「忍者」とは何か
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忍者の末裔は江戸時代、大奥の事務官もしていた
「忍者」とは何か(5)忍術の道具と「忍者の末裔」の仕事
高尾善希(三重大学 人文学部文化学科 准教授)
江戸時代の忍術書には忍びの道具について書かれているが、なかには「水蜘蛛」のようにこれまで漫画などで描かれてきたイメージとは違った使い方をするものもある。そうしたことが分かると、「実際の忍者はこうだった」と夢を壊すことになるかもしれないが、忍術やその道具をはじめ忍者のさまざまな側面を知ることは、彼らが当時どんな生活をし、どう努力をしてきたかが分かり、それが現代にも生かせるヒントにもなるはずだ。(全5話中第5話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:11分32秒
収録日:2019年8月27日
追加日:2020年2月13日
≪全文≫

●忍者ならではの道具


―― あとは、やはり興味を引くのは忍術ですね。第2話で手裏剣の話がありました。忍者ならではの道具というものがあるかと思うんですが、実際、忍術とか、忍者ならではの道具というのは、具体的にどういうものだったんでしょうか。

高尾 先ほど(第3話)取り上げました『万川集海』という忍術書があります。そのなかに四つ書いてあります。グループ別なんですが、登器、開器、火器、水器、この四つに分けて解説されています。

 登器には、例えば石垣を登る道具もあります。よく知られているものに「くない」という鉄の楔(くさび)のような道具があるんですが、そこを足止まりにして石垣をよじ登っていく。そういったものがいろいろ絵付きで書かれています。

 開器には、例えば「坪錐(つぼきり)」というものがあるんですが、それは塀に穴を開けるための鉄で造られた道具のことです。それから火器ですが、例えば矢のところに火薬を詰めて、火の広がりを早めたりするというものがあります。ほかには、投げ爆弾のようなものもあり、そういったことがいろいろ書かれていたりします。

―― それは火付けのときに。

高尾 はい。


●水器「水蜘蛛」の使われ方


高尾 水器とは水のなかを移動していくための道具で、よくいろいろなところに書かれているのが「水蜘蛛」というものです。

―― 輪っかの形をしていて、足にはめて使うイメージですね。

高尾 そうです。それが水器の一つなんですが、よく漫画で出てくるのは、二つ使って、それを足の裏にはめ、ミズスマシのように水の上を移動していくというものですね。ただ、あれはできないでしょうね。

―― 進まない、と。

高尾 進まないですね。浮いたとしてもバランスを崩して、水のなかにポチャンとなるでしょう。僕が子どもの頃に読んだ忍者の解説書のなかには、右足を水のなかに入れると右足が沈みますので、その間に左足を出す。すると、左足が沈みますので、その間に右足を出す。そのように使うと、水の上を進んでいくというんだけど、そんなバカな話はないでしょう。

―― 絶対、ダメそうな感じがしますね。

高尾 絶対ダメです。だから、そのように水蜘蛛の使い方を試したとしても、同じようにはできないわけです。実際どのように使われたかというと、水蜘蛛の輪っかになっ...

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