ブラックホールとは何か
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いて座A*は現在最も有力なブラックホール候補
ブラックホールとは何か(3)いて座A*
岡朋治(慶應義塾大学理工学部物理学科教授)
天の川銀河の中心にある「いて座A*」は現在、ブラックホールの最も有力な候補天体である。現在はとても暗いが、さまざまな研究によれば、過去には活発な時期があったという。そんな中、最近、人類が初めてブラックホールにガスが落ち込む様を見る機会が訪れた。(全8話中第3話)
時間:11分29秒
収録日:2018年10月31日
追加日:2019年4月9日
カテゴリー:
≪全文≫

●現在最も有力なブラックホール候補天体「いて座A*」


 次に、私たちの銀河系(=天の川銀河)の中心の話に移りたいと思います。銀河系(=天の川銀河)の中心核とは、「いて座A*」という非常に小さな電波天体として認識されています。

 まず、中心を拡大した写真をお見せします。中心には星がびっしりあることが分かります。それらは赤かったり青かったりします。この写真が、赤外線の写真です。

 この部分をさらに拡大します。これは16年分見た写真を合成したもので、この星の動きをよく見てみると、この真ん中を重力源として、その周りを回っているように見えます。

 実際にこの星々の運動を解析してみると、この中心に電波天体いて座A*があり、そのいて座A*の周りを星たちが楕円状の軌道で回っているということが分かります。この楕円軌道は、太陽の周りの地球の軌道と同じ「ケプラー運動」と呼ばれます。

 赤外線では何も見えないのですが、そこにはとても重い何かがあることが分かっています。その重さは計算されており、400万太陽質量であると算出されています。つまり400万太陽質量の見えない質量が、この銀河系(=天の川銀河)の中心にはあるのです。これは現在、最も確実度の高いブラックホールの候補天体です。


●いて座A*は時々チカチカ輝くが、非常に暗い


 この銀河系中心核は、前回お見せしたケンタウルスAとは様相が少し異なります。ケンタウルスAの場合は中心核がまばゆく輝いており、両側にジェットが出ていて、とても明るい、派手な天体でした。

 それに対して、この銀河系(=天の川銀河)の中心核いて座A*は、電波天体ではあるのですが、とても暗いことで知られています。しかし、単に暗いわけではなく、時々チカチカ輝くことも分かっています。X線や赤外線などで時々輝くのです。

 ここにお見せしたのは中心核いて座A*の様子なのですが、ムービーにするとチカチカと光っていることが分かります。1日に何回か光るといった感じです。なぜなのかは分かっていないのですが、この光り方にも時々準周期的なものがあるということは分かっています。これはブラックホールであると見なされる一つの証拠だといわれています。

 問題は暗さです。いて座A...

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