日本人が知らない自由主義の歴史~前編
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
ホッブズ、ロック…生命、自由、財産の権利をどう守るか
日本人が知らない自由主義の歴史~前編(2)「自由主義」の誕生
柿埜真吾(経済学者/思想史家)
自由主義の登場は17世紀にさかのぼる。その頃、社会は相次ぐ宗教戦争等で政府への不満が高まっていた時期でもあった。そうした背景のもと、政府について議論を展開したのがホッブズやロックといった思想家たちだった。ホッブズとロックの思想で、まったく違う点はどこで、似ている点はどこなのか。ロックの思想が後世の歴史に与えた影響とは? この2人の思想を読み解きながら、自由主義の誕生について解説する。(全7話中2話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:8分56秒
収録日:2022年7月1日
追加日:2023年4月25日
≪全文≫

●自由主義の起源と当時の社会的背景


―― それでは、いよいよ深掘り講義に入っていきます。最初は「自由主義の萌芽」ということで、どのようにして自由主義が生まれていったのかという部分です。ここをぜひ教えていただけますでしょうか。

柿埜 自由主義が出てきた背景ですが、これは基本的には、ヨーロッパでものすごい宗教戦争があったということがあります。

―― 宗教戦争ですね。

柿埜 「個人の自由など全然認めない、特定の宗教をとにかく信じるんだ、プロテスタントを信じろ、あるいはカトリックを信じろ、そうでないと殺してやる」といった恐ろしい社会だったわけです。ですが、そんなことで殺し合いするのは良くないのではないか、もっと個人の自由を尊重して宗教も選択できるようにしたらいいのではないか、という考え方が出てくるわけですね。「他人が何を考えていたって、別にいいではないか」といった寛容の思想が出てくるのです。

 これと同じくらいの時期に、近代科学が発展してきます。近代科学が発展してくると、あまりに非合理的な発想で国民に特定の宗教を押しつけるといった考え方は、若干、後退してくる。そして、ますます「寛容な社会がいいのではないか」という発想が出てくる。これが、基本的には自由主義の起源だったのです。

 それまでは「宗教とは神さまが決めたもので、信じることは自明だ」「政府とは、神さまがつくれと言ったものだから、こういうものなのだ」という感じだったのですが、近代的な発想が出てくると、「そもそも、なぜ政府に従わなければいけないのか」、それから「宗教を押しつけるのはおかしいのではないか」という考え方になってくるわけです。

 そして、相次ぐ戦争で軍事費の負担もかなり重い。そこで、「政府がなぜ必要なのか」をきちんと考えてみるべきではないかという考え方が出てきたのです。


●ホップズが説いた「宗教の寛容」


柿埜 いろいろな方がいますが、自由主義につながる重要な発想として、ホッブズという人の『リヴァイアサン』という本があります。

 このホッブズ自身は、自由主義者とはお世辞にも言えない人です。ですが、自由主義が出てくる少し手前の思想で面白いものとして取り上げたいと思います。

 ホッブズは、「自然状態(=政府がない状態)」というものをまず考えます。そ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
プラトン『ポリテイア(国家)』を読む(1)史上最大の問題作
全米TOP10大学の必読書1位が『ポリテイア(国家)』
納富信留
道徳と多様性~道徳のメカニズム(1)既存の道徳の問題点
多様性の時代に必要な道徳とは…科学的アプローチで考える
鄭雄一
日本文化を学び直す(1)忘れてはいけない縄文文化
日本の根源はダイナミックでエネルギッシュな縄文文化
田口佳史
「心から幸せになるためのメカニズム」を学ぶ(1)心理学研究と日本の幸福度
実は今、「幸せにも気をつける」べき時代になっている
前野隆司
もののあはれと日本の道徳・倫理(1)もののあはれへの共感と倫理
本居宣長が考えた「もののあはれ」と倫理の基礎
板東洋介
神話の「世界観」~日本と世界(1)踊りと物語
世界の神話の中で異彩を放つ日本神話の世界観
鎌田東二

人気の講義ランキングTOP10
プロジェクトマネジメントの基本(6)ビジネスアナリシスの仕事
スコープ・クリープはリスクが大きい…どうすればいい?
大塚有希子
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(9)秀吉が作った公武統一政権と歴史のif
公武統一政権を作った秀吉の狙いとその歴史的意味
黒田基樹
衰退途上国ニッポン~その急所と勝機(1)安いニッポンと急性インフレ
世界で一人負け…「安い国」日本と急性インフレの現実
宮本弘曉
AI時代と人間の再定義(4)自分と出会うチャンス
人生はエネルゲイア――AIにない「自分と出会うチャンス」
中島隆博
ポスト国連と憲法9条・安保(1)国連の構造的問題
核保有する国連常任理事国は、むしろ安心して戦争できる
橋爪大三郎
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
これからの社会・経済の構造変化(1)民主主義と意思決定スピード
フラット化…日本のヒエラルキーや無謬性の原則は遅すぎる
柳川範之
「進化」への誤解…本当は何か?(9)AI時代の人間と科学の関係
科学は嫌われる!? なぜ「物語」のほうが重要視されるのか
長谷川眞理子
熟睡できる環境・習慣とは(1)熟睡のための条件と認知行動療法
熟睡のために――自分にあった「理想的睡眠」の見つけ方
西野精治
戦略的資本主義と日本~アメリカの復活に学ぶ5つの提言
戦略的資本主義とは?日本再生へアメリカに学ぶ5つの提言
片瀬裕文