株主代表訴訟の仕組み
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
株主代表訴訟とは?…なぜ東電は13兆円賠償判決となったか
株主代表訴訟の仕組み(1)「株主代表訴訟」とは何か?そのリスクは?
河合弘之(さくら共同法律事務所 所長・弁護士/映画監督)
「株主代表訴訟」とは、どのような仕組みにより、誰の責任を追及していくものなのか。また、そのリスクとは、いかなるものなのか。実際に、東京電力福島第一原発の事故をめぐる株主代表訴訟において、原告側の弁護団長を務めた河合弘之弁護士からお話をうかがう。(全2話中第1話)
時間:13分20秒
収録日:2022年9月30日
追加日:2022年12月12日
≪全文≫

●株主が会社を訴える「株主代表訴訟」


 皆さん、こんにちは。弁護士の河合弘之です。

 今日は「株主代表訴訟」のことについてお話をしたいと思います。その題材として、東京電力福島第一原発事故に関係する損害賠償株主代表訴訟の判決を使いたいと思います。

 会社の役員(特に取締役)が違法なことをして会社に損害を与えたときの責任の追及方法としては、まず第一に、会社がその不法行為をした経営者を訴えるという方法があります。しかし、会社側は往々にしてそういうことをしたがりません。

 そういう場合に、株主が会社に対して「あの役員を訴えろ」という請求をすることができます。会社法847条1項に、そういう規定があります。それに従って、会社が「分かりました。責任追及裁判を起こします」というのが二番目のパターンになります。

 それでも会社側がやはり拒否し、「(現旧)役員を訴えることはできません」という対応をしたときには、株主は会社に代わって損害賠償請求をすることができます。株主の提訴請求に対して、会社側が提訴義務を否定して「不提訴理由通知」を行った場合、株主は任務を怠ったことによる損害を(現旧)役員に請求することができます。

 これが、まさに「株主代表訴訟」というものです。株主代表訴訟の最大の特徴は、株主が勝っても、その賠償金は株主に支払われるわけではなく、会社に支払われるということです。ですから原告株主は、勝っても直接的な利益を得ることはありません。


●株主代表訴訟がもたらすリスクと役員賠償責任保険


 今日のテーマに取り上げたように、株主代表訴訟は、経営者にとって常に意識しなければならない問題です。経営陣、特に取締役が「任務懈怠」、言いかえると「善良なる管理者としての注意義務に違反する」ようなことがあった場合には、会社に損害賠償をしなければならないわけです。

 会社の役員は常にそういうリスクにさらされているわけですが、それを保険で補うこともできます。「役員賠償責任保険」というものがあり、このような訴訟で負けたときも、自分で払わないで保険会社に払ってもらう仕組みがあるのです。上場会社では、ほとんどの会社がこの保険に入っていて、保険会社として...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「経営ビジネス」でまず見るべき講義シリーズ
ストーリーとしての競争戦略(1)当たり前の重要さ
柳井正氏の年度方針「儲ける」は商売の本筋
楠木建
人生100年時代の「ライフシフト概論」(1)人生100年時代のインパクト
80歳まで現役でいるために大切なこと…人生100年時代の発想法
徳岡晃一郎
生き続ける松下幸之助の経営観(1)今も生きている幸之助
松下幸之助の考え方には今と昔を貫くものがある
江口克彦
認知バイアス~その仕組みと可能性(1)認知バイアス入門
誰もが陥る「認知バイアス」…その例とメカニズム
鈴木宏昭
プロティアン~最先端の自律的キャリア形成(1)変幻自在のキャリア論
なぜ第二の人生のためにキャリアの棚卸しが必要か~組織から自律へ
田中研之輔
本質から考えるコンプライアンスと内部統制(1)「法令遵守」でリスクは管理できない
「コンプライアンス=法令遵守」ではない…実例が示す本質
國廣正

人気の講義ランキングTOP10
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(9)秀吉が作った公武統一政権と歴史のif
公武統一政権を作った秀吉の狙いとその歴史的意味
黒田基樹
AI時代と人間の再定義(4)自分と出会うチャンス
人生はエネルゲイア――AIにない「自分と出会うチャンス」
中島隆博
プロジェクトマネジメントの基本(6)ビジネスアナリシスの仕事
スコープ・クリープはリスクが大きい…どうすればいい?
大塚有希子
衰退途上国ニッポン~その急所と勝機(1)安いニッポンと急性インフレ
世界で一人負け…「安い国」日本と急性インフレの現実
宮本弘曉
ポスト国連と憲法9条・安保(1)国連の構造的問題
核保有する国連常任理事国は、むしろ安心して戦争できる
橋爪大三郎
これからの社会・経済の構造変化(1)民主主義と意思決定スピード
フラット化…日本のヒエラルキーや無謬性の原則は遅すぎる
柳川範之
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
「進化」への誤解…本当は何か?(6)木村資生の中立説
欧州では不人気…木村資生の中立説とダーウィンとの違い
長谷川眞理子
「次世代地熱発電」の可能性~地熱革命が拓く未来
地熱革命が世界を変える――次世代地熱の可能性に迫る
片瀬裕文
熟睡できる環境・習慣とは(1)熟睡のための条件と認知行動療法
熟睡のために――自分にあった「理想的睡眠」の見つけ方
西野精治