日本人が知らない自由主義の歴史~前編
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
河合栄次郎、石橋湛山、ルーズベルト…日米自由主義者の主張
日本人が知らない自由主義の歴史~前編(6)日本とアメリカのニューリベラリズム
柿埜真吾(経済学者/思想史家)
「ニューリベラリズム」は日本やアメリカにも影響を与えていった。日本では河合栄次郎や石橋湛山が紹介に努めることになる。アメリカでは、大恐慌で市場経済への信頼が失墜したことが決定的となり、「ニューリベラリズム=リベラル」が優勢となっていく。そこで今回は日米でのニューリベラリズムの広がり方の違いを見ていく。(全7話中6話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:8分58秒
収録日:2022年7月1日
追加日:2023年5月23日
≪全文≫

●日本のニューリベラリズム――河合栄次郎と石橋湛山の思想


―― 続きまして、「日本とニューリベラリズム」です。これは先生の経済学の講義でもお話しいただきましたけれども、ニューリベラリズム的な「政府が介入して福祉国家的なものをつくっていくべきだ」という主張に近いものを、日本の場合は河合栄治郎や石橋湛山が紹介していったのですね。

柿埜 ええ。河合栄治郎は、トマス・ヒル・グリーンの思想をすごく熱心に紹介して、「グリーンの考え方に基づいた自由主義が真の自由主義だ」ということを言った人でした。

 河合は社会主義に基本的に賛成で、「共産主義者とその点は一緒である。ただ、やり方が議会主義ではないから、共産主義に反対なのだ」と言いました。そういう形で、戦間期に一生懸命、右翼の軍国主義と左翼の共産主義に反対して、自由主義を唱えたわけです。ある意味で、この立場は「民主的ならば社会主義でもいい」ということで、社会主義批判としては非常に弱いものです。ただ河合は、非常に熱心に民主主義を支持した人としては、もちろん立派だったと思います。少し前の民社党に近い考え方ですね。

―― なるほど。

柿埜 石橋湛山はニューリベラリズムを紹介して、福祉国家やケインズ主義的な景気対策を確かに支持している人ではあるのですが、自由市場、自由貿易の重要性を主張している点では、旧来の古典的な自由主義とも共通点がある人です。

―― それは、ケインズ本人の考え方とは微妙に違うということになるのですか。

柿埜 ケインズ本人も実のところ、自由貿易、自由市場経済を否定していたかというと、時期によっては肯定していたりするので、微妙なのです。

―― なるほど。

柿埜 石橋はある意味で、より古典的な自由主義に近い部分がある人ですね。


●「植民地や軍国主義は、自国にもデメリットがある」と喝破


柿埜 石橋は、「そもそも植民地を持ったり、軍国主義を行ったりすることは経済的にも引き合わない。日本はむしろアメリカとの貿易で成り立っている国で、植民地貿易など大したメリットはないし、植民地の資源を獲得するよりも、貿易で相手の国に投資したり、貿易をしたりして獲得するほうがはるかに安上がりで、しかも国全体を豊かにする。お互いにメリットになるのだ」ということを主張した人です。

 要す...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
「心から幸せになるためのメカニズム」を学ぶ(1)心理学研究と日本の幸福度
実は今、「幸せにも気をつける」べき時代になっている
前野隆司
人の行動の「なぜ」を読み解く行動分析学(1)随伴性
「なぜ人は部屋を片付けられないか」を行動分析学で考える
島宗理
学びとは何か、教養とは何か
教養の基本は「世界史」と「古典」
本村凌二
神話の「世界観」~日本と世界(1)踊りと物語
世界の神話の中で異彩を放つ日本神話の世界観
鎌田東二
道徳と多様性~道徳のメカニズム(1)既存の道徳の問題点
多様性の時代に必要な道徳とは…科学的アプローチで考える
鄭雄一
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境にどう対峙するか…西洋哲学×東洋哲学で問う知的ライブ
津崎良典

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(2)「時代の大転換期の選挙」特集を解説!
「大転換期の選挙」の前に見ておきたい名講義を一挙紹介
テンミニッツ・アカデミー編集部
これからの社会・経済の構造変化(4)日本企業の課題と組織改革の壁
日本の場合、トップダウンよりボトムアップで変えるべき?
柳川範之
AI時代と人間の再定義(5)AI親友論と「WE」という概念の問題
AI親友論って何?「Self-as-WE」と京都学派の思想
中島隆博
ポスト国連と憲法9条・安保(2)有志多国籍軍と西側同盟の可能性
国連改革は可能か…残されているのは「西側同盟」の可能性
橋爪大三郎
衰退途上国ニッポン~その急所と勝機(1)安いニッポンと急性インフレ
世界で一人負け…「安い国」日本と急性インフレの現実
宮本弘曉
プロジェクトマネジメントの基本(7)アジャイルプロジェクトと成功の鍵
発注側と受注側で異なるプロジェクトの成功・失敗要因
大塚有希子
会計検査から見えてくる日本政治の実態(3)戦後初となる補正予算の検査
繰越金が4割も…戦後初「補正予算の会計検査」の実態
田中弥生
哲学から考える日本の課題~正しさとは何か(1)言葉の正しさとは
「正しい言葉とは何か」とは、古来議論されているテーマ
中島隆博
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
危機のデモクラシー…公共哲学から考える(5)共存・共生のための理性
共生への道…ジョン・ロールズが説く「合理性と道理性」
齋藤純一