日本近現代史と歴史認識~日中韓の葛藤
この講義シリーズの第1話は
登録不要で無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
6,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
歴史があって歴史認識が存在するのではない
日本近現代史と歴史認識~日中韓の葛藤(2)歴史認識問題とは何か
山内昌之(東京大学名誉教授/歴史学者/武蔵野大学国際総合研究所客員教授)
歴史認識問題について、第一次世界大戦中のアルメニア人虐殺に関するトルコとアルメニア間の歴史認識のずれを例に解説し、日韓関係についても言及する。歴史があって歴史認識が存在するのではない。重要なのは、視角によって歴史の見方は変わるということ、歴史認識も過去のみで捉えるのではなく、歴史の進歩の中で捉えていくことだと、山内昌之氏は語る。(全3話中第2話)
時間:12分20秒
収録日:2019年8月22日
追加日:2020年2月9日
≪全文≫

●トルコ・アルメニアの歴史認識問題


 前回は世界史との関係で、少し日韓、あるいは韓国の政治や歴史を考えようという視点を提示しました。第一次世界大戦中にトルコ人、オスマン帝国によって、アルメニア人がいわゆる集団移送の途中で悲劇にあった。アルメニア自身はこれを大虐殺、あるいは大惨事と呼んでいますが、2015年というのは、こういうグレート・カタストロフィーが起きた時から100年に当たっていました。

 アルメニア人は約150万人の同朋がトルコ人に虐殺されたと主張しています。トルコ共和国の政府と国民による謝罪と賠償を要求してきましたが、トルコの政府と国民はこれをがんとしてはねつけています。この点においては、東アジアの日中韓の三国と同じように、トルコとアルメニア共和国の間の現代の政治外交との関係から関連して、複雑な歴史認識の問題が起きていることは事実です。


●アルメニアとトルコにおける2015年4月の対照的な2つの式典


 アルメニアの首都・エレバンにおいては、2015年4月24日にアルメニア人の受けたジェノサイド(集団大虐殺あるいは集団的な抹殺犯罪)の犠牲者を追悼する式典が開かれました。そこに出席したのはロシアのウラジミール・プーチン大統領と当時のフランスのフランソワ・オランド大統領でした。

 他方、これに前後して大変興味深い集まりが開かれています。アルメニアが大惨事、グレート・カタストロフィーを悼んだ翌日の25日、トルコが第一次世界大戦中にガリポリ(ゲリボル)半島でイギリス本国の軍とニュージーランドとオーストラリア合同のアンザックの軍隊の上陸作戦を撃退した日なのですが、この日を記念して大きな祝典が開かれました。これはいわゆる「騎士道精神にあふれた最後の戦」として、当事者は賛美する、いわば歴史における悲劇ではありましたが、歴史における良き思い出にもなっている、その事件を追悼する行事が催されました。

 そこに参加したのは、なんとイギリスのチャールズ皇太子、あるいはオースラリアのトニー・アボット首相(当時)、そしてニュージーランドのジョン・キー首相(当時)でありました。トルコのレジェップ・タイップ・エルドアン大統領はイギリス連邦首脳らを儀式に招待し、参加してもらうことで、前の日のアルメニア人が批判するトルコのジェノサイド問題に関する国際的な批判、特にアルメニア人を中心とした世論の批判...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
徳川家康の果断と深謀~指導者論と組織論(1)率先し陣頭指揮する
徳川家康の「天下泰平」デザインとは?…陣頭指揮とカリスマ性
片山杜秀
「武士の誕生」の真実(1)10世紀の東アジア情勢と「王朝国家」
武士は「お手本がない時代」だからこそ生まれた…武士誕生の真実と大唐帝国の解体
関幸彦
本当のことがわかる昭和史《5》満洲事変と石原莞爾の蹉跌(1)なぜ満洲が重要だったのか
放っておけば朝鮮はロシア領になりかねなかった
渡部昇一
モンゴル帝国の世界史(1)日本の世界史教育の大問題
なぜ日本の「世界史」はいびつなのか…東洋史と西洋史の違い
宮脇淳子
天皇のあり方と近代日本(1)「人間宣言」から始まった戦後の皇室
皇室像の転換…戦後日本的な象徴天皇はいかに形成されたか
片山杜秀
中国史概説~『皇帝たちの中国』を読む(1)なぜ「中国史はつまらない」のか?
驚きの中国史~「中国史はつまらない」という通説の裏の波乱の真実
宮脇淳子

人気の講義ランキングTOP10
高齢者のフレイル・認知症とその予防対策(6)認知症予防と健康寿命の延伸に向けて
フレイル・サイクルは回り出したら抜けられない!?負のスパイラルへの対処法
小川純人
文明語としての日本語の登場(1)古代日本語の復元
なぜ「てふてふ」が蝶々?日本語の変遷を追う…まずは万葉仮名から
釘貫亨
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
今こそ問うべき「人間にとっての教養」(1)なぜ本を読むことが教養なのか
『人間にとって教養とはなにか』に学ぶ教養と本の関係
橋爪大三郎
「満洲」から考える日本とアジア(10)戦後の「五族」の運命
「五族協和」の真実と満洲国崩壊後の五族の悲劇…満洲人、朝鮮人、露人、蒙古人、漢人らの戦後悲史を直視せよ
宮脇淳子
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
編集部ラジオ2026(36)宮脇淳子先生「満洲史」講義の要点
【10min解説】「満洲史」はタブー?…そこから見えてくる教訓とは?
テンミニッツ・アカデミー編集部
中国春秋戦国時代と始皇帝(序)映画『キングダム』の中国史監修
中国古代史の真実と『キングダム』…史実がわかれば物語はもっと面白い
鶴間和幸
優れた経営者の条件(1)スキルとセンスの違い
経営者のセンスは担当者のスキルとは全く違う
楠木建
メンタルヘルスの現在地とこれから(1)「心を病む」とはどういうことか
なぜ「心の病」が増えている?メンタルヘルスの実態に迫る
斎藤環