現代ドイツの知恵と経験に学ぶ
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
なぜドイツは戦後復興、経済発展、東西統一に成功できたか
現代ドイツの知恵と経験に学ぶ(2)再び強いドイツへ
政治と経済
島田晴雄(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
公立大学法人首都大学東京理事長・島田晴雄氏が、2017年7月のドイツ訪問で得た情報、知見を踏まえ、ドイツと日本の戦後復興、そして現状を徹底比較。両国は多くの共通体験を持ちながら固有の経験もしている。日本にとって、その違いを知ることは非常に重要だと島田氏は語る。今回は分割統治から東西統一、そして欧州で圧倒的国力を獲得したドイツの軌跡をたどる。(全7話中第2話)
時間:8分34秒
収録日:2017年9月12日
追加日:2017年10月26日
カテゴリー:
≪全文≫

●ドイツはある意味で日本の鏡のような面がある


 ドイツは、今EUを支える中核の国です。特にEUがBREXITで揺れているので、役割はますます重要になります。それからまた、アメリカではドナルド・トランプ大統領という個性的な大統領が現れました。トランプ氏は世界システムに対する理解が不足しており、経済、安全保障、環境問題などにおいて国際協力の意味と役割を分かっているとは思えません。そういう意味でも、ドイツの国際的役割はこれからますます大きくならざるを得ないでしょう。

 一方、日本はもちろんアジアの中核国です。人口や経済規模でこそ中国の後塵を拝していますが、技術やさまざまな社会制度などで日本の先進的な役割は極めて重要です。しかし、日本の安全と経済活動は、日米の同盟関係に大きく依存しています。アジア諸国との経済協力にも注力していますが、安全保障は日米同盟が基軸であるだけに、アジア諸国とは微妙な距離感があります。これがドイツと日本両国の今の位置付けです。

 ドイツと日本は、歴史体験において全く共通する側面と相当違う側面があるので、これを一度振り返っておきたいと思います。共通する側面としては、ドイツと日本は連合国を相手にお互いに熾烈な戦いをして、みじめな敗戦を喫しましたが、その後たくましく経済復興、発展を果たしたという点で、相似形のようです。しかし、外見的な共体験の中身を見ると、ドイツ、日本それぞれ固有の経験があり、その違いをわれわれはよく知っておく必要があると思いますし、ドイツを理解する上でも、また、日本のあり方を自ら反省する上でも知っておいた方がいいでしょう。ドイツはある意味で日本の鏡のような面があるからです。


●ドイツ分割統治-冷戦下の2つのドイツ、2つのベルリン


 ドイツの経験からいきますと、敗戦後ドイツは米英仏ソの4カ国に直接占領されました。それは、アドルフ・ヒトラーが最後まで抵抗を続けたためで、連合国はベルリンをはじめ主要都市を徹底的に攻撃し、破壊したのです。ヒトラーが自殺した後、連合軍はドイツを直接占領する形になりました。その後、米英仏の連合国とソ連の対立が激化して、ドイツは米英仏グループによる西ドイツとソ連が支配する東ドイツに分断され、分割統治されることになったのです。

 ベルリンは東ドイツに位置しますが、かつての首都として地政学的にも戦略的にも重要な位...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
デジタル全体主義を哲学的に考える(1)デジタル全体主義とは何か
20世紀型の全体主義とは違う現代の「デジタル全体主義」
中島隆博
トランプ・ドクトリンと米国第一主義外交(1)リヤド演説とトランプ・ドクトリン
トランプ・ドクトリンの衝撃――民主主義からの大転換へ
東秀敏
「新しい資本主義」の本質と課題(1)新自由主義と『21世紀の資本』
新自由主義からの時代背景から「新しい資本主義」を問う
柳川範之
アンチ・グローバリズムの行方を読む(1)世界情勢の転換
強まるアンチ・グローバリズムの動きをどう見ればいいか
岡本行夫
マルクス入門と資本主義の未来(1)マルクスとはどんな人物なのか
マルクスを理解するための4つの重要ポイント
橋爪大三郎
トランプ政権と「一寸先は闇」の国際秩序(1)国際秩序の転換点と既存秩序の崩壊
経済秩序や普遍的価値観を破壊し、軍事力行使も辞さぬ米国
佐橋亮

人気の講義ランキングTOP10
ヒトは共同保育~生物学から考える子育て(3)共同保育を現代社会に取り戻す
狩猟採集生活の知恵を生かせ!共同保育実現に向けた動き
長谷川眞理子
トランプ・ドクトリンと米国第一主義外交(1)リヤド演説とトランプ・ドクトリン
トランプ・ドクトリンの衝撃――民主主義からの大転換へ
東秀敏
外交とは何か~不戦不敗の要諦を問う(2)外交と軍事のバランス
外政家・原敬とは違う…職業外交官・幣原喜重郎の評価は?
小原雅博
数学と音楽の不思議な関係(3)音と三角関数とフーリエ級数
フーリエ解析、三角関数…数学を使えば音の原材料が分かる
中島さち子
「集権と分権」から考える日本の核心(5)島国という地理的条件と高い森林率
各々の地でそれぞれ勝手に…森林率が高い島国・日本の特徴
片山杜秀
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
大統領に告ぐ…硫黄島からの手紙の真実(1)ルーズベルトに与ふる書
奇跡の史実…硫黄島の戦いと「ルーズベルトに与ふる書」
門田隆将
第2の人生を明るくする労働市場改革(2)前提が崩れた日本的雇用慣行
日本人全員ではない…日本的雇用慣行のターゲットは誰?
宮本弘曉
キケロ『老年について』を読む(1)キケロの評価と「老年の心構え」
老年が惨めと思われる4つの理由とは…キケロの論駁に学べ
本村凌二
50代からの親の介護~その課題と準備(1)突然やってくる介護の問題
「親の介護」の問題…優しさだけでは続かない
太田差惠子