『孫子』を読む:形篇
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
孫子が最も重視する「計数」の教えを忘れてはいけない
『孫子』を読む:形篇(4)「計数」の重要性と「形」の意味
田口佳史(東洋思想研究家)
「形篇」の最後となる今回は、戦いにおいて敵の戦力と自軍の防御能力をどのように把握するかについて『孫子』から読み解いていく。その最大のポイントは、「計数」的な見地から希望的観測や曖昧な感情を全て排除して、厳しく捉えることだという。それができて初めて「戦う前にすでに勝っている」という完璧な防御が可能になる。(全4話中第4話)
時間:10分51秒
収録日:2020年2月25日
追加日:2020年12月23日
カテゴリー:
≪全文≫

●「計数」的な見地から完璧な準備をする


 その次、「善く兵を用ふる者は、道を修めて法を保つ」です。つまり、道というのは道理です。これまでずっと言ってきているように、ここまでやれば、当然あなたの勝ちだというような準備万端整えるというのが道理であり、これが道を修めるということです。それから「法を保つ」の法は、宇宙の法(のり)であって、どう考えてもこちらが勝つという、そういう状況をきちんとこちらに作ってあるかどうかということが重要だと言っているわけです。

「故に能く勝敗の政<まつりごと>を爲す」というのは何かというと、次のところが非常に重要なポイントなのですが、「兵法に、一に曰く度<たく>、二に曰く量、三に曰く數、四に曰く稱<しよう>、五に曰く勝」と、このようなことを言っているのです。これはどういうことを言っているのかというと、要するに「計数」的な見地からしっかり準備をし、現在の状況を分析せよと、こういうことを言っているのです。つまり、ただ優勢ですとか、勢いがありますとか、そういうものではなく、「計数」的にきちんと比較対照して、こちらのほうが勝つという状況にしていかなければいけないわけです。

 まず、「一に曰く度<たく>」です。これは温度の度というものであり、ものさしで測ることを表しているのです。ですから、そういう意味では、簡単にいえば、戦場の守りを固めているところから敵までの位置、距離などをしっかりと定めて、こちらのほうが有利ですと「計数」的に言ってくれということです。

 それから「二に曰く量」ですが、これは升で量ることです。度はものさしで測ることですが、量というのは升で量るという、物量のことです。武器弾薬、それから兵士の量とか、これは当然多いほうが有利ですから、その量でまず量れということです。

 「三に曰く數<すう>」とは、これはとくに兵数のことで、具体的にどういう種類の武器がどのくらいあるのかとか、どのような専門の部隊がどのくらいあるかです。この数というのは、専門集団がどのくらいそろっているのかということをしっかり数えてくれということです。

 そして「四に曰く稱<しょう>」は、これは秤で軽い・重いを計ることです。簡単にいえば、将軍、大将の力量などというものも、比較してどちらが上か下かということを、きちんと計...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
老子の神髄(1)「絶対自由の境地」を求めて
『老子』が求める「絶対自由の境地」とは?…そして創造長寿へ
田口佳史
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
プラトンの哲学を読む(1)対話篇という形式の哲学
ヨーロッパ哲学の伝統はプラトン哲学の脚注だ
納富信留
禅とは何か~禅と仏教の心(1)アメリカの禅と日本の禅
自発性を重んじる――藤田一照師が禅と仏教の心を説く
藤田一照
「徳」から生まれる「感謝の人間関係」
「徳」の本質とは「自己の最善を他者に尽くしきる」こと
田口佳史
世界の語り方、日本の語り方(1)なぜ「語り方」なのか
今後身に付けるべき知性として「新しい語り方」を考える
中島隆博

人気の講義ランキングTOP10
中国史概説~『皇帝たちの中国』を読む(1)なぜ「中国史はつまらない」のか?
驚きの中国史~「中国史はつまらない」という通説の裏の波乱の真実
宮脇淳子
編集部ラジオ2026(20)W杯に想う聖徳太子の「和」の力
【10minで考える】W杯と聖徳太子流・勝利への「和の力」の真実
テンミニッツ・アカデミー編集部
日本の財政の真実を検証する(1)膨らむ借金の知られざる実態
日本の財政の「真実」をデータで徹底検証…国際機関の分析は?
宮本弘曉
ラカンの精神分析~心の謎を解き明かす(6)オープンダイアローグと過程の重視
治さないと治る!?オープンダイアローグは逆説でできている
斎藤環
AI時代にリベラルアーツがなぜ必要か(7)自分の人生のために
AI時代こそAIでなく「生きた学び」で自分の人生を膨らませる
橋爪大三郎
老子の神髄(2)達人の境地と「無為」
無為とは「絶対なる喜びを得る」こと…その境地こそ長寿への秘訣
田口佳史
AI大格差~最新研究による仕事と給料の未来(1)最新研究から見えてくる未来像
AI大格差…なぜ日本の雇用環境では「ショックが大きい」のか?
宮本弘曉
ギリシア神話の基本を知る(1)「ゼウス以前」の神々の戦い
ギリシア神話…ゼウスの「父親殺し」とオリュンポス十二神
鎌田東二
認知症とは何か(1)疾患の種類と対応
多くの認知症の原因は「脳のゴミ」の蓄積
遠藤英俊
知られざる「脳」の仕組み~脳研究の最前線(1)脳科学と「ミクロのマクロの隔たり」
脳が生きている、死んでいるとは?最新研究で迫る脳の秘密
毛内拡