組織心理学~「不満」を生かす
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
第一印象が悪くても大丈夫!「ゲイン効果」とは何か
組織心理学~「不満」を生かす(2)ほめ方とゲイン効果
山浦一保(立命館大学 スポーツ健康科学部 教授/博士(学術:広島大学))
一般的に「ほめればいい」という風潮は広がっているが、「ほめ方」は難しいテーマである。ただ「ほめればいい」ということではなく、そこには前提条件があると山浦氏は言う。それはいったいどのような条件なのか。また、「ほめ方」が下手な人、あるいは第一印象が良くない人はどうすればいいのか。キーワードは「ゲイン効果」である。実験室実験をもとに考察を深めていく。(全2話中第2話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:13分04秒
収録日:2023年6月21日
追加日:2023年12月15日
≪全文≫

●「ほめ方」にまつわる実験室実験


―― あと、お聞きしたいのが、「ほめ方」です。これもけっこうほめ方によって効果がある場合と逆効果になってしまう場合がある。ほめ方も、いろいろ難しいですよね。ここは先生、どういうことになりましょうか。

山浦 永遠のテーマですね。こちらは本当に企業、特に上司の方が悩んでいるし、スポーツのコーチの方々も悩んでいる。本当に昔からあるテーマだと思いますが、とても難しいですね。結論から申し上げると、ただほめるだけではいかない(ということです)。

―― また難しい結論ですね。これはどういうことでしょうか。

山浦 ある企業との共同研究で、実験をしたことがあります。そのときは、実験室の中にいかにも職場風の環境をつくり、本当に作業をするというシミュレーションを行う実験室実験を行って導き出した結論です。

 一般的には「ほめればいいよ」という風潮がすごく広がっていますが、私はそれを懸念しています。そうではないことだって、(あるいは)そうではない人だっているでしょう、ということです。実験の結果は、実はほめればほめるほどモチベーションは上がりました。

 そうであれば「ほめればいい」ということになりそうですが、実は隠し技として、もう1条件作っていました。その条件は、「信頼できないと思っている上司・部下関係を作る」ことでした。

 先ほどの結果は、良好な関係が作られているときに、目の前で作業している様子を見て、リーダーの方が「今、ここを工夫してやったでしょう。すごく良かったよ」という一言を言った場合、モチベーションはどんどん上がるということでした。けれども、残念ながらそうではない職場や人間関係の場合もありますよね。

―― おっしゃる通り。

山浦 なので、その条件を潜り込ませてみました。その条件下では、リーダーに同じ言葉をかけてもらいますが、言葉をかけられた部下の方は喜ぶどころかモチベーションが下がり、停滞したまま終わったのです。

 そういうことなので、「ほめればいい」ということではなく、それには前提条件がある。要するに、人間関係が作られた上で前向きな言葉をかけると、「よし、頑張ろう」と責任感を持って取り組むことができるようになる。しかし、もともと関係性ができていない、むっつりした関係なのに、いきなり仕事の様子を見てリーダーさんから「良かったよ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「経営ビジネス」でまず見るべき講義シリーズ
生き続ける松下幸之助の経営観(1)今も生きている幸之助
松下幸之助の考え方には今と昔を貫くものがある
江口克彦
チームパフォーマンスを高める心理的安全性(1)心理的安全性が注目される理由
なぜ今「心理的安全性」なのか、注目を集める背景に迫る
青島未佳
企業改革の核心は何か(1)組織の危機をいかに克服するか
V字回復のためには社員に「個人の痛み」を迫る覚悟を持て
三枝匡
ハラスメント防止に向けた風土づくり(1)ハラスメントの概要
増え続けるハラスメント…その背景としての職場の特徴
青島未佳
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
これから必要な人材と人材教育とは?(1)人手の供給不足とマクロ経済への影響
ごく一部の人手不足が「致命的」になる…Oリング・セオリー
柳川範之

人気の講義ランキングTOP10
戦前、陸軍は歴史をどう動かしたか(1)総力戦時代の到来
日英同盟の廃棄、総力戦…世界秩序の激変に翻弄された日本
中西輝政
「Fukushima50」の真実…その素顔と誇り(2)吉田昌郎所長の機転と決断
なぜ部下たちは「吉田昌郎所長となら死ねる」と語ったのか
門田隆将
高市政権の進むべき道…可能性と課題(2)財政戦略3つの問題点
高市政権の財政政策の課題は…ポピュリズム政策をどうする?
島田晴雄
インフレの行方…歴史から将来を予測する(3)戦後の日本経済と海外のインフレ率
オイルショック、バブル…過去と現在の環境の共通点は?
養田功一郎
こどもと学ぶ戦争と平和(3)「小さな外交官」と少年兵の問題
外国が攻めてきたらどうすればいい?戦争と少年兵の問題
小原雅博
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(序)時代考証が語る『豊臣兄弟!』の魅力
2026年大河ドラマ『豊臣兄弟!』秀吉と秀長の実像に迫る
黒田基樹
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博
『三国志』から見た卑弥呼(1)『魏志倭人伝』の邪馬台国
異民族の記述としては異例な『魏志倭人伝』と邪馬台国
渡邉義浩
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(6)曼荼羅の世界と未来のネットワーク
命は光なのだ…曼荼羅を読み解いて見えてくる空海のすごさ
鎌田東二