「中国の大問題」について
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「中国の大問題」について(2)社会主義市場経済の限界と可能性
丹羽宇一郎(元伊藤忠商事株式会社会長/元中華人民共和国駐箚特命全権大使)
類のない超経済大国となった中国。だがその「驕り」は中国の足下をすくうだろうと、丹羽宇一郎前中国大使は指摘する。中国経済は今後どうなるのか。「世界の工場」から「世界の市場」へと移行する中国に対して、日本はどう向き合うべきなのか。日中経済という難問を丹羽氏が語る。(全4話中第2話目)
時間:11分16秒
収録日:2014年7月28日
追加日:2014年9月4日
≪全文≫

●輸出輸入から内需拡大へ。中国経済は次の局面に入った


── 丹羽前中国大使は、近著『中国の大問題』(PHP新書)の中で、「日本にとって輸出入ともに最大のお得意先である中国について、ネガティブな話を大きく伝える日本のマスコミは相当問題があるのではないか」と指摘されていました。本当にその通りだと思いました。日本が中国から手を引いたとしても、代わりにドイツが、メルケル独首相が来るだけだろうという。そういった見方、視座が、やはり普通の政治家や外務省の人とは全然違うという印象です。

丹羽 世界の歴史を見れば、結局、経済の強いところに皆が集まってくるのです。アメリカがなぜ世界一になったかというと、世界の経済の中心だったからです。そのときに大事なことは、皆が英語を話す(言葉が通じる)ことです。そうでないと経済ができなくなる。あとは皆、儲かるところに集まってきます。それは当たり前のことです。そうして市場がどんどん大きくなると、自国だけはもうとても支えきれませんから、世界各国からの力で経済が発展していくわけです。

 中国も同じで、自分の国だけではもう限界があるから、いろいろな国の力を借りて、輸出輸入を増やして、そして国内の市場を拡大していく。最終的には、輸出入よりも国内のマーケットの力が大きくなるわけです。

 ですから、決して何の不思議もない。資本主義の過去の発展段階をよく見れば、中国もその同じプロセスをたどってきているわけです。

 日本は隣国なのですから、われわれもそれを踏まえて、中国をそういう目で見なくてはなりません。日本の中国に対する経済的な影響力は急速に弱まっていますが、しかし中国から見た場合、日本はまだまだ欧州、アメリカに次ぐ位置にいます。日本から見れば中国がナンバー1の市場ですがね。この傾向、日中のこうした関係性はもうしばらく続くのではないでしょうか。


●他国をモデルにするには巨大すぎる。中国経済の去就と危機


── そうすると見方によっては、今の中国を仮に清朝に例えると、ピークである乾隆帝時代までもまだいっていなくて、その手前の康熙帝時代にあたるというようにも見えそうです。また、オスマン帝国を思うと、いわゆる暗黒の中世の裏返しのようなかたちでイスラム世界が全盛の時代、オスマン帝国が圧倒的な力を持つ世界の中心、経済の中心として、世界に君臨していました。...

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