本質から考えるコンプライアンスと内部統制
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
過剰なルールベースの内部統制は百害あって一利なし
本質から考えるコンプライアンスと内部統制(4)事例からみる内部統制の実際
経営ビジネス
國廣正(弁護士・国広総合法律事務所パートナー)
内部統制が企業にとって重要であることは言うまでもないが、行き過ぎた内部統制はむしろ「百害あって一利なし」だ。そして、内部統制とはとかくそうなりがちなものでもあるのだ。講師が実際に経験した事例を通じて、過剰なルールベースに警鐘を鳴らしつつ、その反対概念としてプリンシプル(原理原則)ベースの内部統制の重要性を訴える。(第4話)
時間:11分22秒
収録日:2023年1月16日
追加日:2023年5月24日
≪全文≫

●過剰なルールベースの内部統制は百害あって一利なし


 それでは第4回で、内部統制の2回目についてお話したいと思います。

 前回の内部統制についてのお話は、一番基礎の部分に関して概念整理を行いましたが、今回は実際の内部統制について、その行き過ぎとでもいえる部分について、いくつかの例を挙げながらお話したいと思います。

 まず資料(スライド)の1番に「過剰なルールベースの内部統制は百害あって一利なし」と書いてあります。これはコンプライアンスと法令遵守でも同じでしたが、内部統制という言葉を使うと、とにかくがんじがらめのルールを作って社員を縛っていこう、といった方向になりがちです。

 しかし、私はその内部統制、危機管理を専門とする弁護士として仕事をする中で、むしろ内部統制という名のもとで、過剰なルールが作られ現場が元気をなくしたり、百害が生じたりしている例が多いのではないか、と感じています。もちろん、内部統制が不要だとは言いません。内部統制は大事です。ですが、too muchな内部統制というものに対しては、警告を発するつもりで今日はお話をしたいと思います。

 10年ほど前、ある金融機関で実際に私が経験した一つの例を挙げたいと思います。

 そこは大きな会社だったので、金融商品をお客さんに販売する営業担当者が数百人とか、1000人とかいたのですけれども、そこでコンプライアンスや内部統制が声高に叫ばれるようになって、マニュアルを作成することになりました。そうして、お客さんにきちんと説明責任を果たすために、20項目もあるチェックリストができあがりました。そのチェックリストを全て埋めてからでなければ商品の説明をしてはいけないというルールになりました。

 その結果、どうなったかというと、30分ある商品説明の時間のうち、20分はチェックリストを埋める作業になってしまったのです。そうすると実際の商品説明は10分しかできなくなってしまい、これは明らかにおかしい。だから、せめてそのチェックリストを半分の10個にしようという話を進めていったのですが、その途中で法務部からストップがかかりました。いや、チェックリストは20個必要である、と。なぜなら、20個のリストがしっかりと残されることで、お客さんからクレームが来たとき、ちゃんと説明責任を果たした証拠になって、...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「経営ビジネス」でまず見るべき講義シリーズ
イノベーションの本質を考える(1)イノベーションの定義
イノベーションの定義はパフォーマンスの次元が変わること
楠木建
会社人生「50代の壁」(1)“9の坂”とまさかの坂
サラリーマン人生「50代の壁」を乗り越える生き方
江上剛
ストーリーとしての競争戦略(1)当たり前の重要さ
柳井正氏の年度方針「儲ける」は商売の本筋
楠木建
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
新しい学び直しの方法と可能性
技術革新で「学び直し」は廉価に国境を越える
小林りん
ブランド戦略論をどう読むか(1)ブランドとは何か
ブランドとは何か…企業の本質的な部分に与えるインパクト
田中洋

人気の講義ランキングTOP10
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(1)数が理解できない子どもたち
人間はどうやって「理解する」のか?『学力喪失』から考える
今井むつみ
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫
クーデターの条件~台湾を事例に考える(4)クーデター後の民政移管とその方策
軍政から民政へ、なぜ李登輝はこの難業に成功したのか
上杉勇司
『還暦からの底力』に学ぶ人生100年時代の生き方(1)定年制は要らない
仕事をするのに「年齢」は関係ない…不幸を招く定年型思考
出口治明
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
伊能忠敬に学ぶ「第二の人生」の生き方(1)少年時代
伊能忠敬に学ぶ、人生を高めて充実させる「工夫と覚悟」
童門冬二
未来を知るための宇宙開発の歴史(12)宇宙推進技術はどこまで進化したか
水平離着陸で宇宙へ、近未来のロケット像と進む技術開発
川口淳一郎
死と宗教~教養としての「死の講義」(1)「自分が死ぬ」ということ
世界の宗教は死をどう考えるか…科学では死はわからない
橋爪大三郎
編集部ラジオ2025(23)垂秀夫元中国大使が語る習近平中国
垂秀夫元中国大使に習近平中国と米中関係の実態を聞く
テンミニッツ・アカデミー編集部
大人の学び~発展しつづける人生のために(1)「Unlearn(アンラーン)」とは何か
見方を変える!生き方を変える!そのためのアンラーン
為末大