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大企業の中でスタートアップ流を導入する方法

スタートアップ流イノベーション(4)大企業との違い

鎌田富久
TomyK Ltd.代表/株式会社ACCESS共同創業者
情報・テキスト
スタートアップと大企業のやり方は、正反対といっていいほどに異なる。TomyK Ltd.代表で株式会社ACCESS共同創業者の鎌田富久氏は、大企業がスタートアップ流の方法を導入してイノベーションを起こすために、企業内に特区をつくることを提案する。(全5話中第4話)
時間:11:18
収録日:2018/05/14
追加日:2018/09/29
≪全文≫

●オープンテクノロジーがイノベーションを加速させる


 4回目は、「スタートアップ流でイノベーションを起こそう」というお話をさせていただきます。具体的にスタートアップ流とはどのようなものかをお話ししたいと思います。



 現在は、「オープンテクノロジー」という動きがイノベーションを非常に加速させています。ソフトウェアをオープンにして皆が自由に使えるようにする、オープンソースという動きがこの10~20年で進んできました。有名な例では、「Linux」というOSがオープンソースでさまざまなものに使われ出したということがあります。最近では、人工知能(AI)の深層学習(ディープラーニング)のソフトや、ほぼ自由に使えるオープンソースが多く出てきていますので、何か新しいことをやろうと思うときにゼロからやらなくてもよく、使えるものがたくさんある状態で、イノベーションを起こしやすくなっています。

 同様にハードウェアも、「オープンハードウェア」という動きがあります。回路図の情報が公開されており、ゼロから設計しなくても少しだけ追加すればいいということで、簡単にできるようになっています。また、3Dプリンターが安く使えますので、ハードウェアの筺体の試作を簡単に作ることもできるようになりました。

 従来、サイエンスは、研究室で秘密裏に研究されて、最後に論文として発表されていました。今でも基本的にはそうですが、なるべく早く公開して仲間を集め、大きな流れにする、「オープンサイエンス」と呼ばれるやり方が増えてきています。総じて、ネットの力でイノベーションを世界中で加速していくという形になってきています。

 そう考えると、伝統的に大企業が研究所の中でクローズドに開発をして製品化し、最後に発表するやり方は時間もかかりますし、イノベーションの速度になかなかついていけなくなってきています。むしろ早めに出して、周りと協力して育てていく方が、今のやり方に合っています。




●スタートアップ流のモノづくり


 モノづくりについて考えると、大企業の大きな事業では、開発、生産する工場、他にはセールスマーケティングや管理のように、それぞれ専門分野に分かれて効率よく動かすことが、やり方として適していました。ですが、そのような大量生産向けに最適化された仕組みでは、小さく始めるのはやはり難しいのです。新製品を開発して販売するために必要なファンクションは製品の数が多くても少なくても変わらないので、どうしてもさまざまな部署の人を巻き込む必要があります。そこで、まず事業計画を書き、稟議を通す、という話になりますが、そこを突破することはなかなか難しく、そのために小さなチャンスを見逃しがちになるのです。

 これに対して、スタートアップのやり方は、まず開発にフォーカスして製品を作ってしまい、それ以外のことは基本的に周りの力を活用するというやり方です。ネットを使えば、販売もできますし、SNSで広告、宣伝もできます。さらに、簡単なものであれば、量産のための資金もクラウドファンディングで集めてしまうことができます。そこを少人数かつ猛スピードで突破するというやり方で進め、注目されれば、その後、資金も人材も集まってくるということです。このようなスタートアップ的なやり方が今の時代に非常に向いていて、イノベーションを起こしているのです。

 そういったスタートアップのやり方の一つとして、いきなり世界デビューすることがあります。世界がとても近くなっており、さまざまな発表の機会もあります。本当に出来立てのスタートアップでも、いきなりコンテストに出て優勝して注目を浴びる、ということもどんどんと起きています。それは、世界にデビューすることで注目を浴び、SNSやメディアなどを使って世界に広める、というやり方です。ただ、このやり方はコンペティター(競争相手)をつくる危険性もあります。当然早めにやっていることがばれてしまいますので、競合も出てくるということです。そこはスピード勝負でどんどん開拓していくことが必要になってきます。

 実は、このような動きを利用する大企業も出てきています。「SXSW(サウスバイサウスウエスト)」という、アメリカでスタートアップが集まる大きなイベントがありますが、ここに最近、大企業も出てくるようになっています。例を挙げると、ソニーやパナソニックが大きなブースを出すようになりました。ただ普通の展示会と違うのは、大企業は製品を持ってきているわけではなく、製品になる前の試作品を持ってくるということです。これはスタートアップと同じように、社内のスタートアップ的なプロジェクトで作り上げたものをまずここに持ってきてユーザーの反...
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