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農業総合研究所の流通と既存の流通の違い

ビジネスとしての農産業~農業×ITベンチャー(4)選択肢を増やす仕組み作り

及川智正
株式会社農業総合研究所 代表取締役会長CEO
概要・テキスト
株式会社農業総合研究所代表取締役社長の及川智正氏が、農業をビジネスとして魅力あるものにするための仕組みについて解説。今回は自社の流通の仕組みと既存流通の違いから考えていく。重要なのは、生産者、ユーザー、販売店それぞれが選択肢をもって選べることだと及川氏は語る。(全5話中第4話)
時間:10:19
収録日:2018/01/26
追加日:2018/04/18
≪全文≫

●既存流通との相違点


 では、今までの流通と比べて、われわれの仕組みは何が違うか。具体的なご説明をさせていただきます。

 まず生産者さん側からですが、今までの流通は自分で値段を決められない、自分で販売先も決められませんでした。また、このことを知らない方がたくさんいるのですが、なかなか自分で好きなものが生産できなかったのです。産地を形成するとそれ以外のものはなかなか引き取っていただけなかった、という事情もあります。他には、持っていったものは基本的には全てお金になるのですが、形の悪いもの、B級品、C級品、傷物は引き取ってもらえず、産地で捨てていた、というのが今までの流通でした。

 われわれの流通はどうかといいますと、その全く逆です。自分で末端売価を決められて、自分で販売店を決められて、好きなものを自由に生産できる。確かに売れ残りのリスク、在庫リスクはあるのですが、B級品でもC級品でも傷物でもおいしければ出荷できる。つまり、捨てていたものまでお金になる、というところが生産者さんに喜ばれているところではないのかなと思っています。


●都会と地方を結ぶプラットフォームの情報発信


 もう一つ、われわれのプラットフォームについて面白い話があります。われわれの1,100店舗はほぼ都会に立地をしています。この都会にある1,100店舗を使って生産者さんが自由に情報の発信をしていいようになっています。この間、面白い生産者さんがいました。和歌山でみかんを作っている生産者さんで、大阪のスーパーマーケットさんでみかんを袋詰めして販売をしていたのですが、その袋の中にカードが入っていたのです。私はてっきり、「私たちの作っているみかんはおいしいです」と、書いてあるのかなと見たら、何と「うちの農園に来てくれたらみかん3キロプレゼント」と書いてあるのですね。大阪から和歌山まで車で2時間ほどかかります。何が言いたいかというと、わざわざ2時間かけて農家さんのところに来てみかん3キロだけをもらって帰る方はいらっしゃらないのではないかな、ということです。つまり、みかん3キロだけではなく、10キロ、20キロ、50キロ、100キロと買ったり、ジュースやジャムなども買ったりして仲良くなって帰っていく。仲良くなって帰っていくと何が起こるかというと、その生産者さんのみかんがまたそのお店でずっと売れ続ける、買っていただける、という...
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