●日本が「資源自給国家」になる必然
今日は、日本が「資源自給国家」になるということで、その要ともなる日本の再生可能エネルギービジョンとそこに向けた話を申し上げたいと思います。
資源自給国家というのは決して突拍子もない話ではなく、むしろ必然的な方向性です。21世紀、鉱山(鉄鉱山や銅の鉱山など)が都市鉱山に取って代わられます。それから、化石資源が再生可能エネルギーに代わります。また、バイオマスという植物由来資源の重要性が増します。こうした根本的な人類の文明の変化に応じて、日本が資源自給国家になるということですから、これは必然であるわけです。
エネルギー問題を取り上げますと、2022年、特に政府が原子力政策に対して非常に大きな変化を打ち出しました。しかし、第一に重要な点はエネルギーの量としての問題であり、原子力はそれほど大きな量ではありません。
人類のエネルギー量を見ると、20世紀は圧倒的に化石資源の世紀です。原子力は、一番多かったときで世界のエネルギーの約6パーセントを占めました。今は4パーセント少々になっています。要するに、20世紀の後半から21世紀にかけての過渡期的なエネルギーといえます。
それからもう一つ。2022年11月に配信された鈴木達治郎先生(長崎大学核兵器廃絶研究センター〈RECNA〉センター長・教授)のテンミニッツTVでのお話をお聴きになった方も多いと思いますが、「原発には核兵器の1000倍から1万倍という信じられないほどの量の放射性物質が内蔵されている」ということでした。
ウクライナの問題でも原発が非常に心配されましたが、そこが戦争やテロの標的になるというリスクをはらんでいるわけです。
●太陽光発電は家の屋根と畑で
今しばらくは変化していく時であり、いきなり化石資源から再生可能エネルギーに転換するわけにはいかないので、その過渡期を補うエネルギーとしての原子力を否定するつもりは私にはありません。しかし、長期的には再生可能エネルギーになるのであり、そのための過渡期なのだということはよく考えないといけません。
今の日本で私が憂慮するのは、過渡期である原子力の議論が、再生可能エネルギーをすさまじく加速しなくてはいけないときに足を引っ張っていることです。私が非常に憂慮するのはこの点で、では、本当に再生可能エネルギーで人類はやっていけるのか。あるいは...