:2017年8月27日
≪全文≫

●ドローンにはフィードバック制御が用いられている


 ドローンは、ヘリコプターと同じように、不安定な動きをします。一般的に、動的なシステムの特性は、安定・中立・不安定の3つに分けることができます。「安定」は、少しバランスが崩れても、自動的に元の位置に戻ることを意味します。「中立」は、例えば平らな床の上に玉が置かれているように、どこでも止まることができるということです。また「不安定」は、少しバランスが崩れると、もう元には戻らないという意味です。マルチコプターは、こうした不安定な特性を持っています。

 つまり、常に操縦・制御しておく必要があるということです。しかし、人間がマルチコプターを制御するには、非常に難しい操縦をしなければなりません。そこで、自動制御であるフィードバック制御が用いられています。具体的にいうと、半導体ジャイロが中に組み込まれており、それが機体の傾きを検出すると、傾きが止まるように、自動的にプロペラの回転数を変えるのです。マルチコプターには、こうした自動操縦・制御のシステムが組み込まれています。

 また、GPSを利用すれば、同じようにフィードバック制御で、自動飛行も可能になります。GPSは、地球の周りを回る衛星から電波を捕獲し、自らの位置を予測します。そして、自機の位置とあらかじめ与えた目標位置の差によって機体を傾け、目標位置に向けて自動的に進んでいくように、マルチコプターを制御できるのです。ただし、GPSには通常10メートルほどの誤差があるため、高度を正確に求めるために、気圧高度計や超音波高度計などが利用される場合もあります。


●ドローンの操縦は、基本的にはラジコンと同じ


 ドローンの操縦は、基本的にはラジコン、いわゆる遠隔操作の模型飛行機と同じです。コントローラーのスティックを、マニュアルで操作して操縦します。ただし、ドローンにはGPSやコンパスが備えられている場合が多く、こうした機能を利用すれば、空中の一点で、自動的にホバリングさせることもできます。空中からの撮影を行う場合には、こうした機能は欠かせません。

 また、カメラの映像を、手元のタブレットやスマホに映し出す機能も備えられています。これは自分があたかもドローンに乗っているかのような、バーチャルリアリティーを作り出します。手元のカメラを見ながら操縦する、ファースト・パーソン・ビュー(第...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「科学と技術」でまず見るべき講義シリーズ
「宇宙の創生」の仕組みと宇宙物理学の歴史(1)宇宙の階層構造
「宇宙の階層構造」誕生の謎に迫るのが宇宙物理学のテーマ
岡朋治
未来を知るための宇宙開発の歴史(1)宇宙開発の流れを概観する
宇宙開発の歴史、そして未来へ…6枚の写真で概観する
川口淳一郎
ヒトの性差とジェンダー論(1)「性」とは何か
MLBのスーパースターも一代限り…生物学から迫る性の実態
長谷川眞理子
本当によくわかる「量子コンピュータ入門」(1)量子コンピュータとは何か
「量子コンピュータ」はどういうもので、何に使えるのか
武田俊太郎
2050年「プラチナ社会」実現への挑戦(1)「プラチナ社会」実現のルーツと現況
2025年頭所感~5つのプラチナ産業イニシアティブ創りへ
小宮山宏
知能と進化(1)知性と身体性
AI、ディープラーニングとは…知能と身体性は不可分か?
長谷川眞理子

人気の講義ランキングTOP10
数学と音楽の不思議な関係(4)STEAM教育でつくる喜びを全ての人に
世界で最もクリエイティブな国は? STEAM教育が広がる理由
中島さち子
続・日本人の「所得の謎」徹底分析(2)政府債務と預金残高の背景
なぜ日本の所得水準は低いのに預金残高は大きいのか
養田功一郎
経験学習を促すリーダーシップ(2)経験から学ぶ力
米長邦雄のアンラーニング、弟子の弟子になってV字成長
松尾睦
「集権と分権」から考える日本の核心(5)島国という地理的条件と高い森林率
各々の地でそれぞれ勝手に…森林率が高い島国・日本の特徴
片山杜秀
外交とは何か~不戦不敗の要諦を問う(1)著書『外交とは何か』に込めた思い
外交とは何か…いかに軍事・内政と連動し国益を最大化するか
小原雅博
未来を知るための宇宙開発の歴史(9)宇宙開発を継続するための国際月探査
「国際月探査」とは?アルテミス合意と月探査の意味
川口淳一郎
第2の人生を明るくする労働市場改革(1)日本の労働市場が抱える問題
シニアの雇用、正規・非正規の格差…日本の労働市場の問題
宮本弘曉
戦前日本の「未完のファシズム」と現代(8)満州事変と世界大恐慌
「100年戦争」と考えて戦争に突入した日本の現実
片山杜秀
弥生人の実態~研究結果が明かす生活と文化(1)弥生時代はいつ始まったのか
なぜ弥生時代の始まりが600年も改まった?定説改訂の背景
藤尾慎一郎
海底の仕組みと地球のメカニズム(1)海底の生まれるところ
地球上の火山活動の8割を占める「中央海嶺」とは何か
沖野郷子