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太陽系とその外に広がる星の世界との関係

現在の宇宙の姿(2)太陽系から星の世界へ

岡村定矩
東京大学名誉教授
情報・テキスト
太陽系は、太陽とその周りを回る惑星、惑星の周りを回る衛星、その他さまざまな小天体などで構成されている。太陽系のイメージは、冥王星の位置づけの変化によって、2006年以降から新しいものに変わっているが、どのようになっているのか。今回はシミュレーションソフトを活用する。宇宙に飛び出していく映像を観ながら、太陽系や星の世界を堪能することができる。(全6話中第2話)
時間:17:55
収録日:2018/12/26
追加日:2019/05/27
ジャンル:
≪全文≫

●惑星とは何か


 「現在の宇宙の姿」の第2回です。「太陽系から星の世界へ」というお話しをします。

 太陽系は、中心の太陽とその周りを回る惑星、惑星の周りを回る衛星、さらには彗星などのさまざまな小天体、これらからできています。2006年以前は、太陽系の惑星の順番を覚えるときに、「水金地火木土天海冥」というように覚えていました。ところが、観測技術が進んでくると、この海王星の外側(冥王星のあたり)に、小さな天体がたくさんあることが分かってきました。その中には、冥王星と同じくらいの大きさの天体も見つかってきました。そこで、では惑星とは何かという話が出てきました。

 実はそれまでは、「惑星というのはこういうものだ」という定義がなかったのです。空の上で、明るくて普通の星と違う動きをするものをなんとなく惑星と呼んでいたわけです。ところが、海王星の外側にいろいろな天体が見つかったことで困ったことになって、2006年の8月にチェコのプラハで開かれた国際天文学連合の総会で、惑星の定義を議論して決めることになりました。そこで採択された定義によると、「冥王星は惑星ではない」ということになったわけです。


●冥王星には太陽系外縁天体という新しい地位が与えられた


 このことは、世の中に結構な波紋を巻き起こしました。「冥王星は惑星から降格された」とか、中には「冥王星は無くなった」というとんでもない話まで、出てきました。しかし、実は冥王星は、降格されたのでも、もちろん無くなったわけでも、ありません。正解をいえば、観測技術の進歩によって新しく見えてきた、「太陽系外縁天体」という新しい種族の中の一族である、「冥王星型天体」の盟主として新たな地位を与えられたのです。

 このことは、学校現場にも大きな影響を与えるので、私たちは学校現場が混乱しないようにこの事実を正しく記述したパンフレットを作って、全国の小中高4万校に配布しました。この他にもいろんな活動をしてこの知識が正しく世の中に伝わるようにしました。その時のパンフレット「新太陽系図2007」は、現在でもダウンロードすることができます。
(http://www.yac-j.or.jp/kyouzai/taiyo/index.html)


●新しい太陽系のイメージ


 これを受けて、新しい太陽系のイメージがどうなったかを、紹介します。

 スライド左側の図が、これまでの太陽系像です。内側には、太陽を中心として、水星、金星、地球、火星、木星と惑星があり、火星と木星の軌道の間に非常にたくさんの小さな天体、小惑星があります。その外に、土星、天王星、海王星、冥王星となっていました。下に100天文単位と示してありますが、この1天文単位は、地球と太陽との間の平均距離のことです。100天文単位というのはその100倍ということを表しています。

 対して、右側の図が新しい太陽系像です。内側に関しては、変わっていません(ただし、最大の小惑星ケレスだけが特別に扱われるようになったので、その名前が書いてあります)。海王星の外に青色の点がたくさん見えています。これらは新しく見つかってきた小天体であり、数としては1000個以上見つかっています。これが太陽系外縁天体です。そしてその中には、冥王星と同じくらいの大きさのものも見つかっています。そのような大きなものを、上述のように「冥王星型天体」と命名しました。2018年現在では、冥王星、エリス、マケマケ、ハウメア、この4つが登録されています。登録された時期と大きさについては、図をご覧ください。


●太陽系とその外に広がる星の世界をシミュレーションする


 太陽系を今まで見てきましたが、太陽系の中には、自分で光る星(恒星)は一つもありません。夜空で見る星の世界は、太陽系の遥か外に広がっているわけです。

 この新しい太陽系の姿とその外に広がる星(恒星)の世界を、天文シミュレーションのソフトである「Mitaka」を使ってお見せします。最後には太陽のムービーもお見せします。Mitakaは、国立天文台4次元デジタル宇宙プロジェクトにおいて、加藤恒彦氏が開発しているフリーソフトです。以下のサイトからダウンロードして、皆さんのパソコンにインストールして楽しむことができます。
(http://4d2u.nao.ac.jp/html/program
/mitaka)

 また、ここでお見せする太陽のムービーは、国立天文台の岡本丈典氏によるものです(以降は、ムービーを見ながらの説明になりますので、映像とともにテキストをご覧ください)。

 今、地上から北極星が見えている状態です。Mitakaという...
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