「忍者」とは何か
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大久保彦左衛門の『三河物語』が伝える伊賀忍者の役割
「忍者」とは何か(4)伊賀者の役割と忍びとしての使命
高尾善希(三重大学 人文学部文化学科 准教授)
実際に伊賀、甲賀の忍者はどのように戦っていたのか。江戸時代初期に書かれた『三河物語』などを見ると、彼らはまず突撃をして戦況の打開を図る役割を担っていたことが分かる。また、彼らは姿を現わして情報収集を行う「陽忍」、姿を隠して敵陣に忍び込む「陰忍」という両方の活動をしていたという。いずれにしても、「生きて情報を持って帰る」、これが彼らの使命であった。(全5話中第4話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:10分50秒
収録日:2019年8月27日
追加日:2020年2月6日
≪全文≫

●大久保彦左衛門の『三河物語』に登場する伊賀忍者


―― 前回、伊賀の人が江戸初期までスカウトされていくことについての話をお聞きしましたけど、実際、どのような戦いを伊賀者、甲賀者がしていたかということについて、どんな史料が残っているんでしょうか。

高尾 彼らが戦況を左右する重要な人たちであったということは間違いないんですが、下級の武士団なので、必ず史料にしっかりと残っているというわけではありません。ただ、そんななか、例えば大久保彦左衛門という人がいます。彼は3代将軍家光のご意見番として、講談ではよくたらいに乗って江戸城に登城したという話として出てくる人ですね。

 彼は実在の人物で、『三河物語』という本を書いています。その本には、徳川家の成立から徳川家康が天下を取った後まで、いろいろと書いてあります。意図としては、三河者の功績をちゃんと書きとめておこうということで、戦争で頑張った人たちに三河者たちがいたんだということを忘れないように書かれたものなんですね。

 太平の世の中になると、算盤勘定、すなわち事務がよくできる武士が出世していきますが、そうした者ではなく、実は徳川幕府成立には三河出身で戦争の得意な者がいて、かなりの功績を残したということがいろいろと書いてあるんです。そのなかに、三河国に出稼ぎに来ている伊賀者(伊賀衆)のことが書かれています。


●戦における伊賀者の役割-突撃をかけて戦況打開


―― それは何年ぐらいの話ですか。

高尾 徳川家康のことを竹千代と書いてありますので、おそらく家康がまだ幼かった頃ですね。

―― そのぐらいの時代からもうすでに伊賀者が入っていたということですね。

高尾 そうですね。家康のいとこに当たる人が刈谷城の城主だったんです。現在、愛知県の刈谷市に刈谷城というお城がありますが、そこが家康のいとこに当たる水野家のお城だったんです。つまり、その水野という人が城主でした。本には、今川方が忍びを雇って、伊賀者(伊賀衆)を雇って、刈谷城に攻略をかけるという、そういう場面が出てきます。そこでは80人から90人ほどの伊賀者が攻め込んだと書かれています。そして、城主の首を切り落としてしまうんですね。

 その伊賀者が入るだけでそのまま落城するかというと、そうではありません。まず伊賀者が入城し内部を混乱に陥れた後、城主の首を切り落とし、内側か...

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