「中国の大問題」について
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
今の中国は40年前の日本と同じだが、規模が桁違い
「中国の大問題」について(1)数字で読み解く中国経済の実情
丹羽宇一郎(元中華人民共和国駐箚特命全権大使)
「中国経済はもう終わり」。最近、そんな声がよく聞かれる。だが、それを「勉強不足」の浅見と一蹴する識者がいる。「終わり」どころか、中国経済はまだまだ伸びる。そして早晩アメリカを抜くだろう。伊藤忠商事社長・会長から初の民間出身中国大使に就任した丹羽宇一郎氏が中国経済の去就を数字で読み解く。
時間:8分31秒
収録日:2014年7月28日
追加日:2014年8月28日
≪全文≫

●「中国経済はもう終わり」は浅見。日本の戦後史に学べ


── 丹羽前中国大使は、伊藤忠商事株式会社を代表取締役社長として再建し、取締役会長・相談役を務められ、伊藤忠時代に何度も中国に足を運び、6大商社の中で一番大きい投資のポジションを採られました。そして初の民間出身駐中国大使になられ、おそらく歴代の大使で初めて、数字で照合するかたちで改革開放の中国と戦後復興の日本を比較して、「今の中国は1955年から1973年の日本の戦後復興と同様の段階であり、そう簡単に中国のバブルは崩壊しない」という主旨のことを語られています。このあたりからお話をお聞かせいただければと思います。

丹羽 中国の約30年間(改革開放後の1978年~2010年)の経済成長率(実質GDP成長率)は平均10パーセントでした。これが最近9パーセント、8パーセント、7.4パーセント(2014年上半期)となって、今はもう早晩6パーセント程度までいくのではないか、中国経済もいよいよ終わりかというような論調が、今、日本の国内で、メディアをはじめ、学者の中にも出てきました。しかし「ちょっと待ちなさい」と私は言いたい。そういうことを言っている人は、もう少し日本の経済を学ぶべきでしょう。そのうえで、中国だけがなぜそうなるのかということを考えなければいけないと思います。

 中国は日本よりも大きいですから、日本の通りにはいかないにしても、大きいということは深いし、広いのです。ですから、中国の場合、もし成長率が10パーセントから8パーセント、あるいは7パーセントになるとして、それは日本ほど急激ではありません。なぜなら、西に非常に深いし、沿岸も広いですから、もっとじわじわとした動向になります。日本で15年間続いたものであれば30年ぐらいは続くのではないか。一度、そういう目で日本の経済を見てみたらいいのです。


●今の中国は40年前の日本。しかも規模が桁違い


丹羽 私はもともと資本主義の発展段階説という立場を採っていますので、その観点から、ある仮説を立てました。つまり、経済は最初のうち急速な勢いで成長するが、途中から市場経済に移行し市場の中心が輸出産業から国内産業になってくると、経済成長は非常に落ち着いて安定する。経済規模は大きくなるが、成長率は輸出中心の時代ほど急激ではなくなるだろう。このような仮説です。その仮説...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
クーデターの条件~台湾を事例に考える(1)クーデターとは何か
台湾でクーデターは起きるのか?想定シナリオとその可能性
上杉勇司
デジタル全体主義を哲学的に考える(1)デジタル全体主義とは何か
20世紀型の全体主義とは違う現代の「デジタル全体主義」
中島隆博
日本人が知らないアメリカ政治のしくみ(1)アメリカの大統領権限
権限の少ないアメリカ大統領は政治をどう動かしているのか
曽根泰教
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫
外交とは何か~不戦不敗の要諦を問う(1)著書『外交とは何か』に込めた思い
外交とは何か…いかに軍事・内政と連動し国益を最大化するか
小原雅博
中国の「なぜ」(1)なぜ「中国は一つの国なのか」
武力で負けても文化で勝つ? 恐るべし「中原」の同化力
石川好

人気の講義ランキングTOP10
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(1)北斎の画狂人生と名作への進化
葛飾北斎と応為…画狂の親娘はいかに傑作へと進化したか
堀口茉純
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
内側から見たアメリカと日本(7)ジャパン・アズ・ナンバーワンの弊害
ジャパン・アズ・ナンバーワンで満足!?学ばない日本の弊害
島田晴雄
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(1)数が理解できない子どもたち
なぜ算数が苦手な子どもが多いのか?学力喪失の真相に迫る
今井むつみ
歴史の探り方、活かし方(1)歴史小説と史料探索の基本
日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは
中村彰彦
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
健診結果から考える健康管理・新5カ条(1)血管をより長く守ることが重要な時代
健康診断の結果が悪い人が絶対にやってはいけないこと
野口緑
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
プロジェクトマネジメントの基本(1)国際標準とプロジェクトの定義
プロジェクトマネジメントとは?国際標準から考える特性
大塚有希子
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦