「三国志」の世界とその魅力
この講義シリーズは第2話まで
登録不要で無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
6,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
たたき上げの英雄である劉備と優れた外交力持つ諸葛亮
「三国志」の世界とその魅力(5)漢室復興
渡邉義浩(早稲田大学常任理事・文学学術院教授)
現在の中国には、「三義廟」「三顧堂」「成都武侯祠」と、劉備や諸葛亮にまつわる歴史遺跡が多く残されている。真偽はともあれ、『三国志演義』によって、いかに劉備・関羽・張飛が愛され、諸葛亮が慕われているかを示すものだ。「三国志」の世界の魅力を、早稲田大学文学学術院教授の渡邊義浩氏が伝える。(全6話中第6話)
時間:15分07秒
収録日:2017年11月10日
追加日:2018年3月1日
カテゴリー:
≪全文≫

●たたき上げの英雄、劉備


 早稲田大学文学学術院の渡邊でございます。今日は「漢室復興」ということで、劉備 (リュウビ)と諸葛亮(ショカツリョウ)の話をさせていただきます。

 劉備は漢の一族だと自称しています。劉備が祖先だと称したのは前漢の景帝の息子である中山靖王劉勝ですが、この人には120人の子がいるのです。ものすごい子どもをもうけた人ですから、その子孫は中国の研究者の試算によると何十万人単位でいたことになります。したがって、後漢の王室とはほとんど関係のない人だとお考えいただいた方がいいと思います。そして、劉備・孫権(ソンケン)・曹操(ソウソウ)の三人の中で、最下層から出てきた、たたき上げの英雄が劉備だとお考えください。

 劉備を支え続けたのが、関羽(カンウ)・張飛(チョウヒ)の二人です。『三国志演義』ではこの二人と桃園で契りを結んだというフィクションが出来上がっていますが、中国はフィクションに基づいて、きちんとした歴史遺跡があるのです。

 写真を見ていただきたいのですが、劉備の故郷であるタク州にある「三義廟」です。非常にきらびやかな像とともに、三人が「桃園の契り」をした場所がちゃんと残っていますので、この三人がいかに愛されているかということが分かると思います。


●知識人を求め「三顧の礼」へ


 ただ、どうしても社会階層が低いことを反映して、この集団には当時の知識人層である「名士」が、なかなか居つかないのです。それでも戦いは強い。劉備は『三国志演義』のように泣いているだけということはなく、先頭に立って激しく戦う傭兵隊長です。軍事的能力は非常に高く、諸葛亮も劉備の軍事能力を評価しています。

 しかし、やはり地域を支配していくときには知識人がいないとどうしようもないことが、どんどん戦って拠点をとってはすぐに失う繰り返しの中で、劉備にも分かってきたのでしょう。荊州の劉表(リュウヒョウ)の元に客将として置かれている時、知識人を懸命に探しました。

 そして、「赤壁の戦い」の前年である207年を迎えます。劉備は200年の「官渡の戦い」の時には袁紹(エンショウ)の側について、負けました。その後は劉表のもとに身を寄せて客将として暮らしていたのです。そして207年に劉備は、諸葛孔明(亮が名前だが、日本では字 <あざな>の孔明で呼ぶことが多い)を三回訪ねて行きます。

 こち...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
『江戸名所図会』で歩く東京~日本橋 (1)日本橋に見る徳川家康の手腕
徳川家康と江戸の町づくりー江戸時代の「日本橋」の姿とは
堀口茉純
「満洲」から考える日本とアジア(1)「満洲」を知る意義とは
「満洲史」はなぜ現代日本でタブー視されるのか?…王道楽土の夢とアヘンなどの裏面から見えてくる現代への教訓
宮脇淳子
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
核DNAからさぐる日本のルーツ(1)人類の起源と広がり
核DNAデータで日本人のルーツを探る…アフリカから日本まで来た行程と時期は?
斎藤成也
最初の日本列島人~3万年前の航海(1)日本への移住 3つのルート
最初の日本列島人はいつ、どうやって日本に渡ってきたのか
海部陽介
古代中国の「日常史」(1)日常史研究とは何か
『古代中国の24時間』英雄だけでなく無名の民に注目!
柿沼陽平

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(37)長谷川眞理子先生の公開収録!
【アンケート&公開収録】長谷川眞理子先生:男と女でどう違う?能力の高め方
テンミニッツ・アカデミー編集部
ロシア人の見る「ロシアの歴史」(2)タタールのくびきと「第三のローマ」
なぜロシアが「第三のローマ」なのか?…東ローマ帝国とモンゴル帝国の根深い影響を探る
上月豊久
『「甘え」の構造』と現代日本(1)「甘え」のインパクト
「甘え」は現代においてダメなものなのか…名著『「甘え」の構造』への2種類の誤解とは?
與那覇潤
高齢者のフレイル・認知症とその予防対策(1)老年病科と高齢者の疾患・病態の特徴
頻尿、低栄養、転倒、誤嚥、フレイル…増える老年症候群と高齢者の疾患・病態の特徴
小川純人
大統領に告ぐ…硫黄島からの手紙の真実(2)翻訳に込めた日米の架け橋への夢
アメリカ人の心を震わせた20歳の日系二世・三上弘文の翻訳
門田隆将
「満洲」から考える日本とアジア(1)「満洲」を知る意義とは
「満洲史」はなぜ現代日本でタブー視されるのか?…王道楽土の夢とアヘンなどの裏面から見えてくる現代への教訓
宮脇淳子
現代人に必要な「教養」とは?(1)そもそも教養とは何か
教養とは…本質を捉える知、他者を感じる力、先頭に立つ勇気
小宮山宏
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
第二次世界大戦とソ連の真実(1)レーニンの思想的特徴
レーニン演説…革命のため帝国主義の3つの対立を利用せよ
福井義高
『万葉集』と律令社会~官僚の心得と歌宴(1)国守・大伴家持と地方社会の日常
『万葉集』でわかる奈良時代の貴族と地方豪族の関係と日常…歌人・大伴家持の歌に秘められた国守時代の苦労話
上野誠