現代中国の儒教復興
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孔子の生誕地のお祭りで感じた強烈なメッセージとは?
現代中国の儒教復興(4)ポスト世俗化時代の宗教の意味
中島隆博(東京大学東洋文化研究所教授)
本シリーズでは、中国の儒教復興の流れとダイナミズム、今日的な意義について考えてきた。最終回では、儒教復興が「ポスト世俗化」の枠組みの中で起こったこと自体に焦点を当てる。宗教の再定義が進む世界で、儒教は今後どう位置づけられるのか。宗教や道徳、倫理を語る言葉を失った日本は、もう一度儒教の学びを得られるのだろうか。(全4話中第4話目)
時間:19分24秒
収録日:2014年9月9日
追加日:2014年12月3日
カテゴリー:
≪全文≫

●孔子の生誕地・曲阜での釈奠は宗教色を排除していた


 では、儒教復興の続きを、またお話ししたいと思います。

 本シリーズの中で長春の孔子廟を訪れたお話をしましたが、実は私はその前の2007年に、山東省にある曲阜(きょくふ)を訪ねています。ここは孔子の生誕の地で、今でも孔子の子孫の方々がたくさんお住まいの地域です。ただし、直系の子孫は台湾に行かれましたので、なかなか微妙なところもあります。

 その曲阜の孔子廟で、孔子をお祭りする「釈奠(せきてん)」という行事に参加しました。北京オリンピックの前で、そこでのお祭りが地方レベルから国家レベルへ引き上げられていくプロセスの途中にありました。非常に面白いお祭りだと感じました。それは、なるべく宗教的な要素を排除するような方向性になっていたからです。

 「儒学としての儒教」ということが繰り返し強調され、国際的にも非常に開かれた儀礼となっていました。ですから、これは宗教としての儒教、あるいは儒教そのものを排除しようとしてきた近代中国の歴史を、やはり踏まえているのです。「儒教が復興してきてはいる。しかし、封建的・前近代的な儒教を復興させるわけではない」という、非常に強いメッセージが込められていたように思います。近代をくぐり抜けたあとの儒教のあり方を模索するものでもあったのでしょう。


●日本の総理も訪問する曲阜、孔子の子孫は世界から


 私が大変興味深いと思ったのは、その後、ちょうど同じ年の年末に、当時の福田康夫首相が曲阜を訪問されたことでした。私は「そうか。日本の総理も曲阜を訪問されるのだな」と非常に強い感慨を持ちました。ところが、新聞等ではベタ記事扱いで、あまり真面目に取り上げられた印象はありませんでした。

 しかし、今お話ししているような近代の大きな枠組みの中で、近代の日本や中国が儒教をどうしてきたのか。あるいはこれからどうしていくのか。これらを考える上では、非常に意味のある訪問だったという気がしています。

 ともあれ、大陸では儒教の中心である曲阜でお祭りが行われます。午前と午後に分かれていて、午後は孔家のお祭りということになっていましたが、それも拝見することができました。大変面白かったのは、孔子の子孫が世界中からお集りになっていたことです。世界中とはまさに文字通りの意味で、すでにいろいろな民族に孔子の子孫が...

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