ブラックホールとは何か
この講義シリーズは第2話まで
登録不要で無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
6,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
いて座A*は現在最も有力なブラックホール候補
ブラックホールとは何か(3)いて座A*
岡朋治(慶應義塾大学理工学部物理学科教授)
天の川銀河の中心にある「いて座A*」は現在、ブラックホールの最も有力な候補天体である。現在はとても暗いが、さまざまな研究によれば、過去には活発な時期があったという。そんな中、最近、人類が初めてブラックホールにガスが落ち込む様を見る機会が訪れた。(全8話中第3話)
時間:11分29秒
収録日:2018年10月31日
追加日:2019年4月9日
カテゴリー:
≪全文≫

●現在最も有力なブラックホール候補天体「いて座A*」


 次に、私たちの銀河系(=天の川銀河)の中心の話に移りたいと思います。銀河系(=天の川銀河)の中心核とは、「いて座A*」という非常に小さな電波天体として認識されています。

 まず、中心を拡大した写真をお見せします。中心には星がびっしりあることが分かります。それらは赤かったり青かったりします。この写真が、赤外線の写真です。

 この部分をさらに拡大します。これは16年分見た写真を合成したもので、この星の動きをよく見てみると、この真ん中を重力源として、その周りを回っているように見えます。

 実際にこの星々の運動を解析してみると、この中心に電波天体いて座A*があり、そのいて座A*の周りを星たちが楕円状の軌道で回っているということが分かります。この楕円軌道は、太陽の周りの地球の軌道と同じ「ケプラー運動」と呼ばれます。

 赤外線では何も見えないのですが、そこにはとても重い何かがあることが分かっています。その重さは計算されており、400万太陽質量であると算出されています。つまり400万太陽質量の見えない質量が、この銀河系(=天の川銀河)の中心にはあるのです。これは現在、最も確実度の高いブラックホールの候補天体です。


●いて座A*は時々チカチカ輝くが、非常に暗い


 この銀河系中心核は、前回お見せしたケンタウルスAとは様相が少し異なります。ケンタウルスAの場合は中心核がまばゆく輝いており、両側にジェットが出ていて、とても明るい、派手な天体でした。

 それに対して、この銀河系(=天の川銀河)の中心核いて座A*は、電波天体ではあるのですが、とても暗いことで知られています。しかし、単に暗いわけではなく、時々チカチカ輝くことも分かっています。X線や赤外線などで時々輝くのです。

 ここにお見せしたのは中心核いて座A*の様子なのですが、ムービーにするとチカチカと光っていることが分かります。1日に何回か光るといった感じです。なぜなのかは分かっていないのですが、この光り方にも時々準周期的なものがあるということは分かっています。これはブラックホールであると見なされる一つの証拠だといわれています。

 問題は暗さです。いて座A...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「科学と技術」でまず見るべき講義シリーズ
社会はAIでいかに読み解けるのか(1)経済学理論の役割
AIやディープラーニングによって社会分析の方法が変わる
柳川範之
「宇宙の創生」の仕組みと宇宙物理学の歴史(1)宇宙の階層構造
「宇宙の階層構造」誕生の謎に迫るのが宇宙物理学のテーマ
岡朋治
「進化」への誤解…本当は何か?(1)進化の意味と生物学としての歴史
実は生物の「進化」とは「物事が良くなる」ことではない
長谷川眞理子
水から考える「持続可能」な未来(1)気候変動の現在地
最悪10メートル以上海面上昇…将来に禍根残す温暖化の影響
沖大幹
本当によくわかる「量子コンピュータ入門」(1)量子コンピュータとは何か
「量子コンピュータ」はどういうもので、何に使えるのか
武田俊太郎
ブラックホールとは何か(1)私たちが住む銀河系
太陽系は銀河系の中で塵のように小さな存在でしかない
岡朋治

人気の講義ランキングTOP10
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
『万葉集』と律令社会~官僚の心得と歌宴(3)国司と郡司のつきあい
郡司の妻たちと宴会!?……国司・大原真人今城へのはなむけの歌に記された「媚態表現」の真相と人心掌握術
上野誠
ロシア人の見る「ロシアの歴史」(2)タタールのくびきと「第三のローマ」
なぜロシアが「第三のローマ」なのか?…東ローマ帝国とモンゴル帝国の根深い影響を探る
上月豊久
高齢者のフレイル・認知症とその予防対策(6)認知症予防と健康寿命の延伸に向けて
フレイル・サイクルは回り出したら抜けられない!?負のスパイラルへの対処法
小川純人
「満洲」から考える日本とアジア(1)「満洲」を知る意義とは
「満洲史」はなぜ現代日本でタブー視されるのか?…王道楽土の夢とアヘンなどの裏面から見えてくる現代への教訓
宮脇淳子
資本主義の再定義…哲学で考える(1)アダム・スミスの「市場と感情」
資本主義を哲学する…まずアダム・スミスの見えざる手と道徳感情論
中島隆博
『「甘え」の構造』と現代日本(1)「甘え」のインパクト
「甘え」は現代においてダメなものなのか…名著『「甘え」の構造』への2種類の誤解とは?
與那覇潤
現代人に必要な「教養」とは?(1)そもそも教養とは何か
教養とは…本質を捉える知、他者を感じる力、先頭に立つ勇気
小宮山宏
「自分をコントロールする力」の仕組み(1)自制心と目標の達成
自制心の重要性…人間は1日4時間も何かを「欲求」している
森口佑介
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男