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50代からの「人脈の棚卸し」、会社を離れても付き合いたいか

会社人生「50代の壁」(5)個人として社会とつながるために

江上剛
作家
概要・テキスト
50代からの人生をいかに充足させるか。そのために、50代は会社人生で培ったノウハウや人脈をあらためて見直す時期に来ているといえるだろう。さらに、これまで会社を通じて社会とつながっていた人は、個人として社会とつながることを考えるときでもある。(全5話中5話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:09:01
収録日:2021/08/31
追加日:2021/12/07
キーワード:
≪全文≫

●自分の能力は他社でも役に立つか


―― (サラリーマンは)会社の中で働いていますから、その会社の中で使えるノウハウは持っています。それこそ先輩が積み上げてきたもの、それこそ制度なども受け継がれ、それを使いこなすことはできるけれども、自分が何かを生み出せるのか取ったら、必ずしもそうではありません。仕事ができている気になっているのと、実際にできるのとでは、大きく違います。

江上 そうですね。ただ、50代にもなれば社会経験を数多くしています。そのため、例えばどこかの中小企業やベンチャー企業に入っても、そこで新しい制度を作るなどとなったときに、これまで培ってきた人脈を応用すれば、優秀なスタッフを連れてきたり、教えを請いながら実行したりできると思うのです。


●「人脈の棚卸し」、会社を離れても付き合いたいかどうか


―― 今のお話は、この本(『会社人生、五十路の壁』)でいうと「スキルの棚卸し」についてだと思います。もう一つの印象深いお話が、「人脈の棚卸し」「名刺の棚卸し」です。今まで付き合ってきた人を今後はどう見ていくかというところです。

江上 これは大事ですね。特に50代で、これから先、会社を変わりたい、または変わろうと考えている人にとっては大切です。

 私は、池田成彬(しげあき)という三井財閥の大番頭だった人の小説を書いたことがあります。『我、弁明せず』(PHP研究所)という本ですが、戦前の非常に素晴らしい経営者でした。

 この人の言葉に、「貯人」があります。彼はある財界人から、「一緒に投資して事業を興そう。お金儲けをしようではないか」と誘われるのです。というのは、池田成彬は、自分のもらっているお金――当時は大変に高給だったと思うのですが――を全部、人脈づくりに投資していたのです。それを心配されて、新規事業の誘いを受ける。ですが、池田成彬は友だちに、「いや、自分は人脈づくりにお金を使っているからいいのだ。『貯人』が何より大事だ」と言うのです。彼は、戦前の軍部が非常に厳しい時代に、その人脈のおかげでなんとか生き抜くことができたのです。

―― 自由主義者といって迫害されますからね。

江上 そうです。団琢磨(大正・昭和初期の実業家、三井財閥の最高指導者)などが暗殺される中で、彼は生き抜いてくるのです。

 私は「貯人」という言葉を聞いたときに、その通りだと思いました。と...
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