飽食時代の「選食」のススメ
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
20億人以上が肥満…飽食の時代に大事な「選食力」3カ条
飽食時代の「選食」のススメ(1)選食の提唱と「食の多様性」
堀江重郎(順天堂大学医学部・大学院医学研究科 教授)
世界の肥満者数が増加の一途をたどり、偏食や低栄養などの問題も叫ばれている昨今。そんな飽食の時代に対応するための食への態度として堀江氏が提唱するのが、食事の質と量を見極める「選食」である。では選食とはいったいどのような実践なのか。今回は、その基礎として重要な「食の多様性」について、腸内細菌が食生活に与える影響や認知機能低下の予防、そしてそのための日本型食事の話を交えながら解説する。(全4話中第1話)
時間:13分40秒
収録日:2023年5月23日
追加日:2023年8月24日
カテゴリー:
≪全文≫

●飽食の時代に必要な3つの「選食」の提唱


 皆さん、こんにちは。順天堂大学の堀江です。本日は「飽食から選食へ」ということで、選食というのは新しい言葉なのですが、新しい食生活ということを考えてみたいと思います。

 いわゆる飽食の時代、世界で20億人以上の方が肥満ということが社会的に大きな課題になっています。また、2025年までに世界の成人の5人に1人が肥満になる可能性があるとも言われています。そしてそのうちの3分の1はBMI、いわゆる体格指数が35と、非常に肥満の程度が激しくなると予想されています。

 この飽食の時代の社会的な問題として、栄養の偏り、偏食、そして栄養学知識の欠如があります。また、現在1人で食事を摂るという方が、これは年齢を問わず、お子さんから高齢者まで非常に増えています。そして生活習慣病の増加です。また若い女性のダイエット志向によって、非常に痩せた女性が、特に日本で顕著になってきていますし、高齢者では低栄養という問題も大きくなってきています。

 この飽食の時代、これが果たして持続可能かということも大きな問題です。新型コロナウイルス、あるいは未知の感染症が今後も発生する可能性、またウクライナのような予期せぬ戦争の勃発、そういったことによる食糧危機も予想されますし、異常気象がますます世界的に大きな問題となっています。また、穀物も不足する可能性も出てきます。人口の増加する地域では、持続的な飢餓の問題も多いと思います。

 そこで、自分に本当に必要なものを食事の量、質ともに見定めて摂取するということで、私はこの「選食」という言葉を提唱したいと思います。

 「(普段あなたが)どんなものを食べているか言ってみたまえ。君がどんな人であるかを言いあててみせよう。」と言ったのが、いわゆるフランスのグルメであるブリア=サヴァランです。

 これを選食ということで考えてみますと、食に多様性を与え、また程よい制限をするということです。食事の質と量を選び、自分に合った食を選ぶことは、食事の価値を選ぶということにもなります。そして、食を楽しむことは食事というオケージョン(時)を選ぶということになります。
...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「健康と医療」でまず見るべき講義シリーズ
認知症とは何か(1)疾患の種類と対応
多くの認知症の原因は「脳のゴミ」の蓄積
遠藤英俊
アンチエイジングのための「5:2ダイエット」
「5:2ダイエット」活性酸素を減らしてアンチエイジング
堀江重郎
和食の深い秘密~なぜ身体に良いのか(1)和食の特徴と日本人
日本人は地球上最もベジタリアンだった?和食の7つの基本
小泉武夫
最新の腰痛医療(1)導入された二つの医療と慢性腰痛
高齢者だけじゃない! 若年層にも腰痛が増えている
菊地臣一
「男性更年期」とは何か
うつやほてり…男性ホルモン・テストステロン減少のせい?
堀江重郎
ウイルスの話~その本質と特性(1)生物なのか、そうではないのか
きわめて特異的な「ウイルスと宿主の関係」
長谷川眞理子

人気の講義ランキングTOP10
インテリジェンス・ヒストリー入門(1)情報収集と行動
日本の外交には「インテリジェンス」が足りない
中西輝政
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(序)時代考証が語る『豊臣兄弟!』の魅力
2026年大河ドラマ『豊臣兄弟!』、秀吉と秀長の実像に迫る
黒田基樹
平和の追求~哲学者たちの構想(4)ルソーが考える平和と自由
ルソーの「コスモポリタニズム批判」…分権的連邦国家構想
川出良枝
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(4)葛飾応為の芸術と人生
親娘で進歩させた芸術…葛飾応為の絵の特徴と北斎との比較
堀口茉純
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(2)バイアスの正体と情報の抑制
『100万回死んだねこ』って…!?記憶の限界とバイアスの役割
今井むつみ
生成AI「Round 2」への向き合い方(1)生成AI導入の現在地
生成AIの利活用に格差…世界の導入事情と日本の現状
渡辺宣彦
熟睡できる環境・習慣とは(4)起きているときを充実させるために
夜まとめて寝なくてもいい!?「分割睡眠」という方法とは
西野精治
編集部ラジオ2025(31)絵で語る葛飾北斎と応為
葛飾北斎と応為の見事な「画狂人生」を絵と解説で辿る
テンミニッツ・アカデミー編集部
死と宗教~教養としての「死の講義」(1)「自分が死ぬ」ということ
世界の宗教は死をどう考えるか…科学では死はわからない
橋爪大三郎
「進化」への誤解…本当は何か?(1)進化の意味と生物学としての歴史
実は生物の「進化」とは「物事が良くなる」ことではない
長谷川眞理子