現代ドイツの知恵と経験に学ぶ
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
次の動画も登録不要で無料視聴できます!
なぜドイツは戦後復興、経済発展、東西統一に成功できたか
第2話へ進む
世界のスタートアップシティを目指して躍進するベルリン
現代ドイツの知恵と経験に学ぶ(1)2017年ドイツを訪れて
島田晴雄(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
2017年7月、公立大学法人首都大学東京理事長・島田晴雄氏はドイツ3大都市ミュンヘン、ベルリン、フランクフルトを訪問。各地で、さまざまな企業、団体、人と出会い、現代ドイツと日本についての議論を交わし合ったという。この旅から見えてきたのは、かつての停滞期から大きく変貌を遂げた現代ドイツの実態だった。(全7話中第1話)
時間:11分17秒
収録日:2017年9月12日
追加日:2017年10月25日
カテゴリー:
≪全文≫

●ドイツの変化を実感した3都市訪問


 私は、2017年の7月に、8日間ほど若手の事業家たちを連れてドイツを訪ねましたが、大変勉強になったので、その情報や知見などを皆さんと共有したいと思います。

 この8日間に私たちはミュンヘン、ベルリン、フランクフルト・アム・マインというドイツを代表する3大都市を訪ねて、いろいろな人々にお会いしたわけですが、大変勉強になりました。実は、私は1980年代に、日独学術文化交流プログラムで、ドイツを5回訪問し、また日本に5回ドイツ人を連れてくるというプロジェクトをお手伝いしました。そのため、その頃のドイツについては土地勘があったのですが、今回訪ねてみて、その当時のドイツとは相当変わっているという印象を強く受けました。当時のドイツは、やがてドイツ病といわれるような停滞に入りつつあったのですが、今回の訪問ではまるで別の国になっているという印象でした。

 とりわけミュンヘンの発展は目覚ましいものがありました。今や自動車産業から情報産業に至るまで主要産業が集積して、豊かさもゆとりもあります。最近ドイツは南北問題があると指摘されていますけれども、ミュンヘンは南です。そのミュンヘンの発展がおそらくそれを象徴しているのでしょう。

 一方、ベルリンは、よくご存じかと思いますが、完全に様変わりして、今世界でおそらく最も活気のある新興都市になりつつあるという印象でした。また、フランクフルトはもともと金融都市として大変な伝統がありますが、ブレグジット(BREXIT)のおかげで「これから私たちは欧州の金融中心になるんだ」という静かな自信があふれているという感じでした。
 

●現代ドイツを知る旅はミュンヘンのダッハウ収容所から


 今回の訪問ですが、ドイツ日本研究所の所長であるフランツ・ヴァルデンバーガー(Franz Waldenberger)博士が私たちの大変親しい友人で、彼が人脈を駆使して尽力してくれたおかけで、素晴らしい機会を得ることができました。8日間の旅でしたが、最初にその話をしまして、その後ドイツと日本の関係を対比させながら皆さまと一緒に現代ドイツを知るという旅をしてみたいと思います。

 私たちが訪ねた場所は10カ所ほどになりますが、その1つにダッハウの強制収容所跡があります。ミュンヘンの郊外にダッハウという町があるのですが、そこに1933年、つまりヒトラーが第一党になった時に...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
財政問題の本質を考える(1)「国の借金」の歴史と内訳
いつから日本は慢性的な借金依存の財政体質になったのか
岡本薫明
習近平―その政治の「核心」とは何か?(1)習近平政権の特徴
習近平への権力集中…習近平思想と中国の夢と強国強軍
小原雅博
中国の「なぜ」(1)なぜ「中国は一つの国なのか」
武力で負けても文化で勝つ? 恐るべし「中原」の同化力
石川好
台湾有事を考える(1)中国の核心的利益と太平洋覇権構想
習近平政権の野望とそのカギを握る台湾の地理的条件
島田晴雄
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫
デジタル全体主義を哲学的に考える(1)デジタル全体主義とは何か
20世紀型の全体主義とは違う現代の「デジタル全体主義」
中島隆博

人気の講義ランキングTOP10
平和の追求~哲学者たちの構想(1)強力な世界政府?ホッブズの思想
平和の実現を哲学的に追求する…どんな平和でもいいのか?
川出良枝
プロジェクトマネジメントの基本(3)プロジェクトのすすめ方
PDCAサイクルを回すための5つのプロセスとそのすすめ方
大塚有希子
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(2)『富嶽三十六景』神奈川沖浪裏への道
『富嶽三十六景』神奈川沖浪裏のすごさ…波へのこだわり
堀口茉純
熟睡できる環境・習慣とは(3)睡眠にいい環境とお風呂の入り方
布団に入る何分前がいい?入眠しやすいお風呂の入り方
西野精治
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
内側から見たアメリカと日本(7)ジャパン・アズ・ナンバーワンの弊害
ジャパン・アズ・ナンバーワンで満足!?学ばない日本の弊害
島田晴雄
経験学習を促すリーダーシップ(3)成功の再現性と教え上手の指導法
教え上手の指導法に学ぶ!成功の再現性を高める4ステップ
松尾睦
2025年、どん底日本を脱却する大戦略(1)日本が凋落した要因を総覧する
日本凋落の「7つの要因」と「10の復活大戦略」
島田晴雄