「中国の大問題」について
この講義シリーズの第1話
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
鄧小平の改革開放から約40年ーこのままでは失敗する
「中国の大問題」について(2)社会主義市場経済の限界と可能性
丹羽宇一郎(元中華人民共和国駐箚特命全権大使)
類のない超経済大国となった中国。だがその「驕り」は中国の足下をすくうだろうと、丹羽宇一郎前中国大使は指摘する。中国経済は今後どうなるのか。「世界の工場」から「世界の市場」へと移行する中国に対して、日本はどう向き合うべきなのか。日中経済という難問を丹羽氏が語る。(全4話中第2話目)
時間:11分16秒
収録日:2014年7月28日
追加日:2014年9月4日
≪全文≫

●輸出輸入から内需拡大へ。中国経済は次の局面に入った


── 丹羽前中国大使は、近著『中国の大問題』(PHP新書)の中で、「日本にとって輸出入ともに最大のお得意先である中国について、ネガティブな話を大きく伝える日本のマスコミは相当問題があるのではないか」と指摘されていました。本当にその通りだと思いました。日本が中国から手を引いたとしても、代わりにドイツが、メルケル独首相が来るだけだろうという。そういった見方、視座が、やはり普通の政治家や外務省の人とは全然違うという印象です。

丹羽 世界の歴史を見れば、結局、経済の強いところに皆が集まってくるのです。アメリカがなぜ世界一になったかというと、世界の経済の中心だったからです。そのときに大事なことは、皆が英語を話す(言葉が通じる)ことです。そうでないと経済ができなくなる。あとは皆、儲かるところに集まってきます。それは当たり前のことです。そうして市場がどんどん大きくなると、自国だけはもうとても支えきれませんから、世界各国からの力で経済が発展していくわけです。

 中国も同じで、自分の国だけではもう限界があるから、いろいろな国の力を借りて、輸出輸入を増やして、そして国内の市場を拡大していく。最終的には、輸出入よりも国内のマーケットの力が大きくなるわけです。

 ですから、決して何の不思議もない。資本主義の過去の発展段階をよく見れば、中国もその同じプロセスをたどってきているわけです。

 日本は隣国なのですから、われわれもそれを踏まえて、中国をそういう目で見なくてはなりません。日本の中国に対する経済的な影響力は急速に弱まっていますが、しかし中国から見た場合、日本はまだまだ欧州、アメリカに次ぐ位置にいます。日本から見れば中国がナンバー1の市場ですがね。この傾向、日中のこうした関係性はもうしばらく続くのではないでしょうか。


●他国をモデルにするには巨大すぎる。中国経済の去就と危機


── そうすると見方によっては、今の中国を仮に清朝に例えると、ピークである乾隆帝時代までもまだいっていなくて、その手前の康熙帝時代にあたるというようにも見えそうです。また、オスマン帝国を思うと、いわゆる暗黒の中世の裏返しのようなかたちでイスラム世界が全盛の時代、オスマン帝国が圧倒的な力を持つ世界の中心、経済の中心として、世界に君臨していました。...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
墨子に学ぶ「防衛」の神髄(1)非攻と兼愛
『墨子』に記された「優れた国家防衛のためのヒント」
田口佳史
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫
デジタル全体主義を哲学的に考える(1)デジタル全体主義とは何か
20世紀型の全体主義とは違う現代の「デジタル全体主義」
中島隆博
戦争と暗殺~米国内戦の予兆と構造転換(1)内戦と組織動乱の構造
カーク暗殺事件、戦争省、ユダヤ問題…米国内戦構造が逆転
東秀敏
ポスト国連と憲法9条・安保(1)国連の構造的問題
核保有する国連常任理事国は、むしろ安心して戦争できる
橋爪大三郎
内側から見たアメリカと日本(1)ラストベルトをつくったのは誰か
日本でも中国でもない…ラストベルトをつくった張本人は?
島田晴雄

人気の講義ランキングTOP10
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
編集部ラジオ2025(29)歴史作家の舞台裏を学べる
歴史作家・中村彰彦先生に学ぶ歴史の探り方、活かし方
テンミニッツ・アカデミー編集部
歴史の探り方、活かし方(1)歴史小説と史料探索の基本
日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは
中村彰彦
内側から見たアメリカと日本(6)日本企業の敗因は二つのオウンゴール
日本企業が世界のビジネスに乗り遅れた要因はオウンゴール
島田晴雄
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(1)数が理解できない子どもたち
なぜ算数が苦手な子どもが多いのか?学力喪失の真相に迫る
今井むつみ
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
ChatGPT~AIと人間の未来(1)ChatGPTは何ができて、何ができないか
ChatGPTは考えてない?…「AIの回答」の本質とは
西垣通
「宇宙の創生」の仕組みと宇宙物理学の歴史(1)宇宙の階層構造
「宇宙の階層構造」誕生の謎に迫るのが宇宙物理学のテーマ
岡朋治
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(6)習近平のレガシー
国力がピークアウトする中国…習近平のレガシーとは?
垂秀夫