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LINE流イノベーティブ思考術(1)空気読みと緊張感

森川亮
C Channel株式会社 代表取締役(元LINE株式会社代表取締役社長)
概要・テキスト
日本企業が次々にイノベーションを起こすには、日本全体がもっとイノベーションを起こせるようになるには、一体どうしたらよいのか。今や世界規模で新たな価値を提供し続けるLINE株式会社代表取締役社長CEO森川亮氏に聞く。(全5話中第1話目)
時間:10:52
収録日:2014/05/14
追加日:2014/06/19
≪全文≫

●空気を読まない人がイノベーションを推し進める


―― 森川社長、本日はよろしくお願いします。早速、本題に入りたいと思います。まずはイスラエルのIT人材がイノベーションをどのようにして起こすのかという話からお願いしてもよろしいでしょうか。国民一人当たりの起業率・特許数が世界最大というイスラエルには独特のやり方があるのだろうと思うのですが。

森川 昨日はイスラエルの首相とお会いしましたし、今日も実はイスラエルのファンドの方々とお話ししています。そのように交流を重ねる中で、イスラエルのことにはかなり詳しくなりました。その知見についてはいくつかの新聞などにも書かせていただきましたが、改めてお話ししたいと思います。

 イノベーションは、基本的には今までの価値を大きく変える、もしくは停滞している状況を壊していく中で生まれてくるものです。イノベーションを起こすためにはもちろんいろいろな要素を必要としますが、技術が一番重要でしょう。問題は、技術を活かして本当の価値をつくれるかどうか。技術があっても、役に立たなければ意味がありません。それから、イノベーションを推し進める際は空気を読まないことが重要です。

―― 「空気を読まないこと」ですか。

森川 はい。そこでなぜイスラエルがイノベーションを次々に起こせるかですが、イスラエルの場合、一つには、男性も女性も100パーセント軍隊に入らなくてはならないことが関係しています。軍隊で技術を身に付けた場合、その技術をそのまま持ち出して利用していいそうです。国は特許などの権利を持たず、技術を誰でも自由に使えるようにしているのです。

―― 軍隊が学校のように機能しているということでしょうか。

森川 そうです。それが理由の一つ目です。次に、もともと移民文化で、常に人々が出たり入ったりしているので、嫌われることにあまり抵抗がないことが挙げられます。

―― 確か、ロシア系移民が一番多いのではなかったかと思います。10パーセントくらいいるはずです。

森川 日本だと、多くの人が昔から同じ場所に定住し、同じ田畑で農業を続けてきました。嫌われると村に居づらくなりますから、できるだけ周囲に嫌われないようにする文化が根づいています。しかし、移民の人たちは嫌われてもあまり気にせずにいられるので、思い切ったことが言えるのです。軍隊ですら、部下が上官に対...
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