「三国志」の世界とその魅力
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
赤壁の戦いで敗れた曹操の油断、勝った周瑜のその後
「三国志」の世界とその魅力(4)江東の自立
渡邉義浩(早稲田大学常任理事・文学学術院教授)
呉の孫権は、いかにして江東を自立させていったのか。天下統一を目前にしていた曹操は、なぜ「赤壁の戦い」でもろくも敗れたのか。「三国志」の世界の魅力を、早稲田大学文学学術院教授の渡邊義浩氏が伝える。(全6話中第5話)
時間:13分05秒
収録日:2017年11月10日
追加日:2018年2月22日
カテゴリー:
≪全文≫

●袁術と孫氏の自立


 こんにちは。早稲田大学文学学術院教授の渡邊です。今日は「江東の自立」というテーマで、孫権 (ソンケン)の話をさせていただくことになります。

 『三国志』には、まず父親の孫堅(ソンケン)が登場します。孫堅は、「黄巾の乱」の後、董卓と反董卓連合が戦った頃から活躍した強い武将です。彼は董卓を破り、洛陽に一番乗りしていった時に、皇帝の玉璽を手に入れました。

 その玉璽はやがて袁術 (エンジュツ)の手に渡ることになるのですが、それによって彼の自立を促すわけです。しかし、なぜ袁術の手に渡ったのかというと、孫堅が兵を挙げた時にお金を出したのが袁術だったからです。孫堅が死んだ後を継いだ孫策も袁術によって支えられますが、むしろ奴隷扱いを受けます。各地で戦っては手に入れた拠点を横取りされるということが繰り返されたのです。

 ところが、その袁術が皇帝を称したことをきっかけとして自立をしていきます。孫策は袁術から離れたことによって、周瑜 (シュウユ)という中国の江南地方を代表する名家の協力を得て、江東という長江の下流域を支配下に入れることができたのです。


●孫氏と江東の地方豪族たち


 孫氏はそれほど名門の家ではありませんでした。呉の北東部、現在の杭州近辺には「呉の四姓」と呼ばれる大豪族たちがいましたし、昔は越と呼ばれた国には「会稽の四姓」という豪族たちもいました。呉の四姓や会稽の四姓に比べると、孫氏は小さな家としてばかにされていたのです。

 そういう状況の中で、孫策は呉の四姓の筆頭である陸抗(リクコウ)の家を虐殺してしまったため、支配はなかなか安定しませんでした。漢との戦いの最中、曹操が袁紹と激しく戦う隙をついて都を襲い、献帝を拉致しようと孫策は考えていたのですが、暗殺されて亡くなってしまいます。自分の支配地で暗殺されたのですから、支配がいかに安定しなかったかが分かります。

 「覇権の争いでは劣るものの、江南の統治にかけては俺よりも優れている」と孫策に言われていたのが、弟の孫権です。陸抗の一族を殺した時にまだ幼かった彼は、手が汚れていないため、江東の人々との和解が可能になるということです。

 実際に孫権は、懸命に名士を登用していきます。張昭(チョウショウ)や周瑜が中心となって、次々に名士を呼んできました。諸葛亮の兄である諸葛瑾 (ショカツキン)なども、孫策...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
イスラエルの歴史、民族の離散と迫害(1)前編
古代イスラエルの歴史…メサイア信仰とユダヤ人の離散
島田晴雄
「三国志」の世界とその魅力(1)二つの三国志
三国志の舞台、三国時代はいつの・どんな時代だったのか?
渡邉義浩
「Fukushima50」の真実…その素顔と誇り(1)なぜ日本人は突入できたのか?
福島第一原発事故…日本の危機と闘った吉田昌郎と現場の人々
門田隆将
歌舞伎はスゴイ(1)市川團十郎の何がスゴイか(前編)
歌舞伎の魅力とサバイバル術…市川團十郎の歴史から考える
堀口茉純
天皇のあり方と近代日本(1)「人間宣言」から始まった戦後の皇室
皇室像の転換…戦後日本的な象徴天皇はいかに形成されたか
片山杜秀
新撰組と幕末日本の「真実」(序)『ちるらん 新撰組鎮魂歌』の魅力と史実の絶妙さ
新撰組と『ちるらん 新撰組鎮魂歌』…群像劇としての魅力の源泉に迫る!
堀口茉純

人気の講義ランキングTOP10
日本人とメンタルヘルス…心のあり方(6)日本人の当たり前と山本七平の違和感
日本の異様さ…フィリピンから復員した山本七平が驚いたこと
與那覇潤
禅とは何か~禅と仏教の心(1)アメリカの禅と日本の禅
自発性を重んじる――藤田一照師が禅と仏教の心を説く
藤田一照
ラフカディオ・ハーン『神国日本』を読む(7)日本の倫理こそ未来の理想
他人の幸福実現に喜びを見出す日本の道徳こそ未来の理想だ
賴住光子
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博
新撰組と幕末日本の「真実」(序)『ちるらん 新撰組鎮魂歌』の魅力と史実の絶妙さ
新撰組と『ちるらん 新撰組鎮魂歌』…群像劇としての魅力の源泉に迫る!
堀口茉純
これから必要な人材と人材教育とは?(2)AI時代に必要とされる能力
AI時代に必要なのは「問いを立てる能力」…いかに育成するか
柳川範之
人生100年時代の「ライフシフト概論」(1)人生100年時代のインパクト
80歳まで現役でいるために大切なこと…人生100年時代の発想法
徳岡晃一郎
数学と音楽の不思議な関係(1)だれもがみんな数学者で音楽家
世界は音楽と数学であふれている…歴史が物語る密接な関係
中島さち子
大統領に告ぐ…硫黄島からの手紙の真実(2)翻訳に込めた日米の架け橋への夢
アメリカ人の心を震わせた20歳の日系二世・三上弘文の翻訳
門田隆将
高市政権の進むべき道…可能性と課題(4)外交力と防衛力の強化へ
求められる「能動的サイバー防御」、問われる本物の外交力
島田晴雄