現在の宇宙の姿
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
天の川銀河は、1000億の恒星と星間物質からできている
現在の宇宙の姿(3)天の川と銀河系
岡村定矩(東京大学名誉教授/東京大学EMP(エグゼクティブ マネジメント プログラム)エグゼクティブ・ディレクター)
銀河系の形は薄い円盤状で、太陽系は円盤の周縁に近い位置にある。太陽系から、銀河面と呼ばれる銀河系の赤道面に沿った方向を見ると、ガスやダストといった星間物質が光を遮るため、遠くの星まで見ることはできない。少し斜め上や下を見ると、遮光が弱まり多くの星を見ることができる。本講義では、すばるやオリオン大星雲のような銀河系内のさまざまな天体が紹介される。(全6話中第3話)
時間:14分48秒
収録日:2018年12月26日
追加日:2019年6月6日
カテゴリー:
≪全文≫

●銀河系の形は薄い円盤状であり、太陽系は中心から離れた位置にある


 「現在の宇宙の姿」をテーマにした講義の第3回です。今回は、「天の川と銀河系」というお話をします。

 第2回目で説明しましたように、われわれの太陽は銀河系と呼ばれるたくさんの星の集団の中にあります。この銀河系の姿を最新の観測データで表したものが、上のスライドの左側の図になります。

 銀河系を横から見ると、全体としては薄い円盤のような形をしています。例えていえば、目玉焼きを2枚作って、底面を貼り合わせたものを想像しても良いでしょう。銀河系を正面から見ると、円盤内にきれいな渦巻き模様が見えて、中心には棒のような構造があります。太陽系は、中心から少し離れた渦巻き腕の中にあります。真横から見ると、太陽は円盤の中で中心からかなり離れた位置にあります。


●光を遮る星間物質と、太陽系からの星の見え方


 スライド右側の中央の写真は、銀河系と同じような集団(NGC 891)を真横から見たものです。黒い中心の帯がくっきりと見えています。黄色く見えているところは、無数の星が輝いているところです。黒い帯は、濃い塵(ちり・ダスト)とガスが集まっているところです。星と星との間の空間にはガスが満ちていて、そのガスの中にダストがあります。このダストとガスを合わせて、「星間物質」と呼びます。宇宙にある塵(ちり)、ダストというものは、家庭の塵とかほこりとはちょっと違います。イメージとしては、蒸気機関車の煙突から出る黒煙を想像していただくのが良いかと思います。この黒煙の中には、ススという固体の微粒子がたくさん混じっています。それに類した状況になっていると考えてください。

 銀河系とダストの関係は、スライド右上に写真を載せている、「どら焼き」をイメージしていただくと分かりやすいと思います。このどら焼きの餡(あん)が、黒いダストを含むガスになります。この餡(あん)の中にも星はあるのですが、ダストに遮られて光が届かないので、黒く見えているわけです。

 これを、もう少し模式的に説明してみます。スライド右下の図を見てください。円盤の中に星がたくさんあり、太陽系が左の端近くにあります。銀河系の中には星が無数にあるわけですが、太陽系から円盤の赤道面(銀河面)の方向を見ると、ダストがあるので遠く...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「科学と技術」でまず見るべき講義シリーズ
培養肉研究の現在地と未来図(1)フェイクミート市場とリアルミート研究
食肉3.0時代に突入、「培養肉」研究の今に迫る
竹内昌治
航空機事故ゼロをめざして(1)フラッター現象とは何か
零戦の開発段階で起きたフラッター現象…事故の教訓とは
鈴木真二
ChatGPT~AIと人間の未来(1)ChatGPTは何ができて、何ができないか
ChatGPTは考えてない?…「AIの回答」の本質とは
西垣通
ブラックホールとは何か(1)私たちが住む銀河系
太陽系は銀河系の中で塵のように小さな存在でしかない
岡朋治
進化生物学から見た「宗教の起源」(1)宗教の起源とトランス状態
私たちにはなぜ宗教が必要だったのか…脳の働きから考える
長谷川眞理子
本当によくわかる「量子コンピュータ入門」(1)量子コンピュータとは何か
「量子コンピュータ」はどういうもので、何に使えるのか
武田俊太郎

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2025(27)なぜ何回説明しても伝わらない?
なぜ伝わらない?理解の壁の正体を今井むつみ先生に学ぶ
テンミニッツ・アカデミー編集部
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(2)量子論と空海密教の本質
脳内の量子的効果――ペンローズ=ハメロフ仮説とは
鎌田東二
デカルトの感情論に学ぶ(1)愛に現れる身体のメカニズム
デカルトが注目した心と体の条件づけのメカニズム
津崎良典
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(2)バイアスの正体と情報の抑制
『100万回死んだねこ』って…!?記憶の限界とバイアスの役割
今井むつみ
内側から見たアメリカと日本(2)アメリカの大転換とトランプの誤解
偉大だったアメリカを全否定…世界が驚いたトランプの言動
島田晴雄
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(1)数が理解できない子どもたち
なぜ算数が苦手な子どもが多いのか?学力喪失の真相に迫る
今井むつみ
戦争と暗殺~米国内戦の予兆と構造転換(3)未解決のユダヤ問題
「白人vsユダヤ人」という未解決問題とトランプ政権の行方
東秀敏
徳と仏教の人生論(1)経営者の条件と50年間悩み続けた命題
宇宙の理法――松下幸之助からの命題が50年後に解けた理由
田口佳史
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦