本質から考えるコンプライアンスと内部統制
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過剰なルールベースの内部統制は百害あって一利なし
本質から考えるコンプライアンスと内部統制(4)事例からみる内部統制の実際
経営ビジネス
國廣正(弁護士・国広総合法律事務所パートナー)
内部統制が企業にとって重要であることは言うまでもないが、行き過ぎた内部統制はむしろ「百害あって一利なし」だ。そして、内部統制とはとかくそうなりがちなものでもあるのだ。講師が実際に経験した事例を通じて、過剰なルールベースに警鐘を鳴らしつつ、その反対概念としてプリンシプル(原理原則)ベースの内部統制の重要性を訴える。(第4話)
時間:11分22秒
収録日:2023年1月16日
追加日:2023年5月24日
≪全文≫

●過剰なルールベースの内部統制は百害あって一利なし


 それでは第4回で、内部統制の2回目についてお話したいと思います。

 前回の内部統制についてのお話は、一番基礎の部分に関して概念整理を行いましたが、今回は実際の内部統制について、その行き過ぎとでもいえる部分について、いくつかの例を挙げながらお話したいと思います。

 まず資料(スライド)の1番に「過剰なルールベースの内部統制は百害あって一利なし」と書いてあります。これはコンプライアンスと法令遵守でも同じでしたが、内部統制という言葉を使うと、とにかくがんじがらめのルールを作って社員を縛っていこう、といった方向になりがちです。

 しかし、私はその内部統制、危機管理を専門とする弁護士として仕事をする中で、むしろ内部統制という名のもとで、過剰なルールが作られ現場が元気をなくしたり、百害が生じたりしている例が多いのではないか、と感じています。もちろん、内部統制が不要だとは言いません。内部統制は大事です。ですが、too muchな内部統制というものに対しては、警告を発するつもりで今日はお話をしたいと思います。

 10年ほど前、ある金融機関で実際に私が経験した一つの例を挙げたいと思います。

 そこは大きな会社だったので、金融商品をお客さんに販売する営業担当者が数百人とか、1000人とかいたのですけれども、そこでコンプライアンスや内部統制が声高に叫ばれるようになって、マニュアルを作成することになりました。そうして、お客さんにきちんと説明責任を果たすために、20項目もあるチェックリストができあがりました。そのチェックリストを全て埋めてからでなければ商品の説明をしてはいけないというルールになりました。

 その結果、どうなったかというと、30分ある商品説明の時間のうち、20分はチェックリストを埋める作業になってしまったのです。そうすると実際の商品説明は10分しかできなくなってしまい、これは明らかにおかしい。だから、せめてそのチェックリストを半分の10個にしようという話を進めていったのですが、その途中で法務部からストップがかかりました。いや、チェックリストは20個必要である、と。なぜなら、20個のリストがしっかりと残されることで、お客さんからクレームが来たとき、ちゃんと説明責任を果たした証拠になって、...

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