「三国志」の世界とその魅力
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
官渡の戦いで袁紹を破った曹操の革新性
「三国志」の世界とその魅力(3)曹操の革新性(前編)
渡邉義浩(早稲田大学常任理事・文学学術院教授)
三国志の世界を基礎から学ぶシリーズ講話。今回から2回にわたり、官渡の戦いで袁紹を破った「曹操の革新性」について早稲田大学文学学術院教授の渡邉義浩氏が解説する。曹操は宦官であった祖父の財力と人脈を武器に、自らも努力をし、10倍もの兵力差を覆して袁紹に勝利する。そこには曹操ならではの革新的な政策の秘密があった。(全6話中第3話)
時間:11分33秒
収録日:2017年11月10日
追加日:2018年2月8日
カテゴリー:
≪全文≫

●10倍もの兵力差をくつがえして袁紹を倒した曹操


 こんにちは。早稲田大学文学学術院の渡邉義浩です。今日は曹操の革新性というテーマで、三国時代の曹操がどのような形で台頭したのか、ということについてお話ししたいと思います。

 まず三国志年表を見ていただき、今日の講義の中心部分をお話しします。後漢が黄巾の乱で弱体化して、その後、董卓という独裁者が出てきましたが、その董卓を破っていった反董卓連合の中心となったのが、四代にわたって総理大臣を出した名門の家柄の袁紹という人です。

 普通の歴史の流れならば(もっとも「ならば」「たらば」ということは、歴史家としては言ってはいけないことになっていますが)、袁紹が中国を統一していくということになると思います。ところが、時代を変えていく男・曹操が出てきて、200年の「官渡の戦い」で袁紹を破っていくことになります。

 三国時代の戦いというと、赤壁の戦いが非常に有名なのですが、実は決定的に重要なのはこの官渡の戦いの方なのです。兵力差が袁紹10に対して曹操1であると、陳寿は『三国志』の中に記しています。10倍もの兵力差を覆していった曹操とはどういう人であるのか。そのことを今日はお話しさせていただこうと思います。


●祖父・曹騰の作りあげた財力、人脈を手にした曹操


 曹操という人は宦官出身です。宦官というのは宮中のハーレムに仕える男性機能を失ってしまった男性のことで卑しい身分なのですが、皇帝の非常に身近なところで暮らしているので、権力を握れる位置にあるのです。具体的には曹操の祖父に曹騰という宦官がいるのですが、その曹騰の時代に、曹操が活躍する基本となっていくための、非常にたくさんの財力と人脈を用意することになります。そして、曹騰がつくった人脈の中で非常に重要なのが西北列将です。後漢の戦いは涼州というところで異民族と戦うわけですが、そこに戦いに行く人々を「西北列将」と呼びました。この人々と曹操の祖父は非常に仲が良かったのです。

 ですから、これは推測ではありますが、曹操の幼少期には西北列将が戦いから帰って、曹騰のところに来て、「こんな戦いだった」ということを説明します。曹操はそういう話を聞きながら育っている可能性があります。涼州兵の中に、戦いの中心的な役割を果たしたダンケイ(段・ヒの下に火、横に頁)という人がいて、涼州兵の戦いの基本...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
徳川将軍と江戸幕府~徳川家斉(1)家斉が長期政権を維持できた理由
11代将軍・徳川家斉が50年もの長期政権を築けた理由
山内昌之
ローマ史と江戸史で読み解く国家の盛衰(1)父祖の遺風
なぜ「父祖の遺風」がローマと江戸に共通する価値観なのか
本村凌二
明治維新から学ぶもの~改革への道(1)五つの歴史観を踏まえて
明治維新…官軍史観、占領軍史観、司馬史観、過誤論の超克
島田晴雄
「武士の誕生」の真実(1)10世紀の東アジア情勢と「王朝国家」
「王朝国家」と「武士」が誕生した理由は大唐帝国の解体
関幸彦
百姓からみた戦国大名~国家の本質(1)戦国時代の過酷な生存環境
戦国時代、民衆にとっての課題は生き延びること
黒田基樹
最初の日本列島人~3万年前の航海(1)日本への移住 3つのルート
最初の日本列島人はいつ、どうやって日本に渡ってきたのか
海部陽介

人気の講義ランキングTOP10
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(3)認知バイアスとの正しい向き合い方
知ってるつもり、過大評価…バイアス解決の鍵は「謙虚さ」
今井むつみ
「宇宙の創生」の仕組みと宇宙物理学の歴史(1)宇宙の階層構造
「宇宙の階層構造」誕生の謎に迫るのが宇宙物理学のテーマ
岡朋治
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(2)量子論と空海密教の本質
脳内の量子的効果――ペンローズ=ハメロフ仮説とは
鎌田東二
歴史の探り方、活かし方(2)図書館「レファレンス」の活用
図書館の便利な活用法…全国の図書館からの「お取り寄せ」
中村彰彦
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(7)不動産暴落と企業倒産の内実
不動産暴落、大企業倒産危機…中国経済の苦境の実態とは?
垂秀夫
内側から見たアメリカと日本(2)アメリカの大転換とトランプの誤解
偉大だったアメリカを全否定…世界が驚いたトランプの言動
島田晴雄
東洋の叡智に学ぶ経営の真髄(5)徳は孤ならず
敬天愛人…一人ひとりを大切にしながら宇宙を相手に生きる
田口佳史
編集部ラジオ2025(27)なぜ何回説明しても伝わらない?
なぜ伝わらない?理解の壁の正体を今井むつみ先生に学ぶ
テンミニッツ・アカデミー編集部
徳と仏教の人生論(1)経営者の条件と50年間悩み続けた命題
宇宙の理法――松下幸之助からの命題が50年後に解けた理由
田口佳史
クーデターの条件~台湾を事例に考える(1)クーデターとは何か
台湾でクーデターは起きるのか?想定シナリオとその可能性
上杉勇司