本質から考えるコンプライアンスと内部統制
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経営幹部のセクハラは一発退場!ハラスメント問題を考える
本質から考えるコンプライアンスと内部統制(2)社会の変化から考えるハラスメント
國廣正(弁護士・国広総合法律事務所パートナー)
セクハラ、パワハラ、マタハラなど、ハラスメントにはさまざまな種類がある。その全てが法令違反というわけではないが、企業のリスク管理において、役員・経営幹部のセクハラは一発退場になるのが現在の常識となっている。では社会規範が日々変化する中、どのような言動が許され、あるいは許されないのか。また、その境界線をどのように捉えればいいのか。ハラスメントの問題について、コンプライアンスの観点から考える。(全6話中第2話)
時間:11分56秒
収録日:2023年1月16日
追加日:2023年5月10日
≪全文≫

●社会規範とレピュテーション・リスクのイメージ


 それではコンプライアンスの2回目についてお話していきます。

 第1回でレピュテーション・リスクという言葉について説明しましたが、これを分かりやすく絵にしてみました。ご覧ください。

 中央に赤いラインが引いてあります。そして円があって、上に「法令」、下に「法令違反」と書いてありますね。これがまさに法令遵守の世界です。法令、法律に違反すると罰金や行政命令、業務改善命令といった制裁が下されます。このようにして企業価値は毀損されます。

 しかし、企業価値を損なうものはそれだけではありません。第1回でお話したレピュテーションはこの法令よりもさらに広い概念です。先ほどの円の周りにアメーバ状に広がっている部分を見てください。上に「社会規範」と書いてありますが、これはステークホルダーが企業に求める行動規範を指しています。これは法令には規定されていないけれども、違反する行為をすると下にあるようにレピュテーション・リスクという実質的な制裁が加えられます。株価の下落、顧客離れ、優秀な学生を採用できなくなる、といった実際上の不利益、企業価値の減損が生じることになります。

 しかも、この社会規範は絵の通りに拡大していくものです。数年前と今とでは企業に求められるものがまったく違ってきています。

 例えば、環境問題を考えてみましょう。10年前、20年前という長い単位で見れば、環境問題に対する企業の取り組み意識は「まあ、それはやったほうがいいかもしれないけれど」といった程度のもので、あまり重要視されていませんでした。ですが、今では環境に反する行為は重大なレピュテーション・リスクになってきています。環境問題に関する社会規範は年々広がってきており、それを後追いするようにして法令も整備されてきました。今では環境法などに違反すると、法令違反になります。

 ですから、リスク管理を真剣に考えるならば、企業は日々拡大する社会規範をしっかりとフォローし、時代遅れにならないように細心の注意を払わなければなりません。これがまさにコンプライアンスの本質だと私は考えます。


●役員・経営幹部の「セクハラ」は一発退場になるのが現在の常識


 そして今回は、コンプライアンスとの関連から、特にハラスメントについて考...

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