本質から考えるコンプライアンスと内部統制
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
めんどくさい?内部統制に対する誤解とリスク管理の本質
本質から考えるコンプライアンスと内部統制(3)内部統制の基礎
國廣正(弁護士・国広総合法律事務所パートナー)
コンプライアンスとともに、今や企業の活動にとって不可欠なものとなっている「内部統制」。この言葉には堅苦しく、書類をたくさん作らなければいけないとか、チェックリストが増えるなど、面倒な作業が多いイメージがあるが、その内実は「仕組み」による企業のリスク管理のことで、経営者が行うものである。そこで今回は、内部統制の基礎について、似ているようで少し違う「コーポレートガバナンス」との関係にも触れながら説明する。(全6話中第3話)
時間:9分12秒
収録日:2023年1月16日
追加日:2023年5月17日
≪全文≫

●内部統制はめんどくさい?


 それでは第3回で、いわゆる内部統制について、基礎的なことからお話したいと思います。

 企業に勤めている人ならほとんどの人が内部統制という言葉を耳にしたことがあるかと思います。ですが、第1回でご説明したコンプライアンスと同じように、この言葉にもなんだか面倒くさそうな響きがあります。内部を統制する、なんだかがんじがらめにされるような感じがします。少なくとも、この内部統制という言葉を聞いて、元気になる人はいないのではないかと思います。

 内部統制に対する具体的なイメージとしては、たくさん書類を作らなければいけないだとか、チェックリストがどんどん増えていく、といったものでしょうか。現に、内部統制という名のもとで膨大な書類作りをやらされている会社も多いと思います。

 なぜこのような「内部統制」という言葉が生まれたのかというと、英語のインターナル・コントロール(internal control)の直訳なのです。インターナルとは企業の内部のことで、このリスクをコントロールする、要するにリスク管理のことです。企業にはいろいろなリスクがありますが、それを企業内部でコントロールすること。これが内部統制という考え方になります。


●内部統制とは仕組みによってリスク管理を行うこと


 では、内部統制とは一体何なのかについて、分かりやすい例を挙げながらお話していきましょう。

 リスク管理というものは、誰にとっても必要です。ビジネスだけで考えても、お父さんとお母さんがやっている魚屋さんだって、リスク管理が必要です。刺し身が日光にあたって腐らないようにとか、置いてある魚がネコに取られないようにとか、お釣りの受け渡しを間違えないようにとか、いろいろなことでリスク管理が必要になってきます。

 このように、全てのビジネスの主体にとって、リスク管理は必要なことです。では、内部統制の特色はどこにあるのかというと、企業に関するものであるという点にあります。

 先ほどの魚屋のおじさんとおばさんの場合は、魚を腐らせないようにしっかりとショーウインドーの温度管理などをして鮮度を確保すればいいし、お釣りを間違えないようにちゃんと帳簿をつければいいのです。泥棒ネコに取られないように、ネコが来たら追い出せばいい。ただし、このようなことが...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「経営ビジネス」でまず見るべき講義シリーズ
生き続ける松下幸之助の経営観(1)今も生きている幸之助
松下幸之助の考え方には今と昔を貫くものがある
江口克彦
本質から考えるコンプライアンスと内部統制(1)「法令遵守」でリスクは管理できない
「コンプライアンス=法令遵守」ではない…実例が示す本質
國廣正
野獣の経営、家畜の経営(1)経営センスが育つ土壌
ファーストリテイリングで経営者が育つ理由
楠木建
人生100年時代の「ライフシフト概論」(1)人生100年時代のインパクト
80歳まで現役でいるために大切なこと…人生100年時代の発想法
徳岡晃一郎
ハラスメント防止に向けた風土づくり(1)ハラスメントの概要
増え続けるハラスメント…その背景としての職場の特徴
青島未佳
認知バイアス~その仕組みと可能性(1)認知バイアス入門
誰もが陥る「認知バイアス」…その例とメカニズム
鈴木宏昭

人気の講義ランキングTOP10
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境にどう対峙するか…西洋哲学×東洋哲学で問う知的ライブ
津崎良典
編集部ラジオ2025(32)哲学者たちが考えた平和追求
反EU、反国連の時代に再考!「哲学者たちの平和追求」
テンミニッツ・アカデミー編集部
近現代史に学ぶ、日本の成功・失敗の本質(6)東條内閣で行われた行政改革
悲惨な末路につながった東條英機内閣での兼職と省庁再編
片山杜秀
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(3)秀吉出世譚の背景
武闘派・秀吉として出世…織田家中で一番の武略者の道
黒田基樹
生成AI「Round 2」への向き合い方(1)生成AI導入の現在地
生成AIの利活用に格差…世界の導入事情と日本の現状
渡辺宣彦
戦争とディール~米露外交とロシア・ウクライナ戦争の行方
「武器商人」となったアメリカ…ディール至上主義は失敗!?
東秀敏
平和の追求~哲学者たちの構想(5)カント『永遠平和のために』
カント『永遠平和のために』…国連やEUの起源とされる理由
川出良枝
危機のデモクラシー…公共哲学から考える(1)ポピュリズムの台頭と社会の分断化
デモクラシーは大丈夫か…ポピュリズムの「反多元性」問題
齋藤純一
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(4)葛飾応為の芸術と人生
親娘で進歩させた芸術…葛飾応為の絵の特徴と北斎との比較
堀口茉純
日本人が知らない自由主義の歴史~前編(1)そもそも「自由主義」とは何か
消極的自由と積極的自由?…なぜ自由主義がわかりづらいか
柿埜真吾