「ものがたり」のあるコンプライアンス
この講義シリーズは第2話まで
登録不要で無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
6,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
企業価値を高めたコンプライアンスの成功例とは?
「ものがたり」のあるコンプライアンス(4)官製談合
國廣正(弁護士・国広総合法律事務所パートナー)
国広総合法律事務所パートナーで弁護士の國廣正氏が、官製談合をやめることを決めたある会社を取り上げ、コンプライアンスの成功例として紹介する。確かにコンプライアンスの徹底によって、苦しい状況に陥ることもあるだろう。しかし、トップが自社は何のためにあるのかを考えて、コンプライアンス徹底の決断を下せば、それが企業価値の向上につながっていく。(全7話中第4話)
時間:9分21秒
収録日:2017年8月24日
追加日:2017年10月15日
≪全文≫

●官製談合とコンプライアンス


 今度は成功例も見ていきましょう。これも3つ例を挙げます。第1は、A社の事例です。私自身が10年以上前に関与した事件ですので、匿名でお話しします。

 それは談合組織からの離脱にまつわる事件です。A社は全国展開をしている企業で、官公庁などにも製品を納入していました。2000年に入った頃は、独禁法(独占禁止法)違反がどんどん摘発されていて、談合はいけないということが常識化しつつあった時期です。しかし、頑強に残っていたのが官製談合でした。官製談合とは要するに、役所の天下りなど、役所と企業の談合です。役所に言われてやっていることだということで、摘発はまだあまりされていませんでした。その数年後には、官製談合も徹底して摘発されるようになるのですが、当時はまだ談合禁止の初期段階で、官製談合は大手を振って行われていました。

 A社では当時、「コンプライアンスをきちんとしよう」、「これからの時代、談合は駄目だ」ということで、施策を進めていました。そこで持ち上がってきたのが、官製談合の問題です。当時、財団法人の形を取った天下り財団法人X会というものがありました。X会が「今回はA社、いくらでやれ」、「B社、いくらでやれ」「C社、いくらでやれ」と全国の入札を仕切っていたのです。


●談合をやめれば赤字になってしまう


 今から見れば官製談合そのものですし、われわれも当時、官製談合をやめようということになっていました。しかし問題は、官製談合をやめれば、官を敵に回してしまうということです。談合から離脱すれば、入札が取れなくなります。しかもA社では、公共入札が全体の売り上げの4分の1を超える規模でした。X会に対して談合組織から抜けることを宣言すれば、全国の官公庁入札から閉め出されてしまいます。

 会社の中では、侃侃諤諤(かんかんがくがく)の議論になりました。私は会社の顧問弁護士として当然、談合に反対しました。リスク管理としても、今後は官製談合も摘発される時代になるのだから、今すぐにやめておくべきだと主張したのです。しかし、4分の1も売り上げが落ちていいのか、という現実問題があります。営業本部長は、談合をやめれば赤字になってしまうと反論しました。「確かに弁護士の筋論も分かるが、弁護士の本当の腕の見せどころは、摘発されないような上手いやり方をアドバイスすることではないのか...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「経営ビジネス」でまず見るべき講義シリーズ
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
不便益システムデザインの魅力と可能性(1)「便利・不便」「益・害」の関係
便利を求めるだけのいいの?…「不便益」で発見できる新たな魅力
川上浩司
メンタルヘルスの現在地とこれから(1)「心を病む」とはどういうことか
なぜ「心の病」が増えている?メンタルヘルスの実態に迫る
斎藤環
ソニー流「人的資本経営と新規事業」成功論(1)人を真に活かす人事評価とは
ソニー流の「人材論」「新規ビジネス論」を具体的に語ろう
水野道訓
生成AI「Round 2」への向き合い方(1)生成AI導入の現在地
生成AIの利活用に格差…世界の導入事情と日本の現状
渡辺宣彦
営業の勝敗、キリンの教訓(1)やる気のない社員になる理由
なぜ「やる気のある社員」が日本では6%しかいないのか?
田村潤

人気の講義ランキングTOP10
高齢者のフレイル・認知症とその予防対策(1)老年病科と高齢者の疾患・病態の特徴
頻尿、低栄養、転倒、誤嚥、フレイル…増える老年症候群と高齢者の疾患・病態の特徴
小川純人
「満洲」から考える日本とアジア(7)シベリア出兵と張作霖爆殺事件
軍閥割拠の中国は魑魅魍魎の世界…列強やコミンテルンの思惑も絡む中で翻弄される日本と張作霖爆殺事件の謎
宮脇淳子
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
編集部ラジオ2026(34)『オデュッセイア』の秘密と愉しみ
【10min解説】大ヒット映画『オデュッセイア』がもっと楽しくなる神話講義
テンミニッツ・アカデミー編集部
仏教とキリスト教が照らし出す日本の宗教(2)教義の宗教と覚りの宗教
キリスト教は教義の宗教、仏教は覚りの宗教…仏教はなぜ普遍宗教か
橋爪大三郎
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(2)秀吉の実像と「太閤神話」
秀吉・秀長の出自は本当は…実像は従来のイメージと大違い
黒田基樹
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(5)恐るべき台湾への「浸透」
浸透工作…台湾でスパイ裁判が約70件、それも氷山の一角
垂秀夫
禅とは何か~禅と仏教の心(1)アメリカの禅と日本の禅
「禅とは何か」藤田一照師が禅と仏教の心を説く…自発性を重んじる
藤田一照
モンゴル帝国の世界史(1)日本の世界史教育の大問題
なぜ日本の「世界史」はいびつなのか…東洋史と西洋史の違い
宮脇淳子
中国春秋戦国時代と始皇帝(序)映画『キングダム』の中国史監修
中国古代史の真実と『キングダム』…史実がわかれば物語はもっと面白い
鶴間和幸