「三国志」の世界とその魅力
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たたき上げの英雄である劉備と優れた外交力持つ諸葛亮
「三国志」の世界とその魅力(5)漢室復興
渡邉義浩(早稲田大学常任理事・文学学術院教授)
現在の中国には、「三義廟」「三顧堂」「成都武侯祠」と、劉備や諸葛亮にまつわる歴史遺跡が多く残されている。真偽はともあれ、『三国志演義』によって、いかに劉備・関羽・張飛が愛され、諸葛亮が慕われているかを示すものだ。「三国志」の世界の魅力を、早稲田大学文学学術院教授の渡邊義浩氏が伝える。(全6話中第6話)
時間:15分07秒
収録日:2017年11月10日
追加日:2018年3月1日
カテゴリー:
≪全文≫

●たたき上げの英雄、劉備


 早稲田大学文学学術院の渡邊でございます。今日は「漢室復興」ということで、劉備 (リュウビ)と諸葛亮(ショカツリョウ)の話をさせていただきます。

 劉備は漢の一族だと自称しています。劉備が祖先だと称したのは前漢の景帝の息子である中山靖王劉勝ですが、この人には120人の子がいるのです。ものすごい子どもをもうけた人ですから、その子孫は中国の研究者の試算によると何十万人単位でいたことになります。したがって、後漢の王室とはほとんど関係のない人だとお考えいただいた方がいいと思います。そして、劉備・孫権(ソンケン)・曹操(ソウソウ)の三人の中で、最下層から出てきた、たたき上げの英雄が劉備だとお考えください。

 劉備を支え続けたのが、関羽(カンウ)・張飛(チョウヒ)の二人です。『三国志演義』ではこの二人と桃園で契りを結んだというフィクションが出来上がっていますが、中国はフィクションに基づいて、きちんとした歴史遺跡があるのです。

 写真を見ていただきたいのですが、劉備の故郷であるタク州にある「三義廟」です。非常にきらびやかな像とともに、三人が「桃園の契り」をした場所がちゃんと残っていますので、この三人がいかに愛されているかということが分かると思います。


●知識人を求め「三顧の礼」へ


 ただ、どうしても社会階層が低いことを反映して、この集団には当時の知識人層である「名士」が、なかなか居つかないのです。それでも戦いは強い。劉備は『三国志演義』のように泣いているだけということはなく、先頭に立って激しく戦う傭兵隊長です。軍事的能力は非常に高く、諸葛亮も劉備の軍事能力を評価しています。

 しかし、やはり地域を支配していくときには知識人がいないとどうしようもないことが、どんどん戦って拠点をとってはすぐに失う繰り返しの中で、劉備にも分かってきたのでしょう。荊州の劉表(リュウヒョウ)の元に客将として置かれている時、知識人を懸命に探しました。

 そして、「赤壁の戦い」の前年である207年を迎えます。劉備は200年の「官渡の戦い」の時には袁紹(エンショウ)の側について、負けました。その後は劉表のもとに身を寄せて客将として暮らしていたのです。そして207年に劉備は、諸葛孔明(亮が名前だが、日本では字 <あざな>の孔明で呼ぶことが多い)を三回訪ねて行きます。

 こち...

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