ビジネス・エコノミクス
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
「ティア0」とは――産業構造が再編される可能性に迫る
ビジネス・エコノミクス(2)縦の構造とティア0の可能性を考える
伊藤元重(東京大学名誉教授)
経済について考えるとき、「縦の構造」をみることが重要である。「縦の構造」とは、メーカーから小売店等を経て商品が消費者に渡るなど、いわゆる流通の流れのことを指すが、そこで気になるのが自動車業界だ。近年の電動化への流れによって、ピラミッド型といえるそうした仕組み、つまり従来の産業構造に変化が生じているという。そこで出てきたキーワードが「ティア0」だ。これはどういったものなのか。その意味と可能性に迫る。(全5話中第2話)
時間:10分46秒
収録日:2021年12月9日
追加日:2022年2月24日
≪全文≫

●「縦の構造」、モノが作られてから消費者に届くまでの流れを追う


 では、二つ目の話題を提供させていただきたいと思います。これは、私の『ビジネス・エコノミクス』の2章、3章、4章あたりでかなり議論しています。

 学生に、経済をみるときには、「縦の構造」をみることがすごく重要だとよく言っています。縦の構造とは何かというと、例えば皆さんがドラッグストアに行って、風邪薬を買うとします。その場合、消費者はドラッグストアのお店の棚に置いてある風邪薬を買います。ドラッグストアのその風邪薬がどこから来るかというと、問屋さんが持ってきます。問屋さんが持ってくるドラッグストアの薬がどこから来るかというと、メーカーが作っています。

 そうすると、価格一つとっても、消費者がお店に払う価格もありますが、実際にドラッグストアがメーカーあるいは問屋さんから買うときのお金もあります。もちろん消費者が払う金額の方が、ドラッグストアがメーカーや問屋さんに払う金額よりも高くて、その差額が小売りマージンという形で儲けになります。

 業界では、消費者がお店で払うお金のことを上の代金で「上代」と呼びます。それに対して、ドラッグストアが上流であるメーカーに支払う仕入れ価格のことを下の代金で「下代」と呼びます。こういう関係をみることによって、いろいろなことが可能になってくることをこの本の中で議論しています。

 今の薬の話もそうですが、なぜユニクロやニトリのような「SPA」と呼ばれている業態が急速に成長してきたのかについて、そのビジネス・モデルを考える際にも、下流だけ見るのではなくて、上流から下流までの流れがどうなっているかを少し考えてみると非常に面白いと思います。


●薬屋で特定のメーカーの商品を勧められるのはなぜなのか


 このように、経済を上から下まで、川の上流から下流までをどうやって見るかは非常に重要な話です。最近はそうでもないのかもしれませんが、私の本の中にも出てくる昔から有名な話の例があります。少し前に、学生と一緒に調査研究した時に、学生に薬局に行って、風邪薬を買ってきてもらいました。ドラッグストアというよりも、できるだけ個人でやっているあまり大きくない個人薬局に行ってもらいました。昔はそういう薬局が多かったからです。

 当然、薬局の店主は薬剤師で専門家なので、「頭痛がする」「喉が痛い...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「経営ビジネス」でまず見るべき講義シリーズ
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
認知バイアス~その仕組みと可能性(1)認知バイアス入門
誰もが陥る「認知バイアス」…その例とメカニズム
鈴木宏昭
会社人生「50代の壁」(1)“9の坂”とまさかの坂
サラリーマン人生「50代の壁」を乗り越える生き方
江上剛
プロティアン~最先端の自律的キャリア形成(1)変幻自在のキャリア論
なぜ第二の人生のためにキャリアの棚卸しが必要か~組織から自律へ
田中研之輔
ソニー流「人的資本経営と新規事業」成功論(1)人を真に活かす人事評価とは
ソニー流の「人材論」「新規ビジネス論」を具体的に語ろう
水野道訓
そこまでやるか
当たり前のことを徹底してやった時、初めて人の心は動く
上甲晃

人気の講義ランキングTOP10
インフレの行方…歴史から将来を予測する(2)明治以降の物価推移とインフレ率
戦後日本のハイパーインフレの真実…その時、何が起きたのか
養田功一郎
ソニー流「人的資本経営と新規事業」成功論(1)人を真に活かす人事評価とは
ソニー流の「人材論」「新規ビジネス論」を具体的に語ろう
水野道訓
AI時代と人間の再定義(2)仏法僧の三宝と対話による道徳的進歩
考えるとは相手の頭を使って考えること…共同で思考する意義
中島隆博
こどもと学ぶ戦争と平和(2)「本当の平和」とは何か
「平和」には2つある…今の日本は本当に平和なのか?
小原雅博
危機のデモクラシー…公共哲学から考える(6)政治と経済をつなぐ公共哲学
どのような経済レジームを選ぶか…倫理資本主義の可能性
齋藤純一
平和の追求~哲学者たちの構想(7)いかに平和を実現するか
国際機関やEUは、あまり欲張らないほうがいいのでは?
川出良枝
産業イニシアティブでつくるプラチナ社会(4)社会課題の解決に取り組む人財産業
メダカの学校・総合的な学習(探究)の時間・逆参勤交代
小宮山宏
大統領に告ぐ…硫黄島からの手紙の真実(2)翻訳に込めた日米の架け橋への夢
アメリカ人の心を震わせた20歳の日系二世・三上弘文の翻訳
門田隆将
AI時代に甦る文芸評論~江藤淳と加藤典洋(1)AIに代わられない仕事とは何か
江藤淳と加藤典洋――AI時代を生きる鍵は文芸評論家の仕事
與那覇潤
生成AI・大規模言語モデルのしくみ(2)機械学習と大規模言語モデル
常識を初めて知った!?生成AIの大規模言語モデルとは
岡野原大輔