●中国は、一人ではまとめにくいのが現実だ
―― 多様性の全くない島国に住む日本人にとって、50以上の少数民族がいて、14億人も暮らす中国はやはり捉えにくいものでしょうか。
丹羽 日本人だけでなく、そもそも習近平その人からして、民族も人も多すぎて、誰がどこで何をしているか捉えられていない。だから、33の行政府に書記を置き、各地方の行政を任せてある。その人たちの意見を聞きながら国の運営をしていくのだが、一人の人間ではまとめにくいのが現実でしょう。
―― 過去の皇帝と全く同じです。
丹羽 昔の中国では、皇帝と農民は、もう一切、何の接触もなかったのです。今後、中国は14億人の民を中国共産党8000万人で統治するのは難しいでしょう。そこで、どのように変革していくかを考えなくてはならない。アメリカンデモクラシーでは少々無理がある。どのような統治の形を採るのか、自ら考えなくてはならないでしょう。
●連邦共和制の他に、統治の方法はないだろう
丹羽 その本(『中国の大問題』)にも書いたかもしれませんが、私は連邦共和制を採るべきだと考えています。例えば、華南地区や西北地区などの各地区に権限を委譲して、中央に国家を置く。企業に例えれば、各地区に子会社をつくり、本社を北京に置いて、子会社のトップを本社取締役会に集めて議論し、子会社に戻り各々が実行するという形式に近いです。
そうしないと、毎回、全人代の3000人がアメリカや日本のように国会議事堂に集まっても満足な議論はできない。一人1分話したら3000分。3000分とは一体何日ですか。
―― 単純計算でも50時間ですから、まる2日以上です。そのような会議はあり得ません。
丹羽 だから、アメリカンデモクラシーは中国では適用できない。今、私が話したような連邦制、ヨーロッパのEUを一段と厳しくしたような形式が良いだろうと思います。
そうなれば、習近平は連邦国家の会長。李克強はその下の総理。それで、孫政才はハルピンと東部3省の担当で、誰々は河北、河南など、まず大きく六つほどに分ける。新疆ウイグル自治区やチベット自治区、あるいは香港などをどうするのかは問題だが、とにかくそのような間接制統治にしないと難しいのではないでしょうか。
―― 戦国時代の七雄に、新疆ウイグル自治区やチベット自治区、香港などが付いているイメージでしょ...