●皆に知ってもらいたい、エネルギー消費削減の重要性
世界で一番たくさん使っているエネルギーは、暖房です。その次に自動車。今までお話ししてきたように両方ともエネルギーの理論値はゼロです。そのために最大のエネルギーを使っているわけですから、これらのエネルギー消費を減らすということは、もう極めてポテンシャルが大きくて、その効果も大きい、ということです。
それを実践したのが、僕のエコハウスなのです。僕は研究者としてエネルギーのことをずっとやってきました。それで、今、話したようなことは前から言っているのです。「エネルギー自給国家を目指そう」「そのためにやれることはいくらでもある」と、いろいろなこと言っているのだけれど、論文なんて皆、読んでくれないのです。
それで、岩波新書で本を書いたのです。そうしたら少しは効果があるかと思って。皆、結構読んでくれたようです。10万部近く売れましたから。
でも、10万人ぐらいが読んでくれても仕方がないのです。人口1億人強で10万人なので、100人に1人ですから。しかも、その人たちは読んでも行動はしない。読むだけです。
●これからは「エネルギーを生み出す家」の時代
それで、僕はまず家をつくったのです。僕たちのときは、「一度は家をつくりたい」という世代です。これは君たちと違いますね。そうして、そのときに今までできなかったことをやろうと思い、こうしたことをやれば少しは世の中にも効くかと思ったのですね。このエコハウスではエネルギー消費が81パーセント減っているのです。僕はデータをずっと取っていて、エネルギー消費が81パーセントも減るということが分かりました。
これはもう11年前に僕がつくった家だけれども、今、ハウスメーカーがつくっている家は、太陽電池で発電するエネルギーの方が、消費するエネルギーよりも大きいのです。ですから、家がエネルギーを消費するのではなくて、エネルギーを生み出す家をつくっているのです。
ですから、こういう話をどんどん加速しなくてはいけないのです。そうすると、先ほど言ったように、エネルギー消費を55パーセントから本当は60パーセントぐらい減ると思いますが、そのぐらい減らして、エネルギーを7割以上自給する。しかも太陽電池や風力というのは、安心です。基本的に太陽エネルギーは枯渇しないエネルギーで、...