戦前派一日本人の憂鬱~太平洋戦争と敗戦後を顧みて…
この講義シリーズの第1話
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
日本の軍人の多くは「武士道」のような美風を失っていた
戦前派一日本人の憂鬱~太平洋戦争と敗戦後を顧みて…(2)
野田一夫(元一般財団法人 日本総合研究所名誉会長)
太平洋戦争敗戦から来年は早くも70年。「あの敗戦に学ぶべき教訓とは?」…。“徴兵検査”を受けた最後の世代である野田一夫氏が、自身の経験と知見に基づき、明治、昭和、平成、三つの時代を回顧しつつ、“戦後民主主義の劣化”に警鐘を鳴らす。
時間:13分49秒
収録日:2014年7月18日
追加日:2014年8月22日
 太平洋戦争が無条件降伏で終った時、僕は満18歳で、旧制高校理科の学生でした。その前年に兵役法が改正されて徴兵検査は「満17歳の男子」の義務となりましたから、僕は敗戦直前に徴兵検査を受けて“甲種合格”。召集令状が来る前に日本は無条件降伏しましたから、軍隊経験はありません。ただし、“学徒出陣”で何人かの文科系の先輩が本心を吐露しえないまま召集に応じて行ったことを経験しましたから、戦後出版された『きけ わだつみのこえ─日本戦没学生の手記』(岩波文庫)を読むと、今でも涙が止まりません。
 
 当時は、召集された本人は、その友人はもとより家族にすら本心を口にすることができない時代でした。僕の記憶では、日本の社会状況が本当に息苦しくなったのは、1940年の大政翼賛会結成を契機としてでした。小学3年生の夏に日中戦争は始まり徐々に中国戦線は広がって行きましたが、中学高学年の頃までの国内は、少なくとも一般庶民が自分の発言を気にするほどの社会的緊張感はありませんでした。ですが、全政党が解散し、過激派の陸軍幹部が事実上完全に政治を支配する体制が確立されたのを契機に、国家や戦争への懐疑や批判を口にする者は即“非国民”として当局から睨まれて拘束の対象となる時代になり、言論の自由が完全に失われた段階で、日本は太平洋戦争に突入したのです。

 僕の幼少期から青年時代にかけて、父は三菱重工業の航空機部門で海軍の軍用機開発の総責任者でしたが、海外経験も多かったので、「アメリカと戦っても勝てない。戦ってもせいぜい半年」と公言していましたから、多分当局からはマークされていたでしょうが、立場上からか、不思議と拘束されたことはありませんでした。海軍軍人ながら若い頃 MITへの留学経験まであった連合艦隊司令長官・山本五十六氏とは気が合ったらしく。『山本語録』に遺された言葉の多くは、父の日常の発言にそっくりで、驚いたものです。

 明治18年生まれの父は青年時代に日露戦争を経験していましたから、太平洋戦争勃発前後の日本の指導者の言動や、それに同調したマスコミの「鬼畜米英撃滅」といった愚かしいほど過激な表現に、強く反発していました。開戦早々本土に収容された英米軍の捕虜に「おかわいそうに」と同情した日本人女性は、マスコミを通して強烈な社会的バッシングを受けましたが、確かに明治時代と違っていたことは明らかのようです。あ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
家康の人間成長~戦略性をいかに培ったか(1)今川「人質」時代と今川義元の思惑
徳川家康の秘密…「辛抱」イメージとは異なる自由奔放な人質時代
小和田哲男
豊臣政権に学ぶ「リーダーと補佐役」の関係(1)話し上手な天下人
織田信長と豊臣秀吉の関係…信長が評価した二つの才覚とは
小和田哲男
『昭和16年夏の敗戦』と『昭和23年冬の暗号』
『昭和16年夏の敗戦』『昭和23年冬の暗号』が映す未来とは
猪瀬直樹
徳川将軍と江戸幕府~井伊直弼編(1)桜田門外の変と井伊直弼の人物像
「桜田門外の変」の謎…井伊直弼の警護に問題はなかったのか
山内昌之
本当のことがわかる昭和史《1》誰が東アジアに戦乱を呼び込んだのか(1)「客観的かつ科学的な歴史」という偽り
半藤一利氏のベストセラー『昭和史』が持つ危険な面とは?
渡部昇一
敗戦から日本再生へ~大戦と復興の現代史(1)厚木飛行場に降り立った占領者
敗戦した日本の武装解除はなぜ無血だったか…その背景とは
島田晴雄

人気の講義ランキングTOP10
徳川将軍と江戸幕府~井伊直弼編(4)官僚集団の問題と井伊直弼のジレンマ
井伊直弼のジレンマ…政治家の実力と同居した致命的な矛盾
山内昌之
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
仏教とキリスト教が照らし出す日本の宗教(2)教義の宗教と覚りの宗教
キリスト教は教義の宗教、仏教は覚りの宗教…仏教はなぜ普遍宗教か
橋爪大三郎
大統領に告ぐ…硫黄島からの手紙の真実(2)翻訳に込めた日米の架け橋への夢
アメリカ人の心を震わせた20歳の日系二世・三上弘文の翻訳
門田隆将
もののあはれと日本の道徳・倫理(1)もののあはれへの共感と倫理
本居宣長が考えた「もののあはれ」と倫理の基礎
板東洋介
中国史概説~『皇帝たちの中国』を読む(3)全皇帝の4分の3は「非漢族」
6000万人の漢人が、三国志の戦乱後に400万人台に…衝撃の人口変動
宮脇淳子
中国春秋戦国時代と始皇帝(序)映画『キングダム』の中国史監修
中国古代史の真実と『キングダム』…史実がわかれば物語はもっと面白い
鶴間和幸
日本の財政の真実を検証する(7)AIと長寿化&質疑応答
AI時代にこそ「熟達者の経験」が生きる&現状の日本経済の実情は
宮本弘曉
AI大格差~最新研究による仕事と給料の未来(1)最新研究から見えてくる未来像
AI大格差…なぜ日本の雇用環境では「ショックが大きい」のか?
宮本弘曉
ラフカディオ・ハーン『神国日本』を読む(1)なぜ『神国日本』なのか?
ラフカディオ・ハーンが解明した「美しい日本」の秘密と未来
賴住光子