関羽の「義」と現代中国の関係
この講義シリーズの第1話
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
関羽はなぜ神様としてまつられたのか?
関羽の「義」と現代中国の関係(2)国家祭祀と山西商人
渡邉義浩(早稲田大学常任理事・文学学術院教授)
京劇では、関羽を演じる役者は、化粧のときわざとその顔にホクロや黒い線をつけ、完璧な「くまどり」にはしない。神として扱われる関羽の存在に対して、一歩引いてみせる遠慮と礼儀のための伝統なのだという。ここでは関羽が死後、「神」としてまつられてからの経緯を、早稲田大学文学学術院教授の渡邉義浩氏に解説いただく。(全3話中第2話)
時間:8分45秒
収録日:2018年3月15日
追加日:2018年8月3日
カテゴリー:
≪全文≫

●関羽を「神」としたのは天台宗のお寺が始まり


 続いて、関羽が神としてまつられていく過程をお話ししていきたいと思います。

 関羽は、最初から神様として特別扱いを受けたのではなく、唐代に入ってからのことになります。天台宗は、天台智ギが始め、日本にも最澄によって入ってくる仏教ですが、その開祖智ギとも関わる玉泉寺というお寺が関羽終焉の地に近いため、最初に彼をまつります。これが、神として関羽がまつられた最初になります。

 そこでも、関羽は主神とされたわけではありません。日本ではバラモン教の神様が、「○○天(毘沙門天など)」として扱われますが、それに似た守護神としての扱いです。最初は、玉泉寺という寺を守る武力の神様という形で、関羽への祭祀が始まっていきます。


●国家の守護神として「王号」を受ける関羽


 関羽が本格的にまつられるのは、宋の時代からです。日宋貿易などで、平清盛が貿易相手とした王朝ですが、宋は中国の歴史上最弱といわれる王朝で、戦いがあると熱心に神にすがりました。宋の皇帝は、国家を守ってもらうため、関羽に称号を与えたのです。

 北宋最後の皇帝となった徽宗(きそう)は、文人皇帝として有名で、日本にも彼の描いた作品が入り、国宝に指定されています。この皇帝が、関羽を「忠恵公」と呼び、さらに「武安王」や「義勇武安王」と、王としての称号を次々に与えていきます。北宋が滅んだ後、南に移って南宋という国家を始めた高宗は、「壮繆義勇王(そうぼくぎゆうおう)」の名を与えました。関羽を神として扱っているわけです。

 ただ、南宋の高宗は諸葛亮にも「威烈武霊仁済王(いれつぶれいじんさいおう)」という名で、神としての称号を送っています。神としての称号は、長ければ長いほど偉い。関羽は「王」の前に称号として4つ、諸葛亮は6つ漢字が付いていることでお分かりだと思いますが、まだまだ諸葛亮の方が格上でした。宋の時代、国家にまつられたといっても、関羽の地位はまだまだ高くはなかったということです。


●塩を商う山西商人の発展の拠り所として


 関羽の地位がより高くなるのは、元の時代からです。元すなわちモンゴルが支配したときの中国は、国家収入の2分の1を塩が占めていました。元王朝は中国支配をどちらかといえば大ざっぱに行ったのですが、その支配は塩に大きな税金をかける「塩税」を中心に行いました。...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
徳川家康の果断と深謀~指導者論と組織論(1)率先し陣頭指揮する
徳川家康の「天下泰平」デザインとは?…陣頭指揮とカリスマ性
片山杜秀
天下人・織田信長の実像に迫る(1)戦国時代の日本のすがた
織田信長の「天下」とは…最新研究で激変する人物像・時代像
柴裕之
独裁の世界史~ギリシア編(1)世界史の始まり
「独裁政から始まる」という世界史の諸相に迫る
本村凌二
本当のことがわかる昭和史《1》誰が東アジアに戦乱を呼び込んだのか(1)「客観的かつ科学的な歴史」という偽り
半藤一利氏のベストセラー『昭和史』が持つ危険な面とは?
渡部昇一
戦前日本の「未完のファシズム」と現代(1)シラス論と日本の政治
独裁ができない戦前日本…大日本帝国憲法とシラスの論理
片山杜秀
昭和の名将・樋口季一郎…キスカ・占守島編(1)キスカ島撤退作戦
5200人の将兵を救え…米軍も称賛した「キスカ島撤退作戦」の奇跡
門田隆将

人気の講義ランキングTOP10
死と宗教~教養としての「死の講義」(5)仏教の死:日本編
極楽往生、坐禅、法華経…日本人はいかに死を乗り越えるか
橋爪大三郎
日本の財政の真実を検証する(7)AIと長寿化&質疑応答
AI時代にこそ「熟達者の経験」が生きる&現状の日本経済の実情は
宮本弘曉
昭和の名将・根本博…台湾での恩義の戦い(2)情報畑の人びとの「情の厚さ」
情に厚くなければ情報工作はできない…明石元二郎の対露工作の教訓
門田隆将
資本主義の再定義…哲学で考える(2)今の時代の人間観と共生
「共生」の本当の意味とは?…人間はHuman Co-becoming
中島隆博
ラフカディオ・ハーン『神国日本』を読む(1)なぜ『神国日本』なのか?
ラフカディオ・ハーンが解明した「美しい日本」の秘密と未来
賴住光子
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(4)ユダヤ人と金融
金融業にユダヤ人が多い理由、そして大国興亡史の裏面のユダヤ人
鶴見太郎
サム・アルトマンの成功哲学とOpenAI秘話(1)ChatGPT生みの親の半生
OpenAI創業者サム・アルトマンとはいかなる人物なのか
桑原晃弥
中国春秋戦国時代と始皇帝(序)映画『キングダム』の中国史監修
中国古代史の真実と『キングダム』…史実がわかれば物語はもっと面白い
鶴間和幸
弥生人の実態~研究結果が明かす生活と文化(10)弥生人と動物
イヌ、ネコ、ニワトリ…弥生時代の役割と縄文時代との違い
藤尾慎一郎
日本神話の基本を知る~世界・人間・文化のはじまり
「国生み・国作り・国譲り・国治め」と「むすひ」の力
鎌田東二