関羽の「義」と現代中国の関係
この講義シリーズの第1話
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
中国ビジネスの行く末を占う関羽信仰
関羽の「義」と現代中国の関係(3)華人ネットワーク
渡邉義浩(早稲田大学常任理事・文学学術院教授)
関帝信仰は、清朝に全盛期を迎える。その信仰がどのように広がっていったのか。シリーズ3話目では、その内容と伝播、そして中国ビジネスとの関わりについて、早稲田大学文学学術院教授の渡邉義浩氏に解説いただく。(全3話中第3話)
時間:11分21秒
収録日:2018年3月15日
追加日:2018年8月10日
カテゴリー:
≪全文≫

●関羽信仰を広げた「善書」とおみくじ


 関羽の信仰内容について、お話ししたいと思います。三国時代の関羽は「関帝(「関聖帝君」)として信仰されていったわけです。具体的にはどんな内容を持っていて、どう広がっていったのかをお話しします。

 関羽の信仰を広げていったのは「善書」と呼ばれるものです。それほど立派な本ではなく、信仰している人たちが自分のお金で作って関帝廟に置き、誰でも持ち帰ることができるという、小さなものです。

 「善書」の代表は、『関聖帝君覚世真経(かんせいていくんかくせいしんきょう)』と呼ばれるものです。この中に書いてあるのは、「忠孝」と「節義」の強調です。

 武人として三国志時代に激しく戦っていた関羽という印象ではありません。全てのものに対する能力を持ち、さらに君子に仕える「忠」や、親孝行、男女関係をきちんとしていく「節」、そして何よりも「義」を持つ全能神たる存在として、関羽が信仰されていることが分かります。

 関羽の信仰を広げるのに大きな役割を果していくのが、「関帝霊籤(かんていれいせん)」と呼ばれるもので、「霊籤」は日本でいう「おみくじ」に当たります。日本でも、関帝のおみくじは引くことができます。横浜、長崎、神戸の関帝廟でおみくじが引けますし、横浜関帝廟はインターネットからも可能です。それらを見ていただくと、どういったものが出てくるのかが具体的に分かります。日本のおみくじとそれほど変わりがありません。

 このおみくじがよく当たると評判が高く、清朝で最も優れた知識人と呼ばれた紀インも言及しています。彼は、乾隆帝の命令で『四庫全書』という中国全土の書物を集めた九億字に及ぶような本を編纂した人です。彼も関帝を信仰していましたが、「関羽のおみくじは、なぜこんなに当たるのだ」と不思議がっていました。

 おみくじには、だいたい何でもうまく適合するようなことが書いてあります。関羽のおみくじで、ここに掲げたのは第1番の大当たりで、「大吉」と書いてあるものです。ここに書かれた漢詩の意味は、「科挙で第一番になる。富貴栄華を極めていく。仙人のように長生きできる」というものなので、これが当たったらどうしようと思われる内容です。

 このようなものを引くために、列をなして並ぶほどの熱狂的な信仰がなされていました。中国の皇帝も、毎日夕方になると関羽を拝んだ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
豊臣政権に学ぶ「リーダーと補佐役」の関係(1)話し上手な天下人
織田信長と豊臣秀吉の関係…信長が評価した二つの才覚とは
小和田哲男
天皇のあり方と近代日本(1)「人間宣言」から始まった戦後の皇室
皇室像の転換…戦後日本的な象徴天皇はいかに形成されたか
片山杜秀
戦国大名の外交、その舞台裏(1)戦国大名という地域国家
戦国時代とは何か?意外と知らない戦国大名と国衆の関係
丸島和洋
歌舞伎はスゴイ(1)市川團十郎の何がスゴイか(前編)
歌舞伎の魅力とサバイバル術…市川團十郎の歴史から考える
堀口茉純
最初の日本列島人~3万年前の航海(1)日本への移住 3つのルート
最初の日本列島人はいつ、どうやって日本に渡ってきたのか
海部陽介
弥生人の実態~研究結果が明かす生活と文化(1)弥生時代はいつ始まったのか
なぜ弥生時代の始まりが600年も改まった?定説改訂の背景
藤尾慎一郎

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(6)賴住光子先生ラフカディオ・ハーン論
ラフカディオ・ハーン『怪談』と『神国日本』の深い秘密
テンミニッツ・アカデミー編集部
墨子に学ぶ「防衛」の神髄(1)非攻と兼愛
『墨子』に記された「優れた国家防衛のためのヒント」
田口佳史
『孫子』を読む:地形篇(1)六地形の戦略を学ぶ
ベトナム戦争でホー・チ・ミンが学んだ『孫子』地形篇とは
田口佳史
印象派の解体と最後の印象派展(5)ポスト印象派の台頭
ゴーガン、ルドン、スーラ、ゴッホ…ポスト印象派の時代へ
安井裕雄
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博
変化する日本株式市場とPEファンド(3)米国型への転換を迫られる日本企業
いまアクティビストの動きは?…進む「米国化」の現状
百瀬裕規
新撰組と幕末日本の「真実」(4)江戸の剣術道場が流行した背景
剣術三大流派の道場主も農民出身?…剣術道場の意外な真実
堀口茉純
ポスト国連と憲法9条・安保(1)国連の構造的問題
核保有する国連常任理事国は、むしろ安心して戦争できる
橋爪大三郎
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(1)史実としての豊臣兄弟と秀長の役割
豊臣兄弟の謎…明らかになった秀吉政権での秀長の役割
黒田基樹
いま夏目漱石の前期三部作を読む(9)反知性主義の時代を生き抜くために
なぜ『門』なのか?反知性主義の時代を生き抜くヒント
與那覇潤