現代ドイツの知恵と経験に学ぶ
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経済面や歴史対応で日本がドイツに学ぶべき点とは?
現代ドイツの知恵と経験に学ぶ(6)経済と歴史対応
政治と経済
島田晴雄(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
日本が抱える三つの難問に、ドイツが与えてくれる知恵を探すと、経済面ではシュレーダー元首相が、歴史対応についてはメルケル首相が手本になりそうだ。公立大学法人首都大学東京理事長・島田晴雄氏の案内で、ドイツから学ぶべき体験と方法に注目してみよう。(全7話中第6話)
時間:15分37秒
収録日:2017年9月12日
追加日:2017年11月13日
カテゴリー:
≪全文≫

●諦観論・悲観論からシュレーダー改革への注目へ


 そこで、具体的に以上の三つの点について、ドイツから学ぶものはあるのかということを考えてみたいと思います。

 一つは、今こそ日本にはシュレーダー改革に学ぶことが大きいのではないかということです。

 先に、日本の経済は財政赤字が累積していて、いつそれが財政危機から財政崩壊に進んでもおかしくないリスクが高まっているといいました。また、アベノミクスでは成長戦略がとりわけ大切ですが、これまでのところ経済成長については政権が期待するような成果はあまり出ていません。とはいえ、取り組みが開始されてからまだ4年半しかたっていないので、アベノミクスが成功だったか否かの判断を下すのはまだ早いかもしれません。

 経済成長については、人口が減少する成熟経済では成長は難しいという諦観論があります。実際、日本では、人口が0.7パーセントほど減少しており、仮に1人当たり生産性の上昇が1パーセント強とすると、潜在成長力は0.3パーセントくらいというのが多くのエコノミストの見方です。なぜ1人当たり生産性の上昇が1パーセント程度かというと、日本はかつてのような製造業が主導する経済ではなく、サービス業主導の経済になっているためです。そういう状況では、アベノミクスで構造改革をしても経済成長の効果は期待できないという悲観論も多く聞かれます。

 しかしシュレーダー改革は、このような先進成熟国にほぼ共通する考えを覆したといえるでしょう。改革の結果、労働と社会保障コストの弾力化を敢行して、生産性と企業の業績は大いに高まり、経済成長は加速し、減税をしながらも税収は増加し、政府の債務が着実に減少しました。2017年にはマーストリヒト条約で基準とされた政府債務のGDP比60パーセント(以内)も、欧州で唯一実現の見込みがあるとされています。

 このような成果が、日本と経済構造などで多くの共通性を持つドイツで実現しているという事実を私たちも安倍政権ももっと注目し、分析して、他山の石とするべきではないかと思います。


●ドイツ中堅企業とスタートアップの活力に学ぶ


 二番目は、ドイツは中堅企業に大変力があり、スタートアップ企業の活力も非常に目覚ましいものがあるということです。このあたりからも、日本は学ぶことが多いのではないかと思います。

 日本とドイツは、ともに中堅企業・...

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