現代ドイツの知恵と経験に学ぶ
この講義シリーズは第2話まで
登録不要で無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
6,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
戦後日本はなぜ復興できたか…占領からバブル崩壊への流れ
現代ドイツの知恵と経験に学ぶ(3)戦後日本の復興
島田晴雄(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
2017年7月のドイツ訪問で多くの情報、知見を得た公立大学法人首都大学東京理事長・島田晴雄氏が、ドイツと日本の戦後復興の経緯を徹底比較。戦後、ドイツと異なり間接占領で復興に向かった日本は、東西冷戦を経て世界における位置付けを大きく変え、高度経済成長を遂げる。しかし、アメリカとのしがらみを要因に招いたバブル経済が崩壊。日本は「失われた20年」に突入する。(全7話中第3話)
時間:8分33秒
収録日:2017年9月12日
追加日:2017年10月27日
カテゴリー:
≪全文≫

●日本がドイツと異なり間接占領となった3つの背景


 今度は、日本の経験を述べましょう。日本は敗戦後、ドイツとは違って占領軍による直接占領でなく、日本政府が存在したまま連合軍総司令部による間接占領の形を取ることができました。これは大変な幸運だといえます。なぜかというと、これによって日本は統治構造や行政機構の継続性をある程度維持できたからです。

 日本の場合、こうした間接占領が可能だったことにはいくつかの背景があります。3つほど指摘したいと思いますが、1つ目は次のことになります。アメリカ当局はポツダム宣言を発して日本に降伏を勧めました。ポツダム宣言の起草から推進については、ハリー・S・トルーマン大統領の指揮下で行われたのですが、とりわけ大変な知日家であったヘンリー・スティムソン陸軍長官と知日家かつ親日派であったジョセフ・グルー元駐日大使がその任に就きました。特にフランクリン・ルーズベルト大統領が急死したため、グルー大使が国務省次官の地位に就いたのですが、この2つの出来事によって強力にポツダム宣言の起草と推進をしたことが大変大きいと思います。

 2つ目は、ポツダム宣言の受諾についてです。軍部の強い反対があったのですが、最終的に天皇陛下の御意と鈴木貫太郎総理大臣の一命を賭けた決断が受諾を可能にしました。これを受諾しなければどうなっていたかというと、アメリカ軍にはオリンピック作戦と呼ばれる南九州上陸作戦、またコロネット作戦という関東平野侵攻作戦があり、これらによって日本列島全島を破壊・占領する計画だったのです。これがもし実行されていたら、ドイツ以上の厳しい戦後になるおそれがありました。それを天皇陛下の御意が防いだといえます。

 3番目は、連合軍総司令官として対日占領を現場で統括していたダグラス・マッカーサー元帥(将軍)と、その腹心にボナー・フェラーズという准将がいたことです。この准将は、若い頃から日本軍の研究をしており、「占領政策を成功させるためには天皇を利用すべきだ」と助言し続けたのです。マッカーサー将軍がこれを真摯に受け止めて、連合軍の極東委員会の意向に反しても天皇制を維持するために画策しました。それが今日の日本国憲法第9条の規定の根底にあるといわれますが、天皇制がマッカーサー総司令官の強い意志で維持されたことなども大きな背景だと思います。


●占領政策を180度...


スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
地政学入門 歴史と理論編(1)地政学とは何か
地政学をわかりやすく解説…地政学の「3つの柱」とは?
小原雅博
紛争が絶えない世界~私たちは何ができるか(1)「戦争の世紀」から再び戦争の時代へ
再び戦争の時代へ――私たちは何を考え、どう動くべきか
小原雅博
イラン戦争とトランプ大統領の戦争指導(1)米軍式戦略リーダーシップによる評価
イラン戦争…トランプ大統領の戦争指導のどこが問題なのか?
東秀敏
資産運用の思考法…経済や市場の動きをどう読むか
市場予測のポイント…短期・中期・長期の視点と歴史的洞察
養田功一郎
内側から見たアメリカと日本(1)ラストベルトをつくったのは誰か
トランプの誤謬…米国製造業を壊した犯人は米国の経営者
島田晴雄
危機のデモクラシー…公共哲学から考える(1)ポピュリズムの台頭と社会の分断化
デモクラシーは大丈夫か…ポピュリズムの「反多元性」問題
齋藤純一

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(38)アメリカ中間選挙と民主主義
【10min解説】第2期のトランプ大統領と中間選挙を考える
テンミニッツ・アカデミー編集部
仏教とキリスト教が照らし出す日本の宗教(1)神とは何か、そして天皇とは?
日本と世界の「神と信仰」の違いは?…そして天皇の大切な役割
橋爪大三郎
ロシア人の見る「ロシアの歴史」(4)アレクサンドル・ネフスキーの英雄化
ロシアの英雄「アレクサンドル・ネフスキー」はなぜ英雄か…ドイツ騎士団と戦った歴史がどう利用されたか
上月豊久
大統領に告ぐ…硫黄島からの手紙の真実(2)翻訳に込めた日米の架け橋への夢
アメリカ人の心を震わせた20歳の日系二世・三上弘文の翻訳
門田隆将
民主主義の本質(1)近代民主主義とキリスト教
なぜ民主主義が「最善」か…法の支配とキリスト教的背景
橋爪大三郎
「満洲」から考える日本とアジア(1)「満洲」を知る意義とは
「満洲史」はなぜ現代日本でタブー視されるのか?…王道楽土の夢とアヘンなどの裏面から見えてくる現代への教訓
宮脇淳子
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(8)『オデュッセイア』の世界的影響
オデュッセイアが物語のフォーマット?…アラビアンナイトから百合若物語、ひまわりまで
松村一男
今後の技術革新と企業経営(6)仮想通貨とフィンテック
仮想通貨が本当の「通貨」にならない理由
柳川範之
高齢者のフレイル・認知症とその予防対策(1)老年病科と高齢者の疾患・病態の特徴
頻尿、低栄養、転倒、誤嚥、フレイル…増える老年症候群と高齢者の疾患・病態の特徴
小川純人
資本主義の再定義…哲学で考える(1)アダム・スミスの「市場と感情」
資本主義を哲学する…まずアダム・スミスの見えざる手と道徳感情論
中島隆博