日本人が知らない自由主義の歴史~前編
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介入主義?社会主義?…ニューリベラリズムとは何か?
日本人が知らない自由主義の歴史~前編(5)ニューリベラリズムの台頭
柿埜真吾(経済学者/思想史家)
19世紀後半になると、リベラリズムに変容が見られるようになる。自由実現のために政府が積極介入すべきという「大きな政府」を肯定するニューリベラリズムの台頭である。ここでは、ニューリベラリズムが登場した背景やその思想の本質、現代への影響などを解説する。(全7話中5話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:8分49秒
収録日:2022年7月1日
追加日:2023年5月16日
≪全文≫

●ニューリベラリズムの登場


―― そして次に、「『リベラリズム』から『ニューリベラリズム』へ」と、リベラリズムに「ニュー」が付くわけですけれども、これはどういう意味になるのでしょうか。

柿埜 19世紀の後半には、自由主義的な発想が実際に実行に移されるようになってきて、封建的な規制や、不合理な刑罰といったものがなくなって「法の支配」が確立され、「自由貿易」になる。そういった社会ができてきます。

 民主的な社会ができて、議会政治が確立してきた時代だったのですが、そうなってくると「国民が議会に代表を送っているのだから、議会は暴走したりしないのではないか」「議会が国民にとって望ましい人生を送れるような再分配や、政府が介入していろいろなことを行うなど、そういうことをやったほうが、むしろいいのではないか」という発想が出てきます。これが「ニューリベラリズム」といわれる考え方です。

 国民の自由について、「望ましい目的(「積極的自由」と言い換えてもいい)を実現するためだったら、政府が次々と経済に介入したり、国民の財産を再分配したりするのはいいことなのだ」という発想が出てきます。これは「多数者の専制はよくない」というミルの発想とは、ある意味で真逆なのですが、そちらに行ってしまうわけですね。


●市場経済への疑念と相まって、介入主義が台頭


―― これは「ニューリベラリズム」と、主にヨーロッパで理解されていることになるのですか。

柿埜 この「ニューリベラリズム」という言葉は、イギリスで使われるようになりました。トマス・ヒル・グリーンやホブハウス、ホブスンはイギリスの人ですが、こういう人たちが唱えた考え方です。やり方として、民主主義であるならば、基本的に社会民主主義(社会主義)でもいいのだという考え方です。

 つまり、「大きな政府にして個人の人生の自己実現を助ける。そういう体制がいいのではないか」となってきてしまうわけですね。

―― なるほど。それで、ここ(スライド)にあるように、「侵害されない権利」、まさに消極的自由を求めていた旧来のリベラリズムからは当然、批判されるけれども、次第にこちらの旗色がよくなってくると。

柿埜 そうなんですね。これは一見、とてもいいことのように思えます...

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