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ハローワークでの衝撃と心が病んでいく「のに病」の恐怖

会社人生「50代の壁」(4)自分の市場価値を見つめ直す

江上剛
作家
概要・テキスト
50代からの生き方を考えるときのコツとは何か。「のに病」からの解放という母からの教えについて話す江上剛氏。さらに、ハローワークでの衝撃体験について語りながら、自分の市場価値を誰かに見てもらうことの大切さを説く。(全5話中4話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:11:18
収録日:2021/08/31
追加日:2021/11/30
≪全文≫

●心が病んでいく「のに病」を乗り越えるために


―― 先生がご本(『会社人生、五十路の壁 サラリーマンの分岐点』)の中で、お母様の教えだということで印象深いことをお書きになっています。それは、「のに病」です。例えば「こんなに会社に尽くしたのに」「あんなにできない部下だったのに(俺より出世して)」などといった「~のに」をずっと思っていると、心が病んでしまう、非常に辛くなるということですが、これは非常に大事な教えですね。

江上 そうですね。これは、すごく効き目があります。自慢ではありませんが、私はこのアドバイスで何人も助けました。ある人は、本当に順調な人生だったのですが、急に社長から嫌われて、職場の(重要な)ポストを完全に外されてしまいました。また、あるマスコミの人のことですが、失敗をして、もう世間に顔を出せないほど大変な辛い時期がありました。彼らがこっそりと私と飲みながらいろいろと話をしたときに、「のに病」の話をしたのです。

 私たちはやはり、「~のに」と思ってしまう。「こんなに練習したのに、試合に負けた」など。私は小説家ですから、「こんなにうまく書けたのに、売れなかった」とかね(笑)。あらゆる場面で「~のに」が出てしまうのです。

 ましてや会社など組織に属していると、自分の部下がどんどん出世していくこともあります。「あいつは俺の足手まといだったのに」「教えてやったのに、今では自分を使うような立場になって」などと思う。同期であれば、「あいつは自分よりも無能だったのに」「自分のほうが名門大学を出ているのに」などもある。いろいろなことが「~のに」で出てきて、これが心の中に巣くってしまうと、本当に心がどんどん病んでいくのです。

 これを一度解放してしまう。そういうことを口にしないようにする、考えないようにする。それだけでまったく周りが明るく見えてきます。母親にはサラリーマンなど組織や企業に属した経験はありませんでしたけど、いろいろと人生を歩んでいるうちに感じたのでしょう。

 マラソンではよく、「走った距離は裏切らない」と言います。練習で100キロメートル、200キロメートルなど走る練習を一生懸命やっていると、どんどん記録は伸びてきます。ですが、ある一定のところへ来たら、どんなに練習しても伸びないときがあります。プロの人はそこをきっと乗り越えるのでしょうが、普通の...
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