現代ドイツの知恵と経験に学ぶ
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
ドイツ躍進の基盤…シュレーダー改革とアジェンダ2010
現代ドイツの知恵と経験に学ぶ(4)シュレーダー改革
島田晴雄(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
公立大学法人首都大学東京理事長・島田晴雄氏がドイツ訪問を踏まえ、実際に見聞した「今のドイツ」をレポートする。東西統一を遂げたドイツは再び強い国力、経済力を獲得していくが、強力な労働組合による労働者の既得権保護が高じて産業に陰りが出始める。そこで社会民主党のシュレーダー首相は大改革を敢行、現在のドイツの絶好調につながっていく。「良薬は口に苦し」といわれるその改革の中身とは?(全7話中第4話)
時間:12分51秒
収録日:2017年9月12日
追加日:2017年11月11日
カテゴリー:
≪全文≫

●強い労働組合で経済に陰り-ヨーロッパの病人と化したドイツ


 一方、ドイツはどういうことになったかといいますと、大胆な大技で東西ドイツの統一を成し遂げ、返す刀で欧州統合の拡大を推進して、ユーロを実現しました。そして、拡大EUをいわばドイツの下請け生産基地として活用すると同時に、ユーロという本来のマルクよりはるかに価値の低い通貨を使って、ドイツの国際競争力を高めました。

 その結果、ドイツ人の所得は他の欧州諸国に比べ、とりわけギリシャやイタリアなど南欧諸国に比べてはるかに高いものになりました。一方、ドイツは労働組合の発言力と影響力が極めて強いのです。そして、ドイツの企業は「共同決定法」によって取締役会に労働組合代表の参加が義務付けられていますので、労働者の権利保護が徹底しています。また、アンゲラ・メルケル氏が率いるキリスト教民主同盟(CDU)と並ぶ巨大政党である社会民主党(SPD)の主たる支持基盤は労働組合で、その全国団体であるドイツ労働総同盟(DGB)は国政レベルでも強い影響力を持っています。

 しかし、労働組合の発言力があまりに強く、労働者の既得権保護が徹底したために、ドイツ産業の競争力に陰りが出てきていました。とりわけそれが1990年代から2000年代の初頭にかけて顕著になりました。例えば、ドイツでは解雇規制が厳しいため、企業は労働者の雇用を控えるようになりました。それは、解雇規制が厳しいからです。一旦雇用してしまうとその労働者が不要になっても解雇できないため、膨大な固定費用の負担を強いられるのです。また、賃金にも、年金にも、休日制度にも、そして失業手当にもこのような硬直性が高まった結果、企業は環境条件の変化に敏速に対応できなくなり、競争力は大いに減退しました。この結果、ドイツは経済も沈滞し、ヨーロッパの病人(Sick Man of Europe)とさえ揶揄されるようになったのです。


●シュレーダー首相の構造改革-アジェンダ2010


 このような事態に敢然と立ち向かって、経済改革を大きく推進したのがゲアハルト・シュレーダー氏です。シュレーダー氏は、1998年に社会民主党の党首として連邦首相となり、2003年から鋭意、構造改革を推進しました。しかし、この構造改革は国民には必ずしも歓迎されませんでした。2005年にシュレッダー首相は不本意ながら首相の座を降板します。しかし、その時、シュレーダー氏...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
グローバル環境の変化と日本の課題(1)世界の貿易・投資の構造変化
トランプ大統領を止められるのは?グローバル環境の現在地
石黒憲彦
日本人が知らないアメリカ政治のしくみ(1)アメリカの大統領権限
権限の少ないアメリカ大統領は政治をどう動かしているのか
曽根泰教
戦争と暗殺~米国内戦の予兆と構造転換(1)内戦と組織動乱の構造
カーク暗殺事件、戦争省、ユダヤ問題…米国内戦構造が逆転
東秀敏
内側から見たアメリカと日本(1)ラストベルトをつくったのは誰か
トランプの誤謬…米国製造業を壊した犯人は米国の経営者
島田晴雄
ポスト国連と憲法9条・安保(1)国連の構造的問題
核保有する国連常任理事国は、むしろ安心して戦争できる
橋爪大三郎
お金の回し方…日本の死蔵マネー活用法(1)銀行がお金を生む仕組み
信用創造・預金創造とは?社会でお金が流通する仕組み
養田功一郎

人気の講義ランキングTOP10
聖徳太子「十七条憲法」を読む(1)十七条憲法を学ぶ現代的意義
聖徳太子の「和」は議論の重視…中華帝国への独立の気概
賴住光子
ソニー流「人的資本経営と新規事業」成功論(3)「現場の熱」こそ多角化の要点
新規事業を成功させるリーダーとは…上意下達はなぜダメか
水野道訓
こどもと学ぶ戦争と平和(1)私たちに必要な想像力と戦争体験
なぜ戦争が起こるのだろう…大切なのは想像力と生の声
小原雅博
これからの社会・経済の構造変化(1)民主主義と意思決定スピード
フラット化…日本のヒエラルキーや無謬性の原則は遅すぎる
柳川範之
哲学から考える日本の課題~正しさとは何か(1)言葉の正しさとは
「正しい言葉とは何か」とは、古来議論されているテーマ
中島隆博
おもしろき『法華経』の世界(10)未来への智慧と希望
「未来応化=どんな未来も大丈夫」…ブレない臨機応変の力
鎌田東二
AI時代と人間の再定義(6)道徳の起源から考えるAIと感情の問題
道徳の起源は理性か感情か?…AI時代に必要な思考の身体性
中島隆博
平和の追求~哲学者たちの構想(6)EU批判とアメリカの現状
理想を具現化した国連やEUへの批判がなぜ高まっているのか
川出良枝
危機のデモクラシー…公共哲学から考える(5)共存・共生のための理性
共生への道…ジョン・ロールズが説く「合理性と道理性」
齋藤純一
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(6)曼荼羅の世界と未来のネットワーク
命は光なのだ…曼荼羅を読み解いて見えてくる空海のすごさ
鎌田東二