ブラックホールとは何か
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天の川にある謎の物体の正体は?
ブラックホールとは何か(2)活動銀河中心核
科学と技術
岡朋治(慶應義塾大学理工学部物理学科教授)
天の川を電波写真で拡大してみると、非常に巨大な星の固まりがあることが分かる。これは1300万光年かなたにある楕円銀河で、その中心核は「活動銀河中心核」と呼ばれている。活動銀河中心核とは一体どのようなものか。(全8話中第2話)
時間:8分04秒
収録日:2018年10月31日
追加日:2019年4月2日
カテゴリー:
≪全文≫

●天の川にある謎の物体の正体は?


 銀河系(=天の川銀河)ですが、電波で見ると天の川は上の画像のように見えます。可視光で見た場合と比べると、大きく様相が異なります。確かに天の川は輝いて見えるのですが、可視光で見えたときに比べ、さらにはっきり映ります。可視光の場合、ガスやちりなどが集積した場所が黒い筋のようにあり、星の光を隠すため、見え方が異なるのです。

 電波で見た場合、こうしたものは全くありません。なぜかというと、電波は透過能がとても高く、銀河系(=天の川銀河)を透けて見せているからです。ここでお見せしたのは、周波数408メガヘルツの電波写真です。

 この天の川自体はとても興味深い対象なのですが、それ以外、例えばここ天の川の上部分に、ひょうたん形をしたものがあります。

 拡大してみると、得も言われぬ形をしたものであることが分かります。

 今、私は慶應大学の日吉キャンパスにいるのですが、ここから富士山を見たときに比べて、このひょうたん形は富士山よりも大きく見えます。

 ここに満月の大きさとの比較もありますが、ひょうたん形はそれよりもはるかに大きいのです。これは何なのでしょうか。

 さらに中心部分を拡大してみると、その中心には何やらまばゆく輝いている点状のものがあり、その点状のものから両側に細く吹き出ているものがあるということが分かります。

 この部分を可視光の写真で見てみると、資料内の右画像のようなものであることが分かります。これは実は、「NGC5128」という1300万光年かなたにある楕円銀河です。そして、その中心核はとても明るく輝いており、中心核の両側から電波のジェットが出ています。

 こうしたものを「活動銀河中心核」といいます。電波ジェットは電波でまばゆく輝くため、ご覧いただいている天体は「ケンタウルスA」とも呼ばれます。これはケンタウルス座において、電波で最も明るい天体という意味です。

 このケンタウルスAは、活動銀河中心核を持つ楕円銀河であり、電波...

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