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阿弥陀仏は無限の光だ…親鸞の『唯信鈔文意』の教えとは?

【入門】日本仏教の名僧・名著~親鸞編(2)『唯信鈔文意』と方便法身

賴住光子
駒澤大学仏教学部 教授
概要・テキスト
親鸞の著書として重要なのが『唯信鈔文意』である。『唯信鈔』は同門の先輩・聖覚による著だが、法然の教えをよく伝える書として親鸞は大切にした。その解釈書として著した本書の中でも阿弥陀仏についての捉え方を、「法蔵神話」をもとに大乗仏教の真髄を易しい言葉で伝えるものとなっている。(全4話中第2話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:10:32
収録日:2020/09/30
追加日:2022/03/04
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≪全文≫

●仏の三身「法身」「報身」「応化身」とその違い


―― では、親鸞のお書きになった文書をさっそく読んでまいりたいと思います。最初にご紹介いただくのは『唯信鈔文意』というものです。これは、どのようなものになりますでしょうか。

賴住 親鸞が『唯信鈔』という著作についての解釈を書いた文章になります。この中で親鸞は、自分の阿弥陀仏に対する考え方をかなり突っ込んで書いているため、非常に重要な著作ではないかと思います。

―― それでは本文を読んでまいります。

「法身(ほっしん)は、いろもなし、かたちもましまさず。しかれば、こころもおよばれず。ことばもたへたり。この一如(いちにょ)よりかたちをあらわして、方便法身(ほうべんほっしん)とまふす御(おん)すがたをしめして、法蔵比丘(びく)となのりたまひて、不可思議の大誓願(だいせいがん)をおこして、あらわれたまふ御(おん)かたちおば、世親菩薩(せしんぼさつ)は尽十方無碍光如来(じんじっぽうむげこうにょらい)となづけたてまつりたまへり。(中略)尽十方無碍光仏(じんじっぽうむげこうぶつ)とまふすひかりにて、かたちもましまさず、いろもましまさず。(中略)しかれば阿弥陀仏(あみだぶつ)は、光明(こうみょう)なり。」

 これは、どのような意味になりますでしょうか。

賴住 まず「法身」について、仏教では仏の体をいくつかに分けて考えますが、一般的には「三身(さんじん)」といって3種類に分けています。

 「法身(ほっしん)」というのは仏の本質であり、色・かたちを超えているといっています。それから「報身(ほうじん)」というものがございます。これは、修行した結果成仏して仏になった、そのときの仏のことを「報身」と呼んでおります。阿弥陀仏は一般的には「報身」といわれています。法蔵神話の中で、法蔵菩薩が一所懸命修行し、成仏して阿弥陀仏になったと伝えられることから、「報身」と考えられているのです。三つ目が「応化身(おうげしん)」というもので、衆生が分かりやすいようにさまざまな姿で現われた仏ということです。

―― そうすると、仏さまがかたちを変えて、いろいろ現われているということですか。

賴住 そうなのです。必ずしも仏の姿をしているばかりではなく、例えば国王の姿で現われたり、美しい女性の姿で現われたり...
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