社会保障と税の一体改革
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格差拡大に歯止めがかかっているのは社会保障があるから
社会保障と税の一体改革(2)2段階目の消費税引き上げと格差問題
政治と経済
野田佳彦(衆議院議員/第95代内閣総理大臣)
「社会保障と税の一体改革」に関する野田佳彦前総理の講演の後編。「社会保障と税の一体改革」にとって最大の意味を持つ2段階目の消費税引き上げ。来年10月に控え、年内の決断を迫られる安倍政権に対して、野田氏がその想いを語っていく。さらに現在最大のグローバルリスクと考える格差の問題についても言及する。(2014年6月7日開催「第10回ラウンドテーブル・ジャパン」昼食セッション基調講演より、全3話中第2話目)
時間:15分55秒
収録日:2014年6月7日
追加日:2014年7月10日
≪全文≫

●増税の素案をまとめたが、振り出しに戻る議論ばかり


 「社会保障と税の一体改革というのは、社会保障を充実、安定化させるとともに、財政の健全化を同時達成させようという趣旨のもとで、法案を作らせていただきました。ところが、これが困難を極めました。困難を極めるというのは、誰だって増税はやりたくないわけですし、与党も野党もやりたくないのです。そのやりたくないことをやらないと、日本はまさに持続の可能性がなくなってしまうと思ったので、自分の場合はおしりを決めたわけです。2011年の9月に総理に就任しましたが、その年の暮れまでに党の中で素案をまとめました。

 その素案は、税率をいつまでに何パーセント上げるか、という内容です。今の法律の2段階論の基本になっていますが、それをまとめる話をしました。しかし、これがなかなかまとまらないのです。振り出しに戻る議論ばかりでした。そんな中、インドに海外出張をするので、「その間に決めてくれ」と言っておいたのですが、決まっていませんでした。

 暮れの12月29日に帰ってきたときにまだ党内で議論していたので、私も入り、15分の演説をして、頭を下げればなんとかなるかなと思ったのですが、駄目でした。その後、5時間ぐらい激論を闘わせ、23人から質問をいただきながら、やっとその日の未明に合意することができました。そのときは100人ぐらい残っていましたけれども、拍手と握手で終わり、これで大きく前進したなと思ったのです。

●大きな岐路に立たされた野田氏、党内融和より国益の観点に立ち3党合意に向かった


 ところが、その後うまく進みませんでした。おしりをいつも決めていたと言いましたが、翌年の3月までに閣議決定をして法律を提出し、法律を提出したら、その通常国会が終わるまでに成立させる、という予定でした。だいたい3カ月刻みにおしりを置いて、そのために不退転の覚悟だとか、政治生命を懸けてと自分を追い込みながら、その目標をクリアするために闘っていったのですが、そのたびに振り出しに戻る議論がたくさん出たのです。一番困難を極めたのは、岩手県出身の方との話し合いです。なかなか納得していただけないので、2012年の5月末と6月の初めと2回お会いしました。この大親分が納得すれば、相当数が賛成するかなと思って、乾坤一擲の会談をやりましたが、うまくいきそうでいかない。...

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