日本人が知らない近現代史~陰謀論と歴史修正主義を考える
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
「陰謀論」という陰謀…歴史修正主義批判の裏にあるもの
日本人が知らない近現代史~陰謀論と歴史修正主義を考える
歴史と社会
福井義高(青山学院大学 大学院国際マネジメント研究科 教授)
第二次世界大戦以後の歴史観の再解釈に対しては、「陰謀論」や「歴史修正主義」という指摘が後を絶たない。歴史が政治的に重要な意味を持つようになった第二次世界大戦後、「陰謀論」は負のレッテルに変わっていった。そうしたレッテルに対抗するためにも、一次史料、つまりオリジナルである世界の文献へのアプローチが重要である。
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:15分57秒
収録日:2021年12月6日
追加日:2022年4月22日
≪全文≫

●オリジナルの史料を読み解くことの重要性


―― 皆さま、こんにちは。本日は福井義高先生に「陰謀論と歴史修正主義を考える」というテーマでお話をいただきたいと思います。福井先生、どうぞよろしくお願いします。

福井 よろしくお願いします。

―― 第二次世界大戦からずいぶん年月が経ち、最近各国のいろいろな情報・史料が公開されるようになってきました。また、1991年にソ連が崩壊したことによって、ソ連の内部文書が一部外に出てきたことで、それらを用いて近現代史の見直しが進んでいます。一方で、これまでの、特に第二次世界大戦後に作られた歴史の価値観を否定するものの見方については、例えば「陰謀論」や「歴史修正主義」、あるいはそれを語る人たちが「リビジョニスト」というレッテルを貼られ、批判されるケースも見て取れると思います。この講座では、このような流れをどう考えるかについて、ぜひ先生にお聴きしたいと思います。

 福井先生はこちらの『日本人が知らない最先端の「世界史」』(福井義高著、祥伝社)、そして『日本人が知らない最先端の「世界史」2 覆される14の定説』(福井義高著、祥伝社)を出されています。

 いずれも一番冒頭の先生の目的意識の部分では、日本の近現代史をめぐる議論があまりにも日本中心であることを挙げています。福井先生ご自身は、主に外国語で書かれた歴史学の文献を使っていろいろと議論を構築されているということですが、この研究スタイルについて、もう少し詳しくお聞きできますでしょうか。

福井 歴史修正主義や陰謀論といわれてもしょうがない議論があります。そういう人たちは、憶測を語っているだけです。それがもっともらしい話であったとしても憶測にすぎません。

 それに対して私は、ロシアまで行って手書きのものを見るレベルではありませんが、基本的には解禁されたオリジナルの文書を見ます。書籍としてかなりの程度公刊されているので、それを中心に読んで、そこから、「確実に言えることはこういうことです」というスタイルで書いています。


●第一次世界大戦後と第二次世界大戦後の歴史観の違い


―― そうすると、冒頭で述べたような、陰謀論や歴史修正主義という一種のレッテル貼りについて、どう考えていらっしゃいますか。

福井 第二次世界大戦後は、それまでの歴史記述と違...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
核DNAからさぐる日本のルーツ(1)人類の起源と広がり
人類の祖先たちの「出アフリカ」…その時期はいつ頃?
斎藤成也
『三国志』から見た卑弥呼(1)『魏志倭人伝』の邪馬台国
異民族の記述としては異例な『魏志倭人伝』と邪馬台国
渡邉義浩
概説・縄文時代~その最新常識(1)縄文時代のイメージと新たな発見
高校日本史で学んだ縄文時代のイメージが最新の研究で変化
山田康弘
インテリジェンス・ヒストリー入門(1)情報収集と行動
日本の外交には「インテリジェンス」が足りない
中西輝政
「集権と分権」から考える日本の核心(1)日本の国家モデルと公の概念
日本は集権的か分権的か…地理と歴史が作る人間の性質とは
片山杜秀
モンゴル帝国の世界史(1)日本の世界史教育の大問題
なぜ日本の「世界史」はいびつなのか…東洋史と西洋史の違い
宮脇淳子

人気の講義ランキングTOP10
ヒトは共同保育~生物学から考える子育て(1)動物の配偶と子育てシステム
ヒトは共同保育の動物――生物学からみた子育ての基礎知識
長谷川眞理子
未来を知るための宇宙開発の歴史(7)米ソとは異なる日本の宇宙開発
日本の弾道ミサイル開発禁止!?米ソとは異なる宇宙開拓の道
川口淳一郎
「集権と分権」から考える日本の核心(3)中央集権と六国史の時代の終焉
天平期の天然痘で国民の3割が死亡?…大仏と崩れる律令制
片山杜秀
数学と音楽の不思議な関係(1)だれもがみんな数学者で音楽家
世界は数学と音楽でできている…歴史が物語る密接な関係
中島さち子
睡眠から考える健康リスクと社会的時差ボケ(5)シフトワークと健康問題
発がんリスク、心身の不調…シフトワークの悪影響に迫る
西多昌規
知識創造戦略論~暗黙知から形式知へ(1)イノベーションと価値創造
価値創造において重要なのは未来から現在を見るという視点
遠山亮子
DEIの重要性と企業経営(4)人口統計的DEIと女性活躍推進の効果
日本的雇用慣行の課題…女性比率を高めても業績向上は難しい
山本勲
トランプ政権と「一寸先は闇」の国際秩序(3)これからの世界と底線思考の重要性
同盟国よもっと働け…急激に進んでいる「負担のシフト」
佐橋亮
モンゴル帝国の世界史(2)チンギス・ハーンのカリスマ性
自由な多民族をモンゴルに統一したチンギス・ハーンの魅力
宮脇淳子
睡眠と健康~その驚きの影響(1)睡眠が担う5つのミッション
寝ないとよく食べる…睡眠不足が生活習慣病を招く理由
西野精治